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#たぐ?なにそれおいしいの?
ぴよっこ
184
なー
43
#ハンドレッドノート
こはく@忙しいね
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「ごめん。もう右手くんと左手くんとはいられない……」
事務所の重い扉の、その前。
冷え切った朝の空気の中に、小さな名探偵の呟きが溶けていく。
凍てつく冬の雨が、冷たく濡れたコートの肩を容赦なく叩いていた。
頬を伝うのは、雨水だけではない。
熱を持った何かが次から次へと溢れ出て、視界をぐにゃりと歪ませていく。
それが悔しさのせいなのか、それともあまりの寒さのせいなのか、自分でももう分からなかった。
ただ、細く震える声だけが、静かな路地に空しく響く。
気づけば、冷たい雨の降る街を宛もなく歩いていた。
傘などない。
けれど、そんなことはどうでもよかった。
濡れていく身体の冷たさすら、今の彼には感じる余裕すらなかった。
足元に広がる水たまりが、重く鈍い音を立てて波紋を広げる。
傘も差さず、ただ俯いて歩くその小さな背中は、行き交う人々の足音にかき消されそうだった。
いつからだろう。
彼らの存在は、いつのまにか孤独な戦いにおける唯一の救いになっていた。
ギブアンドテイクと言われた絆。
絆と言われた契約。
契約と言われた友情。
けれど、その友情を自ら断ち切らなければならない理由が、彼にはあった。
これ以上、彼らを巻き込むわけにはいかないという、痛切な決意が胸を締め付ける。
「……っ、ぐずっ」
込み上げる熱いものを抑え込もうと小さく息を吸い込むが、震えは止まらない。
雨粒が頬を打つたび、瞳からあふれる涙を洗い流していく。
どれくらい歩いただろう。
ふと顔を上げた視線の先に見覚えのある公園のベンチがぼんやりと浮かび上がる。
そこは、かつて彼らと”約束”した場所だった。
冷え切った体を引きずるようにしてベンチのたもとにたどり着き、力なく腰を下ろす。
ベンチの汚れ?雨に濡れたコート?そんなのはどうでもよかった。
濡れたコートの袖が冷たく肌に張り付くけれど、心の痛みに比べればそんなものはどうでもよかった。
自分の両手をそっと持ち上げてみる。
そこにはもう、いつもの温もりも、心地よい重みもない。ただの自分の手だった。
「……ひとりは、やっぱり、寒いな……」
誰に届くともない呟きは、冬の冷たい雨音にかき消され、小さな白い息とともに夜の闇へと消えていった。
───数時間前
「右手くん、今から施設に行ってくるね。」
「ええ、分かりました。気をつけて行ってらっしゃい。」
「うん!」
そう言って、よくはしゃぐ小さな名探偵は事務所の扉を開け、外に出る。
「ふふっ♪みんなに会えるの、楽しみだなぁ。」
と、呟くと少し足取りを速くして施設へ向かった。
今日は快晴。
何日かぶりに晴れた、雲ひとつない青空。
───数時間後
「そろそろ僕もう帰らないと…… 」
「ええー。まだ千トお兄ちゃんと遊びたい〜!」
「ごめんね、また再来週、絶対来るから。」
「それまで、いい子にして待っててね。」
「……!」
「うん!」
「いつもありがとうございます。」
「いえ、どういたしまして。」
「それでは。」
外に出ると、もう星が出ている時間だった。
「早く帰らないと……」
少しいつもより速足で事務所までの道を歩く。
その時だった。
「あのさ……君って、ネストの探偵だよね?」
「え、あ……はい………」
見ず知らずの人と話すのは緊張する。
今から、何を言われるのか、何をされるのか。
それが分からない恐怖もあって、声は震え、目は少し涙目になっていた。
そんな千トに男性は口を開く。
「あ、やっぱりそうだよね?」
「皇……千ト君?」
「あ、……はい。 」
なんで、僕の名前まで知って…
「君に話したいことがある。」
依頼……じゃない?
じゃあ、何をされるのか。
これから自分を誘拐でもするのか……?
それとも───
「皇 千ト、ネストを辞めて俺らの仲間になってくれないか。」
「え……」
”拒否”その言葉が最初に頭の中に浮かび上がった。
「すみまs……」
すぐ断ろうとした。
その瞬間、その男性の目付きが鋭くなった。
「こいつらのこと、知ってるよな?」
さっきより少し低い声。
男性は千トに写真を見せる。
2人の男性。
右にいる人、暗めの色の髪は、長いけどすっきりしている。
目元は穏やかさのある切長の目。
黒を基調としたスタイリッシュな服。
左にいる人、同じく暗めの色の髪は、右にいる人とは違い、無構造でラフ。
少し鋭さや気だるさを感じさせる目つき。
白を基調とした少しラフな服装。
間違いない。
「右手くん……と左手くん……ですか?」
「ああ、そうだ。」
「記録者だろ?お前の。」
「だから、断ったら……分かってるよな?」
「ッ……」
2人なら、平気。
こんな人、すぐに───。
そう思ってる。
いつもなら。
さっき、話しかけられた時に一瞬だけ読心をした。
この人は、全てを知っている。
右手くんと左手くんのことも、”ボク”のことだって……
いくら強い人にも”弱み”がある。
それを知ってしまっている者には逆らえない。
「……分かりました。ついて行きます。」
「協力、感謝する。」
これでよかったんだ。
これで……
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コメント
1件
読み終えました……冒頭の雨のシーンが本当に心に沁みました。「ひとりは、やっぱり、寒いな」という呟き、その前に自分の手に「温もりも重みもない」と気づくところが切なくて。時系列が巻き戻って、なぜ別れを選んだのかがわかる構成も引き込まれました。千トくんの小さな背中に、見えない重荷をぎゅっと背負わせてしまった感じがもどかしい。右手くんと左手くんの存在そのものが彼にとってどれだけ大きなものだったか、だからこその決断の重さが伝わってきました。続きが気になりますね……