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1,904
みるくちょこ🍫
国が平和になって、落ち着いた頃。
オレ達貴族の元素七財閥は、金主催の温泉旅行に行くことになっていた。
金、銀、銅、鉄、水銀、白金、それからオレ。
この七名は、昔からこの国の貴族たち…遷移元素を代表する貴族だった。
故に交流が多く、プライベート的な関係も割とあったりする。
それのおかげか、その日は金の主催で温泉街へ旅行しに行くことになっていた。
正直に言えば、その時のオレは何も疑っていなかった。
ただの慰安旅行。
貴族同士の、よくある息抜き。
仕事の延長みたいなものだと思っていた。
……まさか、あの温泉街が、
オレの情緒を破壊する現場になるとは、
この時はまだ、想像もしていなかった。
金「よし!!全員揃ったな!!!!」
金「さて、車は俺様が手配しといたから、早速乗ってくれ!!!」
銀「あら、態々手配してくれたのね。ありがとう、気が利くじゃない」
至極当然のように出てきた高級車に全員で乗る。
やがて、車が走り出した。
水銀「お〜!!はっやぁ〜い!!!」
白金「あまりはしゃぐな。あと、ここで身体を溶かすな」
水銀「えぇ、いいじゃんか〜!!」
水銀「ほら、手をこうやって溶かすと…見てみて!!!かーえるっ!!!」
白金「…」
どこか距離が近い白金と水銀を横目に、銅が話し始めた。
銅「…あの二人、あんな距離近かったっけ」
亜鉛「気のせいじゃね?車だから物理的な距離も仕方ないし」
鉄「まぁ、白金て普段誰とも喋らないし。」
鉄「水銀ちゃんくらいのテンションがちょうどいいんじゃな〜い?」
……まぁ、白金と水銀は、昔からああいう感じだった気がする。
多分。
そんな感じのテンションで会話してると、
やがて前の席にいた金から声をかけられた。
金「お前ら、そろそろつくぞー?手荷物まとめとけ〜」
白金「…承知した」
亜鉛「ぇ、もうそんな時間か!!!うわ、スマホどこやったっけ!?!?」
鉄「なんか私の膝に落ちてるよ〜?」
亜鉛「わぁ!!ありがと、鉄さん!!!」
そんなこんなでバタバタしていると、あっという間に目的地についた。
そして、その日の夜。
金がとった宿を借りて、飯も食って、ついに温泉に入る。
まぁ、鉄さんと銀さんは女湯だから、
全員で同じ湯に浸かるわけではないけど。
…そこで、事件は起きた。
銅「あ〜、いい湯だぁ…たまにはこういうのも悪くないな」
亜鉛「だなー、気持ちい」
金「だろ!!流石俺様が見込んだ宿だ!!!」
亜鉛「アーハイハイ、ソーデスネー」
金「棒読みやめろ!!!」
俺達が大人気なく温泉の中で鬼ごっこを開始すると、
向こうから、かすかに白金の声が聞こえた。
白金「_______そういえば、水銀。ちょっといいか」
空気が凍った。
だって、白金が。
あの白金がだれかの名前を…呼んだ。
白金は、普段は個人の話をしない。
個人名を出すなんて尚更珍しい。
そしてそれを『そういえば』で切り出すということは、俺達にとっては異常事態だった。
だというのに当の本人たちはさも当たり前のように会話を続けた。
水銀「ん〜?なぁに?」
白金「君、湯の温度が上がると動きが遅くなるな」
水銀「そりゃあね〜、流動性ってやつ?」
白金「…やはりそうか」
……何だ今の????
白金が…あの白金が…?
普通に会話をしている…!?!?!?
しかも水銀と!?!?
……いや、待て。
きっと、ただの雑談だ。
深い意味なんて、あるはずがない。
水銀「ね、僕が溶けすぎたら、白金は引き戻してくれる?」
白金「…必要ならば」
亜鉛「…………?????????????」
…オレ達はなにを見せられているんだろう。
まるで宇宙猫になった気分だ。
金「…白金って、誰かの名前呼ぶんだな」
亜鉛「だな。オレ、初めて見たかも…」
しかし、オレは知る由もなかった。
この後、さらなる爆弾が投下されることを…。
風呂が終わって、卓球やトランプをやって、そろそろ就寝の時間。
白金と銀さんがラケットを持つだけでなんか神々しく感じたり、
金が連敗したり、
水銀がババ抜きで謎に覚醒したり、
銅が七並べで変な作戦を考えたり、
鉄さんが紙に謎の魔法陣を書いたり。
とにかくカオスだったが、それも終わりのようだ。
金「いやぁ、楽しかったな!!!」
金「そうだ、記念に明日全員分のアクセサリーでも奢ってやろうか!一人500万な〜」
銀「あらぁ、お金遣いが荒いこと」
金「いーだろ、金ならバカみたいに余ってるんだし」
鉄「そしたら私は大きなダイヤモンドのネックレス貰おうかなぁ〜」
金「一人500万だからな!?!?それ億くらいするだろ!!!」
亜鉛「金ならバカみたいに余ってんだろ〜?オレも同じの貰おっかなぁ」
金「お前らなぁ…!!いくら俺様が優しいからって!!!」
寝る気配がまるでない会話に、水が落ちた。
白金「______水銀」
水銀「ん、どしたの?」
低く、無駄に神々しい声が、
再び水銀を呼んだ。
さきほどの光景をみていなかった鉄さんと銀さんが思わず息を飲んだ音がした。
…オレ達も、再び二人を凝視した。
白金「明日、起こしてくれないか?…私が朝に弱いの、知っているだろう」
水銀「え〜、しょうがないなぁ。全力で叩き起こすね!!!」
白金「…なるべく穏やかに起こしてくれ」
…
huh〜〜〜〜????白金貴方朝弱いんですか??????
オレ初耳なんですけど???
しかも水銀知ってたの?????
さっきからなんなんだこの二人????
huh〜〜〜〜〜???(宇宙猫)
亜鉛「…なぁ、銅…あれさ…」
オレは少しためらった後、小声で、吐き捨てるように言った。
亜鉛「デキてるよな、あれ…いや、あー…」
亜鉛「…なんでもねぇ」
いや、何いってんだオレ!!!
別に、あれくらい友達同士の会話で!!
白金が普段特殊すぎるだけで!!!!
別に友達同士の会話だから!!!!!
しっかりしろ、オレ!!!!!!!
…と、自分に言い聞かせると、
銅がオレに対して、こう呟いた。
銅「…確かにあの距離は疑わしい」
亜鉛「え?」
銅「もしかしたら身体を許しあった仲だったりするかもしれない…」
亜鉛「銅??????」
銅「(ピーー)とか(バキュンバキュン!!!)とか(ドーーン!!!)とかも既にしたかもしれない…」
亜鉛「ちょストップストップ!!!やめろ!!!!!!!」
自分でも顔に熱が集まるのがわかった。
咄嗟に大声でやめろと言うと、全員の視線がこっちに向いた。
銀「…どないされました?銅はんになにか…」
亜鉛「あー!!なんでもない!!!なんでもないんだ銀さん!!!!!」
金「絶対なんかあっただろ」
亜鉛「なんでもない!!!なんでもねぇから!!!!」
必死にオレが誤魔化すと、『ふぅ〜ん』と言って再び布団に潜った。
あぁ、オレ何してんだ…!?
というか銅!!!急になんなんだ!?!?
規制音つくレベルのやべーこと急に言い出しやがって…!!
…それにしても…(ピーー)かぁ。
いやそんな訳!!
そんな訳ないって!!!!
うん、大丈夫、落ち着けオレ!!!!
大丈夫だ!!!
オレはまだ、普通だ!!!
そう思い込むみたいにして、
オレは半ば強引に目を閉じた。
コメント
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まさかの酸素とかのよく見る奴じゃなくて亜鉛が主人公だったパターンとは…!ダメだ、元素たちも尚カオスすぎて好き ……酸素って元素だっけ? (科学全般に学がないヤツ)