暖かい、そしてふわふわで気持ちいい
もしかしてぺこーら死んで天国に来ちゃったぺコか!?
そんなぁ、やりたい事まだまだいっぱいあったのに…こんなことになるなら村の外に出るんじゃなかった。
「….んぅ..」
ふ、と目を覚ますと見知らぬ天井が目に入った。
え?ここ何処ぺコ?天国じゃない?
現状確認を兼ねて周りを見渡すと、何処かの部屋に居るらしい。
部屋は全体的に黒で統一されており、シックで格好いい部屋だ。右を見るとクローゼットがあり紫、黒、グレーなどいくつかの色のスーツが掛かっている。
ぺこらが居るベッドの脇にはインテリアの花瓶といくつかの啓発本や情報誌が積まれている。
そしてベッドも黒に統一され身じろぎするたびに沈み込むくらいふかふかだ。
さてベットに座り、これからどうしようかと考えていると、
コンコン
「あれぇ起きました?」
この部屋の持ち主であろう銀髪に紫とピンクのメッシュを入れた優しげな目をした男が入ってきた。
お互い目を合わせて硬直する
「あっいやすいませんもう起きたかなぁ~って様子を見に来まして。」
「あ!そのベッドふかふかっすよね!よく寝れました?」
「…あっ、いや」
「ッソォーーデスネェ…」
「…アノ、…よく寝れました」
「ンニャハハ、なら良かったっす」
「「・・・」」
…気まずい…多分ここはこの人の部屋で間違いなさそう。元々コミュ障なのにさらに男の人と2人っきりとか 地獄か!?どうしよう…一応ここは何処なのか聞いとこうかな
「あっあのここは何処ですか?」
「あ、ここは俺ん家です」
「路地裏で倒れてたんすけど見たところ足とか怪我してたし、格好とか見ても何か訳ありそうだったんでつい、」
予想通りここはこの人の家らしい。見るからに怪しそうな女を善意で家に上げるとかこいつ大丈夫ぺコか?と少し心配になる。でも、足の手当をしてくれたらしく、今気づいが足に包帯が巻かれている。ここまでしてくれるってことは結構良い人なのか?
「それに、…..」 「?」
「その耳だと余り人には見せれなっぽいし」
今こいつは何て言った?….耳…?
ぺこらは恐る恐る頭に手を乗せる
「!?!?」
今頃気づいてしまった人目に隠すために被っていたフードを被ってないことに
慌ててフードを被るもこの人にはバレてしまっている。
(どうしようどうしようどうしよう)
ぺこーら家の古いしきたりでは獣人ではない人に耳を見られてはいけないと言うものがある。もし見られてしまったら人身売買やオークションに飛ばされてしまうから。
震えているぺこらを見て不破は、
「大丈夫、誰にも言いませんよ。それに、その格好で人目がつくところに置いておけば貴方が危ないと思ったんで、俺ん家まで運んだんです」
不破は、優しい笑顔でぺこらを安心させるためにそうこたえた。
「……」
信じてもいいのだろうか。この男の話を
ぺこーらが頭を悩ませていると
グゥゥゥゥと自分のお腹がなった
「「・・・」」
ぺこーらは顔を真っ赤にして俯いた
空気読めよ!?ぺこーらの腹💢何でこのしんみりなってる時になるねん💢!?
「あっお腹!空きましたよね!朝ご飯出来たところだったんで食べましょう」
「俺準備してくるんでゆっくり来て貰って大丈夫なんで、あの」
「えっハイ」
パタンと扉が閉まり、男が去って行く
「っはぁ〜〜〜〜〜疲れた」
ぺこーらは、さっき不破が言った言葉を思い返した。……本当に信じてもいいのだろうかあの人の言葉を…。でも今は知らない場所で頼れる人があの人しか居ない。なら…信じて見よう。きっとここを抜け出してもあの人以上に善意を持った人はそうそういないだろうし。
そう考えているとまた、グゥゥゥゥとお腹がなった。
「そういえば、昨日から何も食べてないぺこ」
僅かに空いた隙間からいい匂いが漂ってくる。また、あの人に会わないといけないのか
(コミュ障)
…行くかぁ〜
部屋に合わせて買ったグレーのテーブルに
ランチョンマットを敷き次々とお皿を乗せていく。
今日の朝食は焼いた食パンに目玉焼き、ソーセージとサラダ、ヨーグルトと一般的な朝食だ。だが最近は睡眠不足が祟っていた為、しっかりとした朝食を作るのは久しぶりかもしれない。
そういえばあの人の名前聞いてなかったわ。
ふと先程目が合ったことを思い出す。日本では余り見ない綺麗な薄い青色の髪にオレンジ色の中に小さな兎がいる綺麗な瞳。目があった途端あの瞳に吸い込まれそうだと錯覚したくらい綺麗だった。そしてあの頭から生えていてまるで生きているみたいに動く耳。ちょっと触ってみたい
ガチャっと上の方から音がして、トントンと女が階段を下りてくる。
先程の事があったからか少し警戒心と気まずさを混ぜ合わせていた。
それに、多分人見知りなんやろなぁと思いこちらから話しかけることにした。
「あ、来ましたね!こっち座って貰って」
と向かいの席を差し示す。
「ハイッ」と女性が座った。
手を合わせると女性もぎこちなく手を合わせる。
何か兎なのに犬みたいだわ、、とか思ったら失礼か
「んじゃ、いただきます」「いただきます」
食べ始めるとさっき気になった疑問を思い出した。
「そういえば名前、何ていうんすか?」
「俺は不破湊って言います。」
「髪とか見た感じ外国の方ですか?」
「えっ?」
「あ、言いたくないなら全然全然。今時個人情報なんて極秘中の極秘なんでね!」
そう言うと女性は困った素振りを見せた。
「…もう、分かってると思うんですけど」
女性はたって、フードを外すと立派な耳をみせて、
「改めまして、
兎と人間のハーフ、
兎田ぺこらと申すペコ。」
と言い頭に生えた耳をピンと伸ばし
綺麗にお辞儀した。
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