…
主「角名!おはよう!」
角名「…」
主「え、どうしたの?角名?」
角名「お前、俺のこと好きなの?」
主「え…な、なんで?」
角名「答えろよ」
主「…うん」
角名「俺のことそういう目で見てたの…?
もう俺に話しかけないでくれる?」
主「ま、待ってよ角名!
嫌だ、 置いていかないで、
俺のこと嫌いにならないで!」
角名「触んな!気持ち悪いんだよ!
“男のくせに,,」
ピピピ ピピピ
主「はっ!!はぁはぁ…」
夢だった…悪夢だけど…
冷や汗と震えが止まらない。
ピンポーン
角名「主くん起きてる?朝ですよ〜」
寮生活の俺達は、部屋は違うけど
同じクラスということで角名が
いつも迎えに 来て一緒に登校している。
ドアを開けるともう準備が整って
俺を待っている角名がいた。
角名「え、まだ着替えてないの?
やばいよ遅刻するよ」
主「今起きた」
角名「やばすぎ(笑)とりあえず
着替えてもう行くぞ」
まだ目が覚めてなくて、夢の中の角名と、
現実の優しい角名が入り交じる。
主「ごめん…今日は先に行ってて」
角名「え、まだ体調悪い?」
主「いや、そういうわけじゃないんだけど…」
側にいれるだけで嬉しかったはずが、
同性愛者とバレたらどうしようと
考えるようになり距離を取るように
なってしまった。
角名「無理しないでね、先に行っとくから、遅れそうだったら連絡してね」
主「うん、分かった、ありがとう」
結局遅刻ギリギリで学校に登校した。
遅れそうだったら連絡してと言われたのに、
なんだか気まずくて連絡していない 。
ぐうぅぅ
主(そういえば急いで出たから
朝食食ってないんだった)
腹減りで頭を机に付けて寝ていたら
首にヒヤッとしたものが当たる。
主「うわぁ!何?!」
角名が首にチューペットを当てたらしい。
角名「何その反応(笑)」
主「なんだよ、からかうだけならどっかいけよ!」
そう言うと角名は「んっ」とチューペットを差し出す。
角名「どうせ何も食べてないんでしょ?これあげるよ」
主「え、あ 、ありがとう…って
よりよってチューペットかよ…」
角名「せっかくあげるって言ってんのに…
文句言うならあげないよ?」
主「やだなぁジョーダンっすよ兄貴、
ありがたく頂きます」
俺が受け取ると角名は満足そうな顔をして
こちらを見ている。だけど次は少しムスッと
して 手を伸ばしてきた。
主「え、何?」
角名「目の下腫れてるよ、なんかあったの?」
今朝の夢のせいだ。
良い言い訳が思いつかなくて
「あ〜失恋でもしたかもなぁ(笑)」
とか言ってごまかした。
角名「え、主くんって好きな人いたの?」
主「俺だって男子高校生だぞ?
恋愛の一つや二つしてるよ(笑)」
角名「教えてくれても良かったのに」
内心「おめぇだよ!!」と叫びたいが
ぐっとこらえた。
角名「でも、その子見る目無いね、こんな良い男振るなんて」
主「あーはいはい、お世辞乙〜」
角名「お世辞なんかじゃないよ、本音だよ」
冗談かと顔を見たけど角名は真剣な顔をしていて、急な言葉に戸惑い、何を言えばよいか分からなかった。
主「まぁ振られたっていうか…」
角名「ん?」
主「告白する前に諦めちゃったっていうか…」
角名「なんで?主くんなら大丈夫だと思うけど」
主「どうせ叶わない恋だし…って!俺の話は良いんだよ!そう言う角名はどうなんだよ!」
これ以上自分の話をするのは虚しくて
わざとらしく話を逸らす。
でも正直、角名の恋愛事情が
気にならないわけでもなかった。
角名「俺?俺は別に何にもないよ」
主「嘘つけよ、この間も女子から告白されてたの知ってんだかんな」
角名「なんで知ってんだよ…てかそんなに気になるわけ?」
主「俺話したんだから角名もなんか言わないと割に合わないだろ」
角名「なんだそれ(笑)んまぁ、気になってる子はいるよ」
あーやっぱり聞かなきゃ良かった。
そりゃそうだよな、
お前こそ良い男そのものだもんな。
好きな子くらいいるよな…
主「…誰だよ」
角名は口角を少し上げた後、
スマホを口に当てて
口パクで「ひ・み・つ♡」と言ってきた。
主「なんだよその意味深な仕草は」
角名「さぁね?あ、てか今日昼ご飯一緒に食べようよ」
主「え、治とかと食べなくていいの?
いつも一緒にいるじゃん」
角名「今日は侑とお弁当なんだって、俺学食だからさ」
いくら叶わないと分かっていても、
好きな人から誘われるのは
やっぱり嬉しかった。
今から昼休みが待ち遠しい。
そうだよ、こういうのでいいんだ。
ただ話をするだけでも、
ただご飯を食べるだけでも、
友達としてでも隣にいれたらそれでいいって。
俺を脅かすものなどここにはないから。
ここには。
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