「颯ちゃん」
「うん?」
「…みんな優しい……」
「リョウが優しいからだな」
「私は幸せだね…」
「えー?お前もうこんなもんで幸せ?」
「…違うの?」
「こんなん序の口。本当に幸せになるのはこれから、俺と一緒にだ」
突然颯ちゃんが私を抱き上げて歩き出すので、キャッ…と小さく声が出た。
彼は私を洗面所で下ろすと、私のTシャツの裾に手をかける。
「リョウ?手、のけて」
「お風呂…私がお風呂入る…のかな?」
「頑張ったリョウを俺が全部洗ってマッサージして、あとは…とにかく労ってやる」
「…ちょっと難しいんだけど…それ……」
「リョウは何もしなくていいぞ」
「何をするしないではなく…って…恥ずかし過ぎでしょ?」
すると颯ちゃんは握っていたTシャツの裾から手を放し、膝を広げてしゃがみ込んだ。
その膝の上に腕を投げ出し私を見上げるのはやめて欲しい。
座り方や態度はヤンキーだが、表情は大型犬のおねだりだ。
「仕方ないか…‘嫌’なことはしないとおっちゃんに言ったばかりだしな…リョウが‘嫌’なことは絶対しないのは当たり前だしな…リョウも俺がリョウの‘嫌’なことはしないと信じてくれてるしな…‘嫌’なことを無理強いするのは良くないよな」
やたらと‘嫌’を強調する颯ちゃんは、揺れる瞳で私を見上げる。
「えっ…と…颯ちゃん?」
「………」
ものを言わずじっと見上げて見つめるだけの颯ちゃんに、心のうちを伝える。
「嫌っていうか…恥ずかしいの……」
「嫌じゃないんだな?」
被せぎみに強く聞かれ、コクコクと小刻みに頷いてしまった。
そこからの颯ちゃんの手早さには、私の言葉も阻止する手も何も追い付かなかった。
ズボンを脱いだ颯ちゃんの立派に雄をアピールするものの反対側ではふさふさと尻尾が揺れているのではないかと思うほどリズミカルな足取りで私の素肌を撫でながら、お風呂場へ入る。
私の部屋のいつものお風呂なのにどうして入ればいいのか、全くわからない。
自分でもおかしなほど棒立ちだったと思う。
「リョウ、ここ」
ご丁寧に熱いお湯をかけた椅子をポンポンと叩いた颯ちゃんの目に、私はとても滑稽に見えていたのではないか…手と足を一緒に出してしまわないように気をつけた私は、ふと…いやいや…手は隠すところがあったでしょ?何で棒立ち?と、自分を責めながら力なく椅子に座った。
「チカさんって、やっぱりシャンプーうまいの?」
「思ったよりムズい…」
「リョウ…毎回練習して、俺すぐ上手になるからな」
一人で話しながら颯ちゃんがシャンプーをしてくれた。
シャンプー中は前屈みで下を向くので恥ずかしさは和らいだ……けど、全身となると話は別。
「手、邪魔」
「洗えないだろ?タオルなんかで肌を傷つけないように手が一番」
「自転車いじる合間にハンドクリーム使い始めたんだ、俺」
また一人で話をしている颯ちゃんの手が、私の胸を泡まみれにする。
「…颯ちゃん…ハンドクリーム使ってるの?」
「最近な。油が付いたら強力な洗剤で手を洗うんだ。石鹸じゃなく洗剤。だから指先がかさつく時がある」
そう言いながら、彼の手は胸全体を繰り返し滑っている。
「特に肌が弱いと思ったことはないが、リョウの肌を傷つけてはいけないからな。万全の予防策」
その手入れされた指先で、胸の先端の泡を弾くように軽いタッチで触れられると…ぅん…息を止めた。
「指、ひっかからないだろ?」
颯ちゃんは左右の胸の上で10本の指を軽快に踊らせる。
ふにゃふにゃ……ともしたその動きは、手で上手にカレーを食べる人みたいだ。
そう思った時、ぎゅうっと両胸を掴まれ……泡で滑り握りきれないのか…わざとなのか…手のひら全体と全ての指を感じた途端に、むにゅっとした感覚だけ残し先端へとその手が抜けていく。
そして数回繰り返すむにゅっ……とした感覚が、お臍の奥を刺激するような気がした。
「…颯…ちゃん…もう洗えたから…」
「うん、立って」
「………あとは自分で…」
「俺の手、いい感じに泡あわだろ?使わないともったいない」
「………」
コメント
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ヤンキー座りのご立派な雄をお持ちのおねだり尻尾ふりふりの大型犬😂はこの時のためにせっせとバンドクリームを塗って準備万端! リョウちゃんの綺麗な肌を傷つけないようにね🫧❤️委ねましょう🫧❤️