テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
バズの熱が、少しずつ落ち着いた頃だった。
登録者は増え続けてるのに、
私の心は、どこかざわざわしていた。
「……なんで、私はこんなに強いんだろ」
今まで考えないようにしてきた疑問。
でも、炎上を乗り越えた今、もう誤魔化せなかった。
その日、届いたDM。
《あなたのXP、正常じゃありません》
《転生者ですね?》
……は?
スマホを落としそうになる。
送り主は、
見たことのないアカウント。
アイコンは、白一色。
《放課後、旧ロビー跡に来てください》
怪しすぎる。
でも――行かなきゃいけない気がした。
夕暮れの旧ロビー跡。
使われなくなった端末、
剥がれたステージポスター。
「来たんだ」
声の主は、
フードを被った高校生くらいの女の子。
「……誰?」
「私も、転生者」
心臓が跳ねる。
「この世界、完璧じゃないの」
彼女――ナギは、静かに言った。
「たまに、前の世界の“データ”を持ったまま、
人が流れ込む」
「あなたは、その中でも異常」
ナギは端末を操作する。
映し出されたのは、
私のXP推移。
「成長曲線が、人間じゃない」
「……ひどい言い方」
「褒めてる」
彼女は、少し笑った。
「あなた、前の世界でスプラやってたでしょ」
「……見てる側、だったけど」
「それが理由」
私は首を傾げる。
「プレイヤーじゃなくて、観測者だったから」
ナギは続ける。
「何千試合、
何万人分の判断を、
無意識に記憶してる」
「それが、
この世界では“直感”として再生されてる」
鳥肌が立った。
「だからあなたは、
考えなくても最適解を選べる」
「XP4550は、才能じゃない」
「記憶の集合体」
私は、黙り込んだ。
努力してない。
でも、空っぽでもない。
前世の時間が、
ここで形になってるだけ。
「ねえ」
私はナギを見た。
「それって……ズル?」
「さあね」
彼女は肩をすくめる。
「でも、
あなたは楽しんでるでしょ」
――答えは、決まっていた。
「うん」
帰り道。
満員電車の窓に映る自分。
強くて、
普通で、
ちょっとズルい高校生。
でも。
笑ってる。
「この力で、
もっと楽しい青春にしよ」
XP4550は、呪いじゃない。
選べるカードが、少し多いだけ。
そして私は――
この世界で、私の物語を続ける。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!