これは2□□□年頃のお話。
□□□国のとある孤児院。そこには2人の子供がいた。彼ら彼女らの名前は〈ラニア・カーリー〉そして〈カナリア・ルイーナ〉
彼らはとても平和に暮らしていた。みんなと遊び、みんなとご飯を食べ、みんなと寝る。そんな平和な毎日が楽しかった。楽しかったんだ……
ある日、1人の女の子が亡骸となって発見された。○因は不明だった。
そんなことがあった日からみんながおかしくなってしまった。1人は壁に向かって話し始め、1人は頭を抱えながら1日中静かに泣き、1人はずっと幸せな夢の中へ籠るようになった。
そんな中、おかしくなっていない子供が2人いた。 ラニアとカナリアだ。2人は1日でも早くみんなといつも通りの日常に戻るために献身的に寄り添った。2人は「一緒にこの壁を乗り越えて、絶対にまた楽しく暮らそう」と約束した。
「約束……したのに……」
彼女は……カナリアは○んでしまった…。あの子と同じく○因は不明だった。彼は……僕は泣く事すらできず、彼女の遺品を数個持ち出し孤児院を抜け出した。僕は走った。ひたすら走った。助けを求めて。安心して暮らせる場所を探して……。
けれどそんな場所はなかった。僕は盗みを働き、時には殴られ、蹴られ……そんな生活をして数年、僕はとある富豪に拾われた。富豪たちは何故か僕を暖かく迎えてくれた。嬉しかった。でも○した。お金を奪うために。僕はもう、正確な判断ができなくなっていた。そして奪ったお金で住む場所を手に入れ、服を手に入れ、食べるものを手に入れた。
もう居ないはずの彼女にまた会うために僕はアンドロイドを作り始めた。やっと1人目が完成した。けれどもそいつは彼女ではなかった。だから壊した。
5人目を作った。少し彼女に似てきた。
20人目を作った。かなり彼女に似てきた。
50人目を作った。だんだん理想に近づいているのを感じた。
100人目を作った。彼女の正確な顔が分からなくなってきた。
150人目を作った。もう彼女の綺麗な髪しか思い出せない。
198人目。ついに《彼女》が完成した。
ーー彼はもう壊れていた。《彼女》は彼女と似ても似つかない、偽物なのだ。
〈-KANARIA198-〉それが《彼女》の名前だ。
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