モゾモゾと蠢く触手は、冷たく滑らかな感触でフクの両手と両足に絡みつき、
ゆっくりと締め上げていった。まるで生きているかのようなその動きは
無機質であるはずのデジタル空間の中でも、異様なまでの現実感を持っていた。
フクは必死に抵抗しようとしたが、身体は完全に拘束され、動くことができない。
「何これ!キモ!!」フクは声を振り絞って叫んだ。しかし、その叫び声は、
広がる暗闇と不気味な静寂に呑み込まれ、虚しく響くだけだった。冷たい粘液が、
ぬるりとフクの全身を覆い始めた。触手に付着したそれは、不気味な光沢を帯びていて
体に張り付くたびにじんわりと体力を削り取っていく。
吸盤がフクの胸に押し付けられた瞬間、異様な感触が広がった。
吸い付く力は肉体だけでなく、意識までも奪い取ろうとするかのように強力で、
痛みではなく、深い疲労感が彼を襲った。
「この攻撃は…なんだ…これじゃ、まるで…」フクは混乱しながらも、
その状況の異常さに気づき始めた。ゲームの中での攻撃とは思えない、
不快感と屈辱感が同時に押し寄せ、恐怖がさらに増していく。
ふと、シンシアの方に目をやると、彼女は完全に力を失っていた。
体力が尽き、地面にぐったりと倒れ込んでいる。シンシアは、もう戦う余力すら残っていなかった。
その間にも、触手はフクの太ももをじわじわと這い上がり、肌にじっとりとした粘液を塗りつけていく。
その動きはまるで意図的で、ひどくゆっくりで、緩慢な拷問のようだった。
そして、とうとうフクの履いていたパンツも粘液で溶け始めた。
「もうやめてくれ!!」フクは怒りと恐怖で叫んだが、その声には既に力がなかった。
触手は無情にも絡まり続け、彼の身体を支配しようとするかのように、執拗に締め上げ続ける。
圧倒的な力と不気味な粘液に全身を包まれたフクは、次第に意識が遠のいていく。
恐怖が心を支配し、もはや希望など見えない絶望感に沈んでいった。
触手は容赦なくフクの下半身を這いずりまわり、フクの大事な部分を責めだした
守はいくらゲームとはいえここまですることに驚愕していた、目の前の分身が触手によって
犯されていく、「やめろ、そこはダメぇ!!」
その時、突然――真っ白な光がフクの視界を満たした。
モンスターの触手がフクの体を締め付ける力が緩み、その怪物はまるで時間が止まったかのように動きを止めた。
光は徐々にモンスターを覆い尽くし、まばゆい閃光と共に、跡形もなく消滅した。
暗闇の中に現れたのは、暗闇の中に現れたのは、サイバーパンク風の
魅惑的な女性戦士だった。
彼女の黒髪は光をまとい、美しいオーラを醸し出していた。
女性アバターは、フクとシンシアに近づくと、素早い動きで回復のエネルギーを放出した。
青白い光が二人の体にまとわりつき、徐々に力が蘇っていく。彼女は無言のまま、
呪文のような言葉を短く唱えると、突然、周囲の景色がぐるりと変わった。
次の瞬間、フクとシンシアは元のギルドに戻っていた
「シンシアさん、助かったよ」とフクは息をつきながら言った。
シンシアもほっとした表情で頷いた。「でも、女の子をあんなところに置いてくとは、ろくな奴じゃないね。」
「本当ですよ、あのモンスターがいることを知っていて、あのビルに連れていったにちがいない」とフクは憤慨した。
シンシアは微笑みながら言った。「でも、助けてくれた人はかっこよかったですね。」
「ええ、いつかお礼が言いたいです」とフクは感謝の気持ちを込めて答えた。
心の中に、彼女の優しさと、彼らを救ったヒーローの姿が深く刻まれていた。
翌朝、守は昨日のゲーム体験を思い返していた。
モンスターの触手が自分を絡め取り、粘液で装甲が溶けていくあのリアルさ――いくらゲームとはいえ、
あまりにも生々しかった。「あのゲーム、いったいどうなってるんだ……」守は苦笑しながら、歯ブラシを動かした。
最初の警告で「暴力的なシーンがあります」とは書かれていた。
しかし、まさかあそこまで過激だとは思ってもいなかった。無意識のうちに、
ふと紗良のことが頭をよぎる。
「まさか、紗良ちゃんもあんなゲームやってるなんてこと、ないよね…」その瞬間、
守の脳裏に紗良が同じようにモンスターに襲われている場面が浮かんでしまった。
可憐な姿が、冷たい触手に絡め取られ、助けを求める紗良。
「や、やめよう、何を考えているんだオレは…」守は自分に言い聞かせ、
気を紛らわせるように歯を磨き続けた。それでも、完全には頭からそのイメージを追い払うことができない。
「もし、紗良ちゃんがゲーム内であんなことになったら、オレ…助けられるかな…」
その考えが頭を巡る中、足元にフクが寄ってきた。守はふっと現実に戻され、
猫のフクに餌をあげる。「あぁ、オレは猫すら守るのが精一杯だよな…」守は小さくため息をつき、
フクが夢中で餌を食べる様子を見つめながら、またゲームの世界へ戻ることを少し考え始めていた。