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コメント
1件
うわあ、このエピソードすごく良かった……「指切りをするほどじゃない約束も」っていう冒頭の短歌が、ラストでまた響いてくる構成が美しい。特に彼の方が「もう一個する?」って小指を差し出すところ、そこからさらに「来週も」って積み重ねていく感じが、関係の距離が自然に近づいてるのを感じさせてくれた。夕焼けの中の帰り道とか、小指を握る仕草とか、映像が浮かぶようだった。小さな約束の特別さ、すごく共感します。
【短歌】
指切りを するほどじゃない 約束も 君とするなら 特別になる
【短歌をテーマにした物語】
「明日、晴れるかな」
帰り道、私は空を見上げた。
夕方の空には、薄い雲が広がっている。
「天気予報だと晴れだって」
隣を歩く彼が答える。
「じゃあ、よかった」
「何が?」
「明日、約束してるから」
そう言うと、彼は少し笑った。
「そんな大げさな約束じゃないだろ」
「そうだけど」
明日は、学校が終わったら一緒に駅前の本屋へ行く。
それだけ。
新しい本を買いたい私に、彼が付き合ってくれることになったのだ。
特別なデートというわけでもない。
時間だって一時間くらい。
けれど私は、昨日からずっと楽しみにしていた。
「じゃあ、明日の放課後ね」
「うん」
「絶対来てよ」
「分かってるって」
彼が笑う。
私は少し考えてから、小指を差し出した。
「じゃあ、指切り」
「え?」
「約束」
「子どもみたい」
そう言いながらも、彼は笑って小指を出した。
私の小指と、彼の小指がそっと絡む。
「約束ね」
「うん」
たったそれだけ。
明日、本屋へ行く。
それだけの約束。
なのに、胸の奥が少しだけ嬉しくなった。
*
翌日。
授業が終わるまで、私は何度も時計を見た。
あと一時間。
あと三十分。
あと十分。
そんなことを考えているうちに、終業のチャイムが鳴った。
「お待たせ」
羊と亀のお遊戯会
23
奏音•*¨*•.¸¸♬︎💙
10
映え無し

1
教室の前で彼が待っていた。
「待ってないよ」
「じゃあ行こう」
「うん」
二人で学校を出る。
駅までの道を歩きながら、昨日の指切りを思い出した。
「ねえ」
「ん?」
「昨日の約束、覚えてたんだね」
「当たり前だろ」
「忘れてるかと思った」
「忘れるわけないじゃん」
何気ない言葉。
なのに、私は嬉しくなった。
本屋では、それぞれ好きな本を探した。
私は目当ての本を見つけ、彼は漫画を何冊か手に取った。
「これ面白いよ」
「じゃあ今度読んでみようかな」
「貸すよ」
「ほんと?」
「約束」
彼がそう言って笑った。
また「約束」という言葉が出てきた。
私は思わず笑う。
「今日、約束多いね」
「そう?」
「うん」
「じゃあ、もう一個する?」
「何?」
「来週は違う店に一緒に行こう」
「また本屋?」
「うん。今日見つけられなかった本、探そう」
「いいね」
「じゃあ約束」
彼が小指を差し出す。
私は笑いながら、小指を絡めた。
「約束」
たった一週間後の話。
それなのに、その日が待ち遠しくなった。
*
帰り道。
夕焼けの中を、二人で歩く。
「ねえ」
「何?」
「指切りって、不思議だね」
「何が?」
「普通なら、明日本屋に行くっていうだけのことなのに」
私は自分の小指を見る。
「君と約束すると、なんか特別に感じる」
彼は少し黙って、それから笑った。
「俺も同じかも」
「本当?」
「うん」
その言葉を聞いて、私は嬉しくなった。
約束そのものは、小さなものだ。
明日会う。
来週も会う。
借りた本を返す。
そんな何気ない約束ばかり。
でも、君と交わすと、その一つ一つが大切なものになる。
いつか今日のことを思い出す日が来たとしても。
きっと覚えている。
夕焼けの帰り道。
笑いながら絡めた小指。
「また来週ね」
「うん。また来週」
別れ際、彼が手を振る。
私はその背中を見送りながら、自分の小指をそっと握った。
指切りをするほどじゃない約束も。
君とするなら、特別になる。
そんな小さな幸せを、私は今日も大切に覚えていた。