テラーノベル
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土曜日。
朝から玲の頭には、一つの疑問が残っていた。
――天城星羅は、本当に星乃セラなのか。
昨日の配信。
声だけじゃない。
笑い方。
言葉の選び方。
少し照れたときの仕草。
どれも、星羅とよく似ていた。
「……考えすぎか」
玲はスマホを置いた。
そのとき、通知が届く。
星羅からだった。
『今日って暇?』
玲は少し考え、返信する。
『暇だけど』
すぐに既読がつく。
『じゃあ、遊びに行こう!』
「……行動早いな」
しばらくして、またメッセージ。
『駅前で待ってるね♪』
玲は着替えて家を出た。
駅前に着くと――。
「玲くーん!」
星羅が手を振っている。
「おはよう」
「おはよう!」
今日は私服。
白いトップスに淡い色のスカート。
玲は一瞬、目を奪われる。
「……どう?」
「似合ってる」
「……!」
星羅の顔が赤くなる。
「朝からそれは反則……」
「何が?」
「なんでもない!」
二人はショッピングモールへ向かった。
「今日は何する?」
「玲くんが決めていいよ」
「じゃあ……映画」
「いいね!」
二人で映画を見る。
席は隣。
上映中、星羅は何度も玲の横顔を見ていた。
――近い。
こんなに近くで玲くんを見られる。
それだけで幸せ。
映画が終わる。
「面白かったな」
「うん!」
「星羅、途中寝てただろ」
「寝てないよ!」
「寝てた」
「……ちょっとだけ」
玲が笑う。
星羅はその笑顔を見つめる。
「……玲くん」
「ん?」
「笑った」
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「……?」
「最近、玲くんが笑うこと増えた気がする」
「そうか?」
「うん」
星羅は嬉しそうに笑う。
「私と一緒にいるからかな?」
「……どうだろうな」
「ふふっ」
その後、二人はカフェへ。
星羅はメニューを見ながら言う。
「玲くん、これ好きそう」
「なんで分かる?」
「玲くんのこと、よく見てるから」
「……」
玲は少し驚く。
「そんなに?」
「うん」
星羅は笑う。
「玲くんの好きなもの、いっぱい知りたいから」
「……変わってるな」
「玲くん限定だよ♪」
玲は苦笑する。
そのとき――。
星羅のスマホが鳴った。
「……!」
画面には事務所からの連絡。
『本日19時から配信です。よろしくお願いします』
星羅は慌てて画面を伏せる。
「どうした?」
「学校の連絡!」
「休日なのに?」
「……うん!」
玲は少し不思議そうに見る。
その夜。
星乃セラの配信が始まる。
『こんばんはー! 星乃セラです!』
いつもの明るい声。
しかし今日のセラは、いつも以上に機嫌がいい。
『今日はね、すっごく楽しいことがあったの!』
コメントが流れる。
『何があった?』
『デート?』
『彼氏!?』
星羅は一瞬固まる。
『……ひ、秘密です!』
頬が赤くなる。
そして――。
その配信を、玲も見ていた。
「……」
玲は画面を見つめる。
『今日ね、大切な人と一緒に映画を見たの』
「……」
玲の手が止まる。
今日。
星羅と映画を見た。
そして――。
『その人がね、映画の途中で寝ちゃって……』
「……」
玲はスマホを見つめる。
星羅も同じ話をしていた。
「……偶然か?」
しかし。
決定的なことが一つあった。
『その人、最後に笑ってくれたの』
玲の記憶に蘇る。
今日、自分が星羅に笑った瞬間。
「……まさか」
配信終了。
玲はしばらく画面を見つめていた。
その頃。
星羅は自室に戻っていた。
「……危なかった」
胸に手を当てる。
玲くんにバレるところだった。
でも。
今日のことを話したかった。
嬉しかった。
玲くんとの思い出を、誰かに伝えたかった。
たとえ相手が、何万人ものファンだったとしても。
「……玲くん」
スマホを見る。
まだ玲から連絡はない。
少し不安になる。
「……怒ってないよね?」
そのとき。
通知。
『今日、楽しかった』
玲からだった。
「……!」
星羅の顔が一気に明るくなる。
『私も!』
すぐに返信する。
そして少し迷った後――。
『また一緒に行こうね』
送信。
数秒後。
『ああ』
たった一文字。
でも星羅には十分だった。
「……ふふっ」
スマホを抱きしめる。
「また一つ、思い出が増えた」
そして、机の上にあるノートを開く。
**『玲くんとの思い出』**
今日の日付を書く。
その横に――。
**『映画』**
**『カフェ』**
**『笑ってくれた』**
最後に、少しだけ大きな文字で。
**『また行く』**
星羅は満足そうにペンを置いた。
一方、玲はベッドに横になりながら考えていた。
「……天城星羅」
そして――。
「星乃セラ」
二つの名前。
まだ確信はない。
だけど。
玲の中に芽生えた疑問は、もう消えなかった。
**――二人は、本当に別人なのか?**
その疑念は、二人の距離が近づくほど。
少しずつ大きくなっていく。
コメント
1件
ああ〜〜〜第10話読み終わったよ!!😭💕💕 玲くんが星羅ちゃん=星乃セラ疑惑を持ち始めた展開、めっちゃドキドキする!!「似てる声」ってタイトルからしてエモすぎるのに、実際のシーン全部が甘くて尊くてヤバい…。映画館で隣の席、横顔チラ見する星羅ちゃんの気持ち分かりすぎて胸がギュッとなる🥺笑顔増えたって言われて照れる玲くんも可愛すぎでしょ!! 最後のノートに思い出を書き留める星羅ちゃんの行動、完全に恋する乙女の特権だよね💕「ああ」の一言で満足するの、玲くんのキャラに合ってて最高!次回、どうなるんだろ…早く続きが読みたい!!🌸✨