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俺は同性愛者だ。
物心ついた時、周りの男友達は皆女の子を
好きになっているのに、俺は男の子に好意を
寄せていた。
3年前の夏、俺は好きな男の子に告白した。
その子からは
「気持ち悪い」「変態」
などと罵られ、次の日からクラスの皆は
冷たくなった。
物を隠されたり、 陰で悪口を言われたり、
机に「ホモ」だとか「きもい」だとかを
油性で書かれた日もあった。
好きな子に好きと伝えただけなのに なんで
こんな目に遭わないといけないの
そんな事を考えたって、
俺のことを理解してくれる人は誰もいない。
それ以来、このことは隠し通さねばならない
と思った。
今、俺は高校2年生だ。
ごく普通の男子高校生として
充実した毎日を送っている。
充実した毎日を、送っていた、はずなのに…
恋をしてあんなに辛かった日々を忘れ
懲りずにまた恋い焦がれている。
黒い髪がよく似合う綺麗な顔
鋭く大きな切れ長の瞳
そんな男の子
そいつの名前は
治「角名ぁ部活遅れんで」
“角名,,
主「部活か、頑張ってね」
角名「うん、またね主くん 」
角名とは他県からきた同士というか、
相性が良いので仲良くしている。
顔は良いし、背は高いし、優しい
おまけに強豪バレー部で高い実力を持ち
活躍している。
周りの女子が放っておくはずもなく
告白なんかざらにあった。
角名は一生、俺の気持ちには
気づかないんだろうな。
正直告白するつもりなんてないし、
ただ仲良くしてくれるだけで、
側にいれるだけで嬉しかった。
でも、それは俺が思っている以上に
贅沢な願いだったらしい。
クラスメイト「お前ってさ、角名のこと好きなん?」
へ?
突然不意を突かれた質問をされ、
みっともない声が出た。
主「いや、別に好きじゃないよ、ただの友達」
また嫌われるのが怖くて、平然を装いながら
嘘を付く。
クラスメイト「だよなぁ!良かったぁ
同性愛とか考えただけで鳥肌やもん笑
俺の友達にそんなんおらんよな笑」
主「う、うん、それなぁ」
バレたらまたいじめられる、
バレないように平然としなきゃ、
普通にしなきゃ!
う、息が、うまくできない…
治れよ、今だけはやめてくれよ!
そう思えば思うほど呼吸は荒くなって
ワイシャツの上から胸を掴む
クラスメイト「ちょお大丈夫か主」
主「大丈夫…ちょっと目眩がするだけ、すぐ治るよ」
「おーい、もう先帰んでー!」
クラスメイト「すまん!呼ばれたわ、またな主、 体調きいつけや!」
主「またね」
クラスメイトが教室を出ていき
少しずつ呼吸が整ってきた。
落ち着いてきたと思ったのに
さっきのことを思い出すとまた呼吸が
荒くなって 吐き気を催す。
今回はバレなかったけど
もし バレたらどうしよう…
もしバレたら…
また辛い日々を送らないといけないの?
主「うっ…気持ち悪い」
足に力が入らなくて、う まく歩けない。
その場にしゃがみこんでえずく。
主「うっ、うえ、はぁはぁ…」
教室には誰もいない。
やばい、このまま吐くかも…
苦しくて目に涙が溜まっているのが分かる。
主「はぁはぁ…まじ…やばいっ…!」
「主くん!!」
角名の声だった。
角名「ちょっと大丈夫?!って、
大丈夫じゃないよね、ごめん、
気持ち悪いの?」
角名にこんな恥ずかしいところ
見せたくなくて 自分は大丈夫だと
必死に首を横に振る。
角名「嘘つけよ、俺ら友達だろ?頼れよ
とりあえずトイレ行こ、歩ける?」
やめてよ、優しくしないでよ
もっと好きになっちゃうよ
頬を伝う涙が、
気持ち悪さによるものなのか、
角名の優しさによるものなのか、
判断できなかった。
角名「落ち着いてきた?まじでびびったよ 、
忘れ物取りに来たら主くんしゃがみこんで
過呼吸になってるんだもん」
主「ごめん、迷惑かけて」
角名「別に迷惑なんかじゃないよ。
でも、なんでああなってたの?」
主「…それは」
頭の中で言い訳を考えた…
だめだ、何も思いつかない。
角名「あ〜まぁ、言いたくないなら無理に
言わなくてもいいけど。
てか俺部活中だったわ、戻らないと。」
考えている時間が長かったようだ。
角名は話を遮って、一人で帰ると言う俺を
心配しながら 部活へ向かった。
いつもより少し遅めの帰り道、
アスファルトがもうほとんど沈みかけの
夕日に 照らされている。
ずっと背中を擦ってくれた角名のことを
思い出して、頬が熱くなる。
「あぁ、神様、男の俺が男の人を 好きになることは そんなにいけないことでしょうか」