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《 第三章:吉田仁人 》
____言葉を使い切るまで____
俺は、喋るのが得意だった
まぁ得意というより、周りのやつらがいい意味でうるさいから、ツッコんでいないといられなくて
別に沈黙が怖いからじゃない。
それでも、壊れそうな沈黙は放っておけなかった。
ここでは、沈黙が多すぎた。
太智のあと、
柔太朗のあと、
だんだんと言葉が減っていった…
だから俺が話した。
繋いだ
埋めた
整えた
壁の花を見たとき、なんだか妙に納得したんだ
【言葉】
【伝えること】
「……ああ、俺だわ、笑」
俺は、言葉で人を守ってきた。
まぁリーダーだし、どちらかと言うと話を回す役だったってのもあるけど、、
でもそのぶん、自分の気持ちは隠した。
というよりも、どうも照れくさくて言葉に出来なかった。
でもなぜかあいつらには全部お見通しで、笑
ほんと凄いよな笑
顔みたらわかるとかいうけど、そんな顔に出てる?笑
でもある瞬間、気づいちゃってさ
もう、言うことがない。
…じゃなくて
言うべきことは、全部言い切ったんだって
それは、終わりじゃなくてちゃんとした完了だと思う。
標本になるという選択は、既に決まってた。
太智が覚悟を決めた時から。
柔太朗が幸せを願った時から。
置いていくわけないでしょ笑
俺も一緒だから。
説明もしないし
説得もしない。
それが、俺なりのけじめ。
誰も止めようとしない。
それはきっとこいつらももう決めているから。
言っとくけど、俺もお前らのことくらいわかるからな?笑
流石に何年も一緒にいたら
最後くらい、、最後くらいね、、
「また会おう。…愛してるよ、今までも…これからも…」
「らしくないこと言うじゃん」
「…うるさいな、笑」
「…仁人、愛してるよ」
「俺も…仁ちゃん、愛してんで」
「…笑」
俺が言葉に出来なかったこと
俺の枷だったもの
それは、本心を【言葉】で伝えること
同じことを済ませて、俺はガラスケースの方へ向かった。
不思議と怖くなかった。
番号③
吉田仁人
俺は、【言葉】 を置いていった。
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