テラーノベル
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学校に行きたくない。
昨日、仲良しの実句ちゃんと喧嘩しちゃった。
今も怒っているかもしれない。
幼稚園にいた頃はすぐに仲直り出来たのに。
何であんなこと言っちゃったんだろう。
こういうの自己嫌悪って言うのかな。
でも、こんな理由で休むこともできない。
重い足を引きずるようにして私は家のドアを開けた。
学校に着くと、実句ちゃんはもう来ていた。
謝ろうと覚悟を決めてきたのに言葉が出ない。
「実句ちゃんっ。えっと、あの、、、」
なんとかそれだけ絞り出したけれどこれから先が出てこない。
ちらりと実句ちゃんの方を見ると、仏頂面で私を見ていた。
そのまま私が何も言わずにいると、他の友達と校舎に入っていってしまった。
思わず涙が出そうになる。
心配されて裟歩ちゃんに声をかけられた。
「加夏ちゃん?大丈夫?」
「あ、、、大丈夫。ありがと。」
なんとかそれだけ返すと裟歩ちゃんはにっこり笑った。
そのとき私は別に実句ちゃん以外にも友達はいるんだから謝らなくても良いと思ってしまった。
それに、実句ちゃんだって悪いんだから。私だけじゃない。
結局その日は仲直り出来なかった。
私には他にもいっぱい友達がいるし、全然大丈夫。
そう思っていたけど、やっぱり実句ちゃんがいないとつまんないな。
明日は、謝ってみようかな。
いや、それもなんか悔しい。
どうしようかと悩んでいると、おばあちゃんが部屋から出てきた。
「あ、おばあちゃん。足大丈夫なのー?」
おばあちゃんは足が少し動かしにくいんだって。
病気じゃないらしいけど。
おばあちゃんは頷くと私の隣に座った。
「加夏ちゃん、どうしたの?学校で何かあった?」
おばあちゃんの優しい声に少し泣きそうになる。
「あのね、実句ちゃんと喧嘩しちゃったの。それで謝れなかった。」
おばあちゃんは微笑んでにっこり笑った。
「じゃぁ、おばあちゃんが仲直りの方法を教えてあげよう。」
おばあちゃんは明るい声で言った。
「仲直り?そんなの知ってるからいいよ。謝るだけだし。」
おばあちゃんはまた楽しそうになる。
「もっと、とっておきがあるんだよ。それはね、飴を渡すこと。」
私はその言葉を理解するのに少し時間がかかった。
え?飴?飴を渡すの?
「飴を渡すだけで仲直り出来るの?」
私は必死に聞いた。
「もちろん、それだけじゃだめだよ。飴を渡してごめんねと言う。気持ちを込めてね。これだけだよ。」
おばあちゃんはずっと楽しそうだ。
もしかしておばあちゃんも友達とこうやって仲直りしたのかな。
「おばあちゃんもこうやって仲直りしたの?」
やっぱり気になって聞いてみた。
「そうだよ。その友達とは今も旅行したり、遊んだりしてるんだ。飴には、特別な力があったのかもしれないね。」
「おばあちゃん、教えてくれてありがとう!私、頑張る!」
すぐに部屋を飛び出した。
「うん、頑張って。」
廊下を走っていると、後ろからおばあちゃんの声が聞こえる。
なんの飴にしようかな。
お菓子の棚を見つめながら、少し悩む。
実句ちゃん、何が好きかな。
わかんないや。
だったら、私の好きなレモン飴にしよう。
甘酸っぱくて、爽やかで、実句ちゃんの好きな夏みたいだ。
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#コメディ
JOKER
ドアを開けて、実句ちゃんの家まで走る。
レモン飴を握りしめて。
インターホンを鳴らすのにはどきどきした。
ピンポーンと音がなる。
実句ちゃんが出てきた。
私を見て、少し動きを止めたけれど、すぐこっちに歩いてきた。
「何?」
実句ちゃんが聞いてくる。
朝よりは表情がやわらかい気がする。
私はレモン飴を実句ちゃんに差し出して、口を開いた。
「実句ちゃんっ、ごめんね。大好きなアニメを馬鹿にされるの嫌だったよね。私が悪かったよ。本当にごめんなさいっ!」
大きな声で言って、頭を勢いよく下げた。
顔は見えないけど、多分驚いている。
駄目だったかな。
涙が出ないように歯をくいしばる。
すると、手のひらの上のレモン飴が取られて、上から声が降ってきた。
「いいよ。私も言い過ぎちゃった。それに、朝無視しちゃったし。私こそごめんね。」
驚いて顔を上げると、実句ちゃんは笑っていた。
「許してくれるの?私のこと。 」
震える声で聞く。
「もちろん。だから、私のことも許してくれる?」
その言葉が嬉しくて、大きな声で言う。
「うんっ!」
実句ちゃんは照れたように笑って、私があげたレモン飴を口に入れた。
「これ、凄い美味しい。加夏ちゃんも好きなの?」
口の中でコロコロ飴玉を転がしながら言う。
「そうなの!美味しいよね。」
実句ちゃんも好きになってくれて嬉しい。
すると、実句ちゃんが思い出したように言った。
「てゆうか、これ、何?なんで飴? 」
所々笑いながら聞いてくる。
少し考えたあと、私は明るく答える。
「えーとね、おばあちゃん直伝の仲直りのおまじないだよ。」
実句ちゃんはきょとんとした顔になり、そのあと笑った。
本当に楽しそうに。
「ちょっと待ってて。」
そう言い残して家に入っていった。
家の中を走り回る足音が聞こえる。
私は待った。
なんだか、とっても良いものを持ってくる気がする!
実句ちゃんが家から出てきた。
「はい、これ。加夏ちゃんにあげる。」
実句ちゃんが私に差し出したのは、違う種類のレモン飴だった。
包装紙が可愛い。
さすが、実句ちゃんだな。
「ありがとう。」
受け取って包装紙をはがす。
口に入れると、少し上品な甘酸っぱい味がした。
「美味しい!」
それだけ言うと、実句ちゃんはまた笑う。
それから言った。
「加夏ちゃんがくれたのは仲直りのおまじないだね。本物だった。」
それを聞くと、おばあちゃんが誇らしくなった。
それから私の手を握って実句ちゃんは言った。
「だから、私のあげたのはずっと友達でいれるおまじないだよ。」
コメント
1件
わあ、すごくあったかいお話だったね…!🥺✨ 加夏ちゃんの後悔とか自己嫌悪の気持ちがすごくリアルで、学校で気まずい空気の中で過ごす感じ、胸がぎゅってなったよ。でもおばあちゃんが教えてくれた「飴を渡してちゃんと謝る」っていうシンプルな仲直りの方法が、すごく優しくて効きそうで。 最後に実句ちゃんが違うレモン飴をくれて「ずっと友達でいれるおまじない」って返すの、泣けるほど素敵だった…。甘酸っぱいレモン飴みたいな距離感が本当に可愛いお話でした🍋💕