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#その他
𝕕𝕣𝕖𝕒𝕞
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※注意
このストーリーは二次創作になります。
ご本家様には関係がありません。
二次創作ですが、口調迷子や年齢の変更などがあります。
内容によっては、心中や暴力表現がされると思います。
設定がぶっ飛んでいるので、何でも大丈夫な方のみ読み進めてください。
ノベルで書くのが初なので、読みづらいかもしれないです。
第1話『有名アイドルの取扱注意なマドレーヌ』
彰人Side
「お待たせいたしました。こちら、当店特製の苺のミルフィーユです。
どうぞごゆっくりお召し上がりくださいね。」
オレンジのふわふわとした髪を揺らし、完璧な王子様スマイルを浮かべる。
それだけで、目の前の女子高生たちは「キャーッ!」と顔を真っ赤にした。
ここ、パティスリー『シュクル・エ・シュール』は、今SNSで人気爆発中の
超有名なカフェ。
俺は、フロアでお客さんたちをメロメロにする『完璧な好青年』を演じ続けている。
もちろん、すべては店を繁盛させるための猫被りだが。
なにせ俺は、この店にお世話になっているちょっとわけありの身なのだから。
「ふぅ……。今日も疲れた……」
夜になり、パタパタと営業終了の看板を出した瞬間、俺は大きくため息をついて首の骨を
鳴らした。顔の筋肉を緩め、素に戻る。
「お疲れ様、彰人くん。今日もあなたのおかげで大大繁盛ね」
厨房から顔を出したのは、茶髪のストレートボブがよく似合う、店主のメイコさん。
見た目は20代の綺麗なお姉さんだが、どんな願いも叶う『魔法のお菓子』を
作れる謎多き師匠で、恩人だ。
「ほんとだよ。彰人くんのあの顔、いつ見ても商売上手だよね〜。
あ、この新作のクッキー美味しい!」
「あ、カイトさん!? 何勝手に食ってんだよ!」
カウンターの椅子で、青髪のストレートヘアーを揺らしながら売り物のクッキーを
モグモグ食べているのは、メイコさんの知り合いのカイトさんだ。
「カイト……。それ、明日の限定商品なんだけど?」
背後に般若のような笑みを浮かべたメイコさんが立っている。
カイトさんは一瞬で青ざめ、俺を指差した。
「わっ、メイコ! いや、違うんだ!
彰人くんも食べたそうな顔してたから、一緒に食べようとしてて!」
「俺を巻き込むんじゃねえよ、カイトさん!」
「ふふ、相変わらず賑やかね。」
不定期にフラッと現れるルカさんが紅茶を飲みながらクスリと笑う。
俺は文句を言いながらも、メイコさんから手渡された試作のタルトを一口、
口に放り込んだ。
パクッと食べると、苺の甘みがふわっと口の中で広がった。
「……っ! んま…………っ。幸せすぎる……」
俺の様子を見て、メイコさんは優しく目を細めた。
時計の針が、深夜12時を指そうとしている。
お店の温かい照明が、すうっと幻想的な深い色へと変わっていく。
ここからは、強い悩みや願いを持つ者だけが迷い込む『裏の営業』の時間だ。
「彰人くん、もうすぐお客様が来るわ。
相手の言葉をよく聞いて、絶対に砂糖の量を間違えないようにね。
魔法は紙一重なんだから。」
「……分かってるって、メイコさん」
俺は気持ちを整えるように、エプロンを締め直した。
◇ ◇ ◇
遥Side
夜、午前零時。
とあるマンションの一室で。
ベッドの中で、私はスマートフォンを見つめていた。
画面に映っているのは、今SNSで「映えスイーツの聖地」と大バズりしている人気店
『シュクル・エ・シュール』のアカウントだ。
オレンジ髪の店員が笑顔で持っている新作ケーキの写真は、タイムラインを華やかに彩っている。
けれど、心は落ち込んだままだった。
ありがたいことに有名アイドルになった私には、恋人がいる。
同じグループのメンバー、みのり。
有名になったからか、お互いへの想いがズレてしまった。
「…はぁ。どうしてだろう…。」
私は、数年前の楽屋での出来事を思い出していた。
あの日、先に着替えを終えたみのりが、真っ赤な顔で私を見つめた。
「あのね、遥ちゃん!わたし、遥ちゃんの隣に立てるのが、今でも夢みたいに嬉しくて。」
みのりは恥ずかしそうに長いまつげを伏せてから、ブレないまっすぐな瞳で私を見つめた。
「わたし、実力はまだまだだけど、遥ちゃんを大好きな気持ちだけは
誰にも負けない自信があるよ!!世界で一番、わたしが遥ちゃんを愛してるもん!
遥ちゃんが隣にいれば、もっともっともーっとがんばれちゃう!!」
顔をリンゴみたいに真っ赤にして、一生懸命に愛を伝えてくれたみのり。
「自信がある」と言ってくれた姿が、愛おしくて、私の胸をこれ以上ないほど
甘く満たしてくれた。
――なのに、どうして。
今日の撮影の合間。
大型ビジョンに映る、数々の一流芸能人に囲まれて笑顔を浮かべる遥の姿を、
みのりは少し離れた場所から見つめていた。
そして、寂しそうにポツリと、あの優しい声で呟いた。
『遥ちゃんは、昔からキラキラ輝いてて、可愛くて
きっと、わたしよりも、もっと素敵な人がお似合いだよね……』
「違うのに……っ」
ベッドの上で、スマートフォンをぎゅっと握りしめた。
世間に言えない関係だからこそ、テレビの向こうの華やかな世界と自分を比べて、
みのりは自信をなくしてしまった。
「自信がある」と言ってくれたみのりが、今は不安で泣きそうな顔をしている。
(私が愛しているのは、みのりだけなのに。お似合いから好きになった訳じゃないのに。
私の1番は、今も昔もみのりなのに。どうして信じてくれないの……?)
ぐるぐると回る不安のなか、時計の針がぴったり深夜12時を指した、その瞬間だった。
『――チリン』
静まり返った部屋に、スマホからドアベルの音が響いた。
「え……?」
画面がバグったように一瞬だけ暗転する。
それと同時に、スマホの画面の向こうから、香ばしくて甘い、焼き立てのお菓子の
【微かな香り】がふわっと鼻腔をくすぐった。
あり得ない現象に困惑しながらも、遥はその甘い香りに誘われるように、不思議と
スマホの画面へと手を伸ばしてしまった。
遥の指先が画面に触れた――そう思った時。
視界がぐにゃりと歪み、ベッドの感覚が消える。
ハッと我に返ったとき、私は、月明かりに照らされた静かな路地裏に立っていた。
目の前には、アンティーク調のガラスの扉。
「うそ……私、さっきまで部屋にいたはずなのに…。」
目の前の扉からは、先ほどスマホから漂ってきたのと同じ、甘い香りが溢れ出ていた。
遥がその扉を押し開けると、カランカラン、とドアベルが店内に鳴り響いた。
「いらっしゃい。ずいぶん重たい悩みを抱えてるみたいだな。」
◇ ◇ ◇
彰人Side
店に訪れたのは、街頭の大型ビジョンやテレビで、見ない日はないほどの
有名アイドル――桐谷遥だった。
いつも画面の向こうで弾けるような笑顔を見せているアイドルが、今にも泣き出しそうな
顔をして俺を見ている。
「驚かないんだ…。」遥はぽつりと呟く。
カウンターの奥のテーブル席では、ルカさんとカイトさんが静かに紅茶をすすり、
メイコさんは優しく微笑んでいるだけだ。
誰も、目の前にアイドルが現れたことに騒ぎ立てたりはしない。
「ここはそういう店だからな。有名人だろうが一般人だろうが、ドアを叩く奴はみんな、
何かしらの『願い』を持った迷子だ。…とりあえず、そこに座れよ。」
俺が椅子を指差すと、遥は小さく頷いて腰掛けた。
「…ありがとう。」
メイコさんは淹れたての温かいミルクティーを遥の前に差し出した。
遥は深く息を吐き出した。
そして、スマートフォンの画面をぎゅっと握りしめ、誰にも言えない胸の奥の本音を
ぽつり、ぽつりと溢らし始めた。
「私には……大切な人がいるの。同じグループの、みのり。
世間には絶対に言えない、私たちの秘密の関係」
俺は何も言わず、ただ静かに彼女の話に耳を傾ける。
「みのりは、いつも私を『キラキラ輝いてて、可愛くて、わたしよりも
もっと素敵な人がお似合いだよね…』って言って、寂しそうに笑うの。
……違うのに。私が愛しているのは、みのりだけなのに。
女性同士だから、大きな声で『私の恋人』って世界に自慢できないから、
みのりは自信をなくしちゃってる。みのりに、私からの愛をちゃんと信じてほしい。
自信を持ってほしいの」
語るうちに、遥の瞳に強く、真っ直ぐな強い光が灯っていく。
「私にはみのりしかいない。目移りなんて絶対にしないって
心の底から分からせてあげたいの。私だけを、見ていてほしい…!」
痛いほどの純愛だ。俺はその言葉の裏にある『危うさ』に眉をひそめた。
遥の想いは純粋すぎるがゆえに、少し重たくて、暴走寸前の一線に
足を踏み入れかけている。
「…なるほどな。桐谷がその『みのり』って奴を死ぬほど好きなのはよく分かった。
でも、魔法は紙一重だ。桐谷のその強い想いをそのまま全部お菓子に込めたら、
相手を救うどころか、狂わせちまうかもしれねぇぞ。」
「え……?」
遥がハッとして息を呑む。
「桐谷だけを見ていてほしい、か。
もし『それ』を100%込めたお菓子を相手が食べたらどうなると思う?
みのりって奴の愛が狂気に変わって、『遥ちゃんを誰にも渡したくないから、二人で
部屋に引きこもって、一緒に死のう?』なんてヤンデレになっちまうかもしれないんだぞ」
「そんな……っ! 私は、みのりにそんな風になってほしいわけじゃ……!」
遥が青ざめて俯いた。
その時、静かにメイコさんが遥に問いかける。
「彰人くんの言う通りよ、遥ちゃん。
お菓子の魔法は、あなたの想いを何倍にも膨らませて相手に届けてしまうの。
だから、最後に私からひとつ、質問させてちょうだい。」
メイコさんは遥の目をまっすぐに見つめ、一番大切な質問を投げかけた。
「あなたはみのりちゃんに、どんな想いを一番伝えたいの?」
遥は胸に手を当てて、じっくりと自分の心と向き合った。
独占したいんじゃない。縛り付けたいわけでもない。
ただ、自分のせいで大好きな人が寂しそうに笑うのが、耐えられないだけ。
自分が本当に届けたいものは……。
「……私、みのりに、安心してほしいんです」
遥の瞳から、大粒の涙がポロポロと溢れていく。
「私の隣にいるのは、みのりだけだから。世間に何も言えなくても、
私はずっとみのりの味方で、みのりだけを愛してるから。
だから……不安にならないで、笑って安心してほしい。ただ、それだけなんです…!」
本音を絞り出した遥を見て、メイコさんは満足そうに微笑んだ。
「ふふ、よく言えたわね。合格よ。
彰人くん、オーダーは『安心の味』。
彼女たちの未来を優しく包むような、最高のマドレーヌを焼きましょう」
カランカラン、と二度目のドアベルが鳴り、遥が夜の街へと消えていった。
「…さて。ルカもカイトも、空気を読んで先に帰ったことだし。始めましょう、彰人くん」
メイコさんがカウンターの片付けをしながら言った。
残された深夜の厨房には、俺とメイコさんの二人だけ。
昼間の賑やかさが嘘のように、静まり返った空間にオーブンの予熱の音だけが
低く響いている。
「マドレーヌか。…一番シンプルで、一番誤魔化しが利かないやつだな」
俺は小麦粉やバター、そしてたくさんの卵を調理台に並べた。
マドレーヌは、2枚の貝殻がぴったり合わさる形から
『縁結び』や『もっと仲良くなりたい』という意味を持つ。
今回の遥の願いにこれ以上ないほどぴったりなお菓子だ。
だからこそ、紙一重の罠がある。
「分かってると思うけど、遥ちゃんが最初に口にした『私だけを見て』っていう
独占欲の味は、絶対に混ぜちゃダメよ。そんなことをしたら、
お菓子を食べたみのりちゃんが、遥ちゃんを監禁しかねないヤンデレに化けちゃうわ」
「耳にタコができるほど聞いてるって。遥が最後に言った、『ただ、安心して笑ってほしい』って味だけを、純度100%で抽出すりゃいいんだろ」
俺はボウルを持つ手にすっと神経を集中させた。
これからが、『シュクル・エ・シュール』の見習いパティシエとしての仕事だ。
はかりの上にバターをのせる。
1グラムの狂いも許されない。
だが、本当に量らなければいけないのは、材料の重さではなく、俺自身の「想いの量」だ。
(安心してほしい。俺は、ずっとお前の味方だから――)
遥の綺麗な本音を自分の心に強く思い描き、それを指先から生地へと練り込んでいく。
泡立て器を動かすたび、ボウルの中で卵と砂糖が白く、とろりとした状態に変化していく。
その甘い匂いを嗅いでいると、俺の胸の奥からも、ドロリとした「別の重たい感情」が溢れてくる。
(……くそ。油断すると、混ざりそうになるな)
俺には、忘れることの出来ない相手がいる。
『俺を忘れないでくれ』
そんな俺自身の、エゴにまみれた想いが、油断すると遥のマドレーヌの生地に
混ざりそうになってしまう。
「彰人くん。手が止まってるわよ。自分の砂糖を混ぜるんじゃないわ」
メイコさんの鋭くも優しい声が、厨房に響いた。
ハッとして顔を上げると、メイコさんが、愛用のパレットナイフの柄で俺の額をコツンと
軽く叩いた。
「ごめん、ちょっと雑念が入った」
「あの子たちに必要なのは、彰人くんの未練じゃないわ。
遥ちゃんがみのりちゃんを優しく包み込みたいと願った、あの『安心の味』よ。
自分の想いの量を完璧にコントロールしなさい」
「…分かってる」
俺は深く息を吐き出し、胸の奥の想いをぐっと檻の中に閉じ込めた。
今、俺の狂気で、あの一途なアイドルたちの未来を壊してなるものか。
完全に精神を統一し、遥のピュアな「守りたい」という祈りだけを、完璧な黄金比率で
生地に溶かし込んでいく。
シェル型の型に均等に生地を流し込み、予熱の完了したオーブンへと滑り込ませた。
――カチャ、と重い扉が閉まる。
数十分後。
焼き上がったマドレーヌは、中央がぷっくりと膨らみ、綺麗なキツネ色をしていた。
優しく、どこかホッとするような、甘くて香ばしい香りが厨房いっぱいに広がる。
「…どうですか、メイコさん」
俺が焼き上がったマドレーヌを差し出すと、メイコさんは焼き目をじっと見つめ、
それから小さく満足そうに笑った。
「合格。100点満点の『安心の味』ね。
これなら一歩間違えてヤンデレ化する心配もないわ。さあ、あの子たちの元へ届けるわよ」
メイコさんが指をパチンと鳴らすと、焼き立てのマドレーヌたちは、可愛いラッピング箱にいつの間にか収まり、厨房の空気の中に溶けるようにして消えていった。
夜が明ければ、みのりの机の上に、知らぬ間に届いているはずだ。
「ふぅ……。終わったぁ……っ!」
張り詰めていた緊張の糸が切れ、俺は調理台に突っ伏した。
「お疲れ様、彰人くん。はい、これ。頑張ったご褒美」
メイコさんが、表の営業用に余っていた苺のタルトを差し出してくれた。
俺はそれを大きな口でパクリと頬張る。
「…んま…っ!!! なにこれ、やっぱりメイコさんのタルト、世界一だわ…。」
メイコさんは呆れたように、でも嬉しそうにクスリと笑ったのだった。
◇ ◇ ◇
みのりSide
翌朝。
カーテンの隙間から、柔らかな朝の光がリビングへと差し込んでいる。
今日は数少ないお休みの日。
先にベッドから抜け出したみのりは、まだ眠っている遥を起こさないように静かに
キッチンへと向かった。
「……あれ?」
寝ぼけ眼をこすりながらキッチンへ向かったみのりは、ピタッと足を止めた。
そこには、昨日の夜には絶対になかったはずの、上品なリボンでラッピングされた
小さな箱が置いてあったのだ。
ゴールドの刺繍で、読めないフランス語の店名が刻まれている。
「遥ちゃんが買ってきてくれたのかな……?」
不思議に思いながらリボンを解き、箱を開ける。
その瞬間、ふわりとキッチンの空気を満たしたのは、胸の奥がキュンと切なくなるほど
温かくて、香ばしい焼き菓子の香りだった。
中には、ふっくらと綺麗なキツネ色に焼き上げられた、二枚の貝殻が合わさった形の
マドレーヌ。まだ、ほんのりと温かい。
「美味しそう……。ひとつ、もらっちゃおうかな」
みのりはマドレーヌをそっと指先で摘み、小さな口でひとかじりした。
「――っ」
口の中に広がったのは、ただの砂糖やバターの甘さではなかった。
それは、胸の奥に直接じんわりと染み渡っていくような『安心』の味。
(大丈夫。何があっても、私の隣にいるのはみのりだけだから。
ずっと、みのりだけの味方だから――)
まるで遥が目の前で、自分を優しく抱きしめながら耳元で囁いてくれているような
そんな温かい錯覚に囚われる。
「自分なんて遥ちゃんに釣り合わない」「いつか他に素敵な人が現れて離れていっちゃう」という自信のなさが、嘘みたいにサラサラと溶けて消えていく。
◇ ◇ ◇
遥Side
「……みのり? 朝から何食べてるの?」
ふにゃふにゃと目をこすりながら、みのりに問いかける。
キッチンに置いてある箱を見て、遥は昨夜を思い出した。
(あのマドレーヌ、昨日の…?)
遥が考えていると、みのりは私の元へ歩み寄って、正面からぎゅっと抱きしめられた。
「え、みのり……っ!? 」
私のの肩に顔を埋めながら、みのりは今まで見たこともないくらい真っ直ぐで、
自信に満ちた声で告げる。
「遥ちゃん、ごめんね。わたし、もうウジウジ悩むのやめるね。
世間に大きな声で言えなくたって、遥ちゃんが私を選んでくれたこと、
胸を張って信じるよ。私、世界で一番幸せな自信があるもん!」
「……みのり」
遥の瞳が、じわっと潤む。
自分がずっと欲しかった「みのりの安心した笑顔」が目の前にある。
それが嬉しくて、遥もみのりの背中に腕を回し、強く抱き返した。
「うん……っ! ありがとう、みのり。私も、みのりが大好きだよ」
お互いの想いがぴったり『ちょうどいい』バランスで噛み合い、ふたりの絆は
もう誰にも壊せないものへと生まれ変わった。
朝のキッチンに、ふたりの幸せそうな笑い声が優しく響き渡っている。
(…ありがとう、店員さん)
第1話*Fin*
コメント
2件
サムネイルはAIに作成してもらいました。 ぜひ、これからも読んでもらえると嬉しいです!!
ああ、読み終えたよ。これはいい話だった。 まず、魔法のお菓子で願いを叶えるって設定に惹かれた。彰人が師匠のメイコさんに教わりながら、自分の雑念を完璧にコントロールして「安心の味」だけを抽出するところ、職人技だなと思ったよ。 それに、遥の「私だけを見て」っていう独占欲が、最後には「安心してほしい」っていう純粋な願いに変わっていく流れが丁寧で、自然に胸に響いた。マドレーヌの貝殻の形が縁結びの意味を持つって小道具の使い方も巧い。彰人の過去に何があったのか、今後も気になるな。 素敵なエピソードをありがとう。