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「あそこから煙があがっている」

ライルが目敏く見つけたのは、恐らく帝国軍の野営地だ。

あれから2日。

帝国と皇国の国境線になっている山の麓に辿り着いた俺達は、その翌朝から登山を始めていた。

その道は、俺がアーメッド共王国に向かった山道とは似ても似つかないほど優しい登山道だった。

山頂から見下ろした時に反対側には何もおかしな所はなかったので、帝国軍に見つからない様に登山道を逸れて下山した。

そしてまた山の中腹辺りに登ってからは、山の中を探し歩いていたのだ。

「報告にあった通りの場所だったな」

一応他の場所も調べながらの道中だったので、時間が余分にかかってしまったが仕方ない。

「丁度日も沈むし、沈んでから調べるか?」

「そうだな…問題ないか?」

「このくらい、なんてことはねーよ」

流石ダンジョンでぼっちだっただけはあるな!

今はリア充だからもう仲間じゃないけどなっ!!!

「よし。日が沈んだら向かうぞ。それまでは休憩だ」

俺達は転移で一度戻り、夕食を食べてから行動することにした。






カンカンッ

「間違いない。鉄だな」

俺は森の中の異物を叩いて音を鳴らした。

鉄塔だ……

そりゃ木の塔だと強度不足だから鉄塔になるよな。

「これだけの数の鉄塔を用意出来るのは、流石大国というべきか…」

「これが麓まで続いているんだろ?まだここは中腹だから完成までは大分かかりそうか?」

「ここまで作り上げたんだから要領は良くなっているだろうから、想像よりも早いかもしれないな。帝国むこう皇国こっちが小国と争うまでにこいつを完成させないと、意味が弱くなるから急いでいるのだろうし」

もしかしたら、完成しているところまでを資材運搬に使っているのかもしれないしな。

というか、試運転の為にもそうするよな……

この山は中腹この辺りまで山森になっているが、この上からは木が減っていき少ししたら全く生えていない。

ここまではロープが通る所と鉄塔を建てる場所の木を伐採しながら進んだはずだ。

ここからはその手間がなくなる分だけでも建設速度が上がるだろう。

「ターゲットは確認したけど、この後はどうするんだ?」

「これを使って妨害する」

俺は瓶を掲げてライルに見せた。

現代化学の出番が来たぜ!

聖奈さんに渡されただけだけどな!

「なんだそれ?」

「塩酸だ」

コイツを使って鉄塔の強度を落とし、事故に見せかけて完成させないってわけだ。

面倒だが、ただ単に壊しただけだと永遠に壊し続けないといけなくなるからな。

しかも一度目は簡単に妨害出来るだろうけど、その後は見張りが増えたりと対応が強化されるのは火を見るより明らかだ。

そして、皇国の妨害工作が明らかになるとつまらないことになってしまうからな。

今回の作戦は帝国にこの計画には無理があったと思わせるモノ。

用法用量をキチンと守って強度不足で壊れた様に見せることが、ライルの仕事ってわけだ。

「ふーん。こんな水みたいなものが鉄を溶かすんだな。知らないことばかりだ」

「これが聖奈からの指示書だ。日が昇る前にさっきの場所へ迎えに行く。任せたぞ」

「ああ。任せとけ」

ライルには悪いが、俺は帰って朝まで寝るとするか。






「どうだった?」

朝、帰ってきたライルに聖奈さんが報告を促した。

「指示された通りやって来た。ホントにあんなことで壊れるのか?」

「それは問題ないはずだよ。鉄を構成している成分は地球と同じだからね。

後5日くらい同じ作業を繰り返してくれたら、結果は出るはずだよ」

まぁライルからしたら水を掛けただけで鉄が溶けるとは思えないよな。

「間違って身体に掛かったら、ちゃんとすぐに洗い流してね?」

「今のとこ問題ねぇよ」

「未来の旦那様に傷をつけたらマリンちゃんに私が怒られちゃうから気をつけてね」

「けっ」

けっ。って言いたいのはこっちなんだよっ!!

くそっ!ヤケ飯だ!ミラン!おかわりっ!!

ロープウェイの仕組みは地球にあるものと変わらないと思う。

細い鉄線を束ねたワイヤーを支柱に回し、そのワイヤーを魔導具で回していた。

動力部はライルの報告によると、エリーが車の為に作ったモノとほぼ同じものだった。

帝国から水都があるナターリア王国かバーランド王国までは、皇国を通らない通常の道のりで往復半年以上かかる見込みだ。

何が言いたいかというと、このロープウェイにはエリーの技術が使われた可能性があるということだ。

「もしくはいるかもしれない異世界人かな?」

「私と同じ天才がいるとは思えないのできっとそうです!!」

うん。みんながエリーに頼み事をする時に変に煽てまくるから、こんな痛い子に……

まぁその代表格は俺なんだけど……

「まぁ技術が生まれた要因は一先ず置いておこう。ライルご苦労様。とりあえず今日の夜もあるから休んでくれ。

この後は帝国に行くんだろ?

調べているうちにその要因もはっきりするだろうし、とりあえず向かおうか」

「そうだね。百聞は一見にしかず。目で見て足で生きた情報を手に入れよっか」

俺、聖奈さん、ミランの三人で帝国へ向けて移動を始める。






「結構険しいね」

転移で国境の山の中に転移した後、山下りをしている。もちろん兵士がいては何の為の密入国かわからないから、ここは道無き道なわけだ。

「だから俺が一人で目ぼしい街まで行くって言っただろ?」

「だって私も冒険したいし、セイくんだけずるい!」

うん。急に妹キャラやめてくれないか?

ミランもいるんだぞ?

「私もご迷惑だとは思いましたが、セイさんと一緒に旅がしたかったです…すみません」

「いや、ミランはいいんだ。ミランは」

「なんでっ!?」

妹聖奈は放っておこう。

初めは帝国の街中までは俺だけで行くつもりだったし、聖奈さんもその考えだと疑いもしなかったんだけど……

『何言ってるのかな?私達も一緒に行くよ?』

『国は……』

『私がおじさん達に休みたいって言ったら『是非是非っ!!』って言ってくれたの』

おじさんとはバーランド王国の前の国『シューメイル帝国』の皇帝と一緒に逃げていて俺が見逃した人達のことだ。

恐らく今まで聖奈さんに酷使されていたのだろう……

あの時死んでいた方が良かったと思われていたら不憫だ……

まぁ聞くところによると、みんな優秀らしいから国の運営上の問題もないのだろう。

そんなことで着いて来た二人を伴い、山下りを続けた。






「あれって村だよね!どこも田舎の村はおんなじだねっ!」

だから妹…以下省略。

「そうだな。変わっていたのは北東部の田舎くらいかな?あっちは堀も柵もなかったからな」

「こちらは中々の防衛力がありそうですね。もちろんセイさんが治める王国とは比べ物になりませんが」

うん。そんなに持ち上げても何も出ないよ?…あれ?

ポッケにミランの大好きなクッキーが何故かあるな。与えよう。

モグモグ

村は幅1メートル程の水堀に丸太の柵が張り巡らされていた。

これは対魔物用の防衛拠点ではよく使われているものだ。

バーランド王国の村では魔物だけではなく、野盗などにも対応した幅2メートルの堀に、燃やされない様に防火用の土が塀に塗られている。


静かな村の中に、俺達は足を踏み入れることに。

〜ぼっちの月の神様の使徒〜

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