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帰ってみると、既に夕食の準備は済んでいた。
今日の夕食は天ぷら蕎麦。
ローテーブルに、大ざるに盛った蕎麦が2山。
蕎麦つゆは温かいのが鍋に入っている。
肉とネギが入った、武蔵野肉汁うどんっぽい感じの温かい汁だ。
油揚げの大きいのも入っていて、狐にすることも出来る。
そして天ぷらは、例の肉厚しいたけと、たらの芽とこごみと、他に何か木の芽だ。
「天ぷらの具は午後に直売所に行って買ってきました。色々山菜が出ていたので、試してみて下さいね」
という事で食事開始。
カヌーで身体が冷えていたせいだろうか。
温かい汁が身体に浸みる。
カヌーを終えてから結構時間が経っているのだけれども。
そして天ぷらが、やっぱり美味しい。
新鮮なせいか、香りがやっぱり強い。
そのくせ天ぷらにしたせいか、苦みとかえぐみは感じない。
そして緑の太い部分がホクホクしている。
ちょっとだけ味に癖はあるけれど。
なお、未亜さんがあげを2枚のせて食べているのを目撃。
あれこそ正に狐蕎麦という奴だな。
言えないけれど、笑える。
なお、彩香さんも同じ事を考えている模様。
視線と表情から、そう判断。
そして。
「正直、食事に関しては、そっちの中学の方が圧倒的に上ですね」
石動さんがそう、何かしみじみという感じで言う。
「悪いなあ。まだ僕の経験じゃ、ここまでは出来ないな。特に後発隊の朝のチーズフォンデュなんて、流石に思いつきもしない」
「いいや、朗人や理奈は頑張っていると思うぞ。この天ぷらとかも綺麗に揚がっているしな。違いはそこじゃない」
生徒最年長、神流先輩がそう言って。
高校の皆さんの視線が、自然と小暮先生の方へ。
「クッチー、いや草津先生と比べないで下さい。大学1年から山での食事計画と実践のエースだった草津先生と、大学3年ですら鍋すら触らせて貰えなかった私。その差は、私が一番わかっているんです」
「でも、せめて目玉焼きくらいは焼けるようにした方がいいと思います。もう適齢期、終わりに近づいているんですから」
「それは言わないで。それなりに焦っているんですから」
何やら微妙に悲痛な言葉が……
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