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涼しい風が新しいリビングを通り抜ける。
ぼくは新調したテーブルクロスの上で新聞を読んでいた。
難しい漢字を飛ばして読んでいたけど、だいたいわかる。
それには、田中さん。あののっぺりとした丸顔の田中さんは、恐らく村田先生と共に忽然と消えたんだそうだ。
なんでも、田中さんは御三増駅で散弾銃を持った男と出会って、その後は行方不明になった。最後の目撃者は駅にいた人たちだったそうだ。
皆、口ぐちにあれは村田先生だったと言っていた。
不死の儀の村は、何故か山火事とだけ書かれていた。
それと、田中さんは野菜が好きみたいだ。
子供たちを野菜に混ぜることをして、好んで食べていたのだろう。
勿論、子供ごと。
偶然、警察の人たちが田中さんの家の裏庭で、野菜と共に埋まった子供の死骸を見つけたことで発覚したみたいだ。
ぼくが裏の畑でバラバラにされても生きている子供たちを見つけたのは偶然だったんだと思う。それを田中さんは見ていたんだ。
田中さんの下の名は、桜部木。大家族の田中さん一家の一人だったのかも知れない。
三部木さんたちは、その後どうなったのかな?
子供を食べるための不死の儀がないから、永久腐敗で……後は滅びるだけなのだろう。
御三増町だけのような。そうでないような事件だった。
ぼくは亜由美と新しい学校へ行く。
この新しい街で。
ここには、もう黒い事件は起きない。
でも、ぼくの体は、もう死んでいるので、何をしてもいいみたいだ。
また、不可解な事件があったら調査しようかな?
空腹感は幸いにも感じなかった。
学校の給食には辟易するけれども、なんだか生きているところもあるのかも知れない体を使って、思いっきり走ってみたい。
そう。これが、ぼくの真夏の忌まわしい事件だった。
結局、子供たちの仇は取れなかったのかな?
でも、もう子供たちは大人たちに食べられることはないんだ。
と、思う。
新しい学校では、今も生きていそうな部分で走ろう。
走ろう。
走ろう。