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向かい合って座る紬と想。
(紬 M)「クリスマスにプレゼント交換しようって言って、予算だけ決めて。いざ交換したら、同じイヤホンの色違いで」
同じ大きさの、違う包装紙のプレゼントを交換して渡し、同時に開ける。
紬には白の、想には黒の同じイヤホン。
顔を見合わせて笑う二人。
(紬 M)「ほんとに交換しただけだねって言って、笑った」
2015年 4月
(紬)「高校を卒業して、進学して。その頃まだ、イヤホンの調子は良かったのに」
紬、虚ろな表情で、想にもらったイヤホンで音楽を聞く。
溜め息。
スマホにLINEの通知音。
慌ててスマホを手にして、愕然とする。
想から【好きな人がいる。別れたい】と。
(紬 M)「好きな人がいる。別れたい。その文字を見せられて終わった。あの声で聞くことすらできなかった」
コードを引っ張り、イヤホンを耳から外す。
イヤホンから音楽が漏れている。
(紬 M)「イヤホンが壊れてしまったのは、3年くらい前。それからずっと、音が出ない」
紬、腕時計を見て、小さく溜め息をつく。
ワイヤレスイヤホンを耳に付けて歩き出す。
改札の中へ入り、一人電車で帰って行く。
(紬 M)「その好きな人とは、どうなりましたか?」
想、本を読みながら誰か待っている。
桃野奈々(27)、駆け寄ってきて、想の前にしゃがみ、本の陰から笑顔を見せる。
笑顔を返す想。
(奈々)「(手話で)お待たせ」
想、奈々の背負うリュックのチャックを慣れた様子で閉める。
並んで歩き出す二人、幸せそうな恋人同士のよう。
(紬 M)「好きだった人の、好きな人って、どんな人ですか?」
湊斗、同級生たちがフットサルをしているコートの外で見ている。
古賀、やってきて、一緒に少し眺めて、
(古賀)「·····見つかったか? 佐倉」
(湊斗)「(笑って)そんな本気で探してないですよ」
(古賀)「そっか」
(湊斗)「別に用があるとかじゃないんで。紬が想っぽい人見かけたらしくて。ちょっと思い出しただけです」
(古賀)「高校のとき、遊び行ったりしなかったのか、佐倉の家」