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バイクを暫く走らせてる内、辺りがすっかり暗くなり穏やかだった通りも静かになった
本来ならそのまま家に帰りたいところだが、ダレイが運転してるバイクはそのままマイクのBARへと向かう
その間後ろに座ったマイクが喋りかけてくる
「私こんなに長時間バイクに乗ったのなんて,仕事で隣街へ日帰りした時ぐらいですよ」
「……そうか」
「隣街と言えば、餡蜜がとっても美味しいんですよ。初めて食べましたが、あれは食べに行って、損は無い味です」
「……そうか」
今更知った事だが、この男はよく喋る
曖昧な返答を返してもすぐ話の次を出してくる
ただ少し気になるのは、この男は会話のさながら愛想笑いも一切事だ
普段は気にならないがこの状況だ…気になる
「マイク、もっと楽しそうに話したらどうだ?」
「…」
「面白そうに、というかあんな…企んでるような笑い方じゃなくてな…もっとこう…優しそうなやつだ」
マイクは急に無言になる
なにか気に触ること言ってしまったか…?
チラッと後ろを覗く
マイクは下を向いてるが、みるみる顔が赤くなる
「お前ッまたか…!!心配したぞ!」
「まさか名前呼ばれるとは思わず」
顔真っ赤にしながら笑うマイク
こいつの滅多に見せない人間味が見える基準が分からないな
その後マイクは嘘のように静かになった
(俺が余計なこと言ったからか…)
こいつが静かなのは余計にいやだ
その後は俺から話を始め、次第にいつもの調子でマイクが話をしていった
そして、あのBARが目と鼻の先に写ったのである
_グリード怪盗団 ミジミン__🥀𓈒 𓏸
バイクを止めると、マイク、ダレイの順番で降りた
バイクの持ち手を持ちながら、マイクはダレイに話しかける
「バイク片付けますので、お先店内へ…」
ダレイが頷くと、マイクはバイクを押しながら何処かへ…
ダレイは店内へと、入った
「……なんだ?」
店内は荒れていた
マイクが大切そうに扱っていたグラスは床に落ちて割れていた
他にもカウンターの椅子が倒れていたり、
氷が溶け、水浸しになっていたり…だ
(マイクが…?いやまさか…これは)
すると、チリン…と音が鳴ると同時に、マイクが店内に入ってくる
変わり果てた店内を静かな目で見下ろしている
まるで分かりきっていたかのような
「マイク…これは?」
ダレイの問いに我に返ったかのようにやっと会話に繋ぐことが出来た
「いえ、、申し訳ないですこんな状態で招待してしまい」
ニッコリ微笑むと男は床に散乱したガラスの破片を手で拾い始めた
「足の踏み場も有りませんね…これは参りました。隣の扉は私の部屋です。きっと綺麗なままですのでそちらへ」
しかしダレイは、コートを脱ぐとその場に屈み、床に1箇所に散らばったガラスの破片をコートで押しながら集め始めた
コートは水浸し、破片に触れて傷だらけ、
それでもダレイは続けた
そんなダレイの行動にマイクは目を見開く
「……ありがとうございます…」
止めたところで続けるのは分かっていたのだろうか…それとも本当にどうすればいいのか分からなかったのだろうか…マイクは素直に感謝の言葉を告げた
ありがとう…なんて言われたのはいつぶりだろう…
刑事になってから全ての善は当たり前になってしまった
悪くないな…
「ふぅ…もう終わりだろう?」
動かしていたモップを止め、ダレイは店内を見渡す
マイクも持っていた資料の山を全てカウンターに置く
「えぇ、お陰様で元通りです。ありがとうございます」
すると、マイクはダレイに向かって頭を下げた
「よせ。お前にやられると変な感じだ…」
「礼儀はマナー。これでもバーテンダーなのですが…」
頭を上げたマイクは微笑む。
ダレイは綺麗になった店内を見渡した
入口の傍にはグラスとコートがゴミ袋にまとめて捨てられている
グラス…ここに来る度にマイクが大切に磨いていた物だ
あまり目に止まるところに置くのは良くないだろう。
「ゴミ捨てに行ってくる」
マイクの若干遠慮した言葉に聞く耳を持たずそのままダレイは外へ出ていった
ひとり店内に残されたマイクは静かにしまっていく扉を見つめる
「……私も同じです…貴方に礼儀というものをするのはなんだか惜しいと思っております」
1人マイクは口元に手を当て笑った
「……よいしょ…と、こんなもんか、」
ゴミ捨て場に袋を置くと破片が擦り合う音が鳴る
袋の隙間からコートが見える
「……」
「サプライズは上手くいった??」
「!?」
真っ暗な空間から声が聞こえる
周りは木が綺麗に植えられていて見渡しがいい訳じゃない
ふとノアに電話で言われた言葉を思い出す
__気を付けろよ?頼まれたって事は、あらゆる手で殺してくる可能性があるからな…__
(まさか…動きが読まれて先回りでもされてるのか…??)
木の裏から腕を組みながら女性が覗いてくる
長い足は長ブーツを履いていて、木にヒールをつき立たせている
化粧された顔はダレイを睨みつけながらニヤリと微笑んでいる
「マイクの反応、見たかったなぁ〜ねぇ見てたんでしょ?教えてよ」
どうやらマイクと関係がある人のようだ
昼間の子供とは関係が無さそうに見える…が
「誰だ…?」
「あたいはミジミン。グリード怪盗団所属の怪盗」
「怪盗団だと…??」
そんな怪盗団聞いたことない。
グリード_名前まであるのか、という事は…この女と似たような奴らはまだいるということか
「あれ…知らないの?盗みは勿論,時には犠牲もヘーキで出しちゃうわるーい人達だよ〜」
手元から器用にナイフを取り出すと回し始めるまるでダレイを脅しているように
「なんだと!!?」
「わっ!!何よ!もう!急に大声出さないでよ」
突然張り上げた声にミジは半分驚きながらナイフを落とす
ナイフを拾い上げると、ミジは怒りながら話を続ける
「なんで今更になって切れるのよ…知ってるはずでしょ?あんたは…知らないわけないもの!」
「知るか!!そんなくだらない団体!初めて聞いた!」
「はぁ??失礼ね!!」
ミジは、カールのかかった後ろ髪を手で振り払うと,不貞腐れたように話題を変えた
「いいわよ…彼さえ手に入れば…すぐに噂なんて広まる。あたいらを知らない奴なんて居なくなるくらいね」
「マイクが…?」
女は自慢げに微笑むと黒い小包を取り出す
昼間見た子供が持ってたものと、形、大きさが同じだと気付くと、女が昼間の子供の仲間だと察しが着く
ダレイが身構えてることに気が付き、女は呆れるように答えた
「何よ…殺されるとでも?あたいは汚れ仕事はやらないのよ」
女が小包を握り込むと…小さな金属のチップが出てくる
それをダレイに見せつける
「あんた、これが何かわかる?」
ダレイが無言で居ると、女は説明を始めた
「あたいが開発した,小包…チップは相手の皮膚に貼り付けると記憶を見る事が出来るの、見る記憶にはただし限りはあるけどね」
特にダレイに何もするわけなく、説明を終えるとそのままチップをしまう
どうやら本当に攻撃する気は無いようだ
「あたいら怪盗はそれぞれが作った自分の小包で戦ってるの」
1番気になっていた事…
昼間あの子供に言えなかった事を、ダレイが今初めて聞いた
「課長をやったのも…お前らか?」
「まさか!あたいらは手も足も出してないし」
手元からカードをマジックのようにひらっと取り出す
ニヤニヤと笑う女のカードには課長が映り込んでいる
「まぁ狙いはその女だったけどね」
「ッ…!!お前らが!!」
ダレイが拳銃を取り出す
躊躇うことなく__ミジに向かって3発打った