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グリーアの領主館は町の北東部にあり、高い城壁に覆われるようにして建っている。

わたしとレインは、その城壁の裏口のひとつにまわって、周囲にある木立に息をひそめて身を隠していた。

ふたりとも隊服の上から黒い大きな上着をひき被って、それとなく正体を隠している。

「……チャドの仲間たちから合図があったら、ここから飛びだして領主館に侵入する。俺のあとについてこれるな、海春」

「はい……!」

ちらりと視線を向けるレインに、わたしは真剣な面持ちでうなずく。

少しの異変も見逃さないようにと、はりつめた表情でいる彼の横顔は、この暗闇の中にあっても息を呑むほどに整っている。

……わたし、この人と両想い、なんだよね……?

なんだか信じられない思いで、さきほどの彼とのやりとりを思いだしてひとりでどきどきしはじめてしまった矢先、屋敷の正門側で突如まぶしい光がカッとまたたいて、闇夜をいっとき昼間のよう*************

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