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「うわ〜それにしても広いわね。この桃って食べられるのかしら?美味しそうね。」
「きっと食べられますよ!……はむっ!甘くて美味しい〜」
幽々子がほっぺたを抑える。
それで興味が湧いたのだろう。魔理沙と妖夢も桃をとり、パクリと一口。
「甘いですね。こんなの食べたことありません。」
「甘いな。これ余分にもって帰ろうか?」
魔理沙が桃をもう一つ手に取りながら言った。
「うーん……まあ、いいんじゃない?お土産として持って帰りましょう。」
魔理沙が笑顔でうなずくと桃を取り始める。
魔理沙が桃に手を伸ばしたとき…
「豊姫様の好物…桃を取るとは…本当に無礼者だな。月の都に来ることさえが罪になるのだから。」
私の顔の横をかすめて弓が飛んでいく。
弓の先から変な匂いがした。きっと毒か何かが塗られているのだろう。
「あなた達はここで足止めさせてもらう。サグメ……スクナ様が復活するまでの間。……最後に名乗っておこう。私は八意永琳。」
「いいえ。通らせてもらうわ。あなたなんかに時間を取っている場合じゃないの。」
永琳が弓を放った。なんとか受け流し、こちらも反撃に出る。
「それにしてもこの焦り用……そこまでスクナさんを助けたいのでしょうか?」
妖夢が攻撃を仕掛けながら言葉を投げかける。
幽々子が永琳に一気に近づき、一撃軽症を与えられた。
「少しはやれるようだな。月の都の住人として負けるわけにはいかないわ。薬符胡蝶夢丸ナイトメア!」
黒く、鋭い弾幕が飛び交っていく。その弾幕は時間が経つと分裂していく。
「こうも増え続けると…よっと…避けきれないな。」
魔理沙が攻撃をかわしながら永琳を見る。
「もう、ラストワード使ってもいいよな?めんどくさいし。ガーネット…スター!」
「クッ!うわあぁ!」
永琳が弾幕に吹き飛ばされて木にぶつかる。
「……ありがとう。」
急にお礼を言われた。
私達は動揺を隠せなかった。幽々子に至っては永琳と私達を交互に見てあきらかに動揺している。
「実際私はこの計画には反対だったんだ。地上の人間は儚い。それでも、遠とく美しい。その魂を奪うなんて…したくなかった。」
永琳はうつむき、悲しそうに語る。
「スクナのため……と、思うと、止められなくてな。輝夜様はこの計画に……いや。いくらスクナのためとはいえこんなにもたくさんの魂を奪いたくなかった。」
その一言に私達は完全に心を許した。とても演技には見えなかったのだ。私達は永琳のそばへ駆け寄ると、再び話を聞くことにした。
「どうやったって依姫様と豊姫様には逆らえないんだ。スクナのことは助けたいよ。……私もあなた達のおかげで、この計画の重大さについて気づけた。輝夜様のところへ案内するよ。私を倒したところで輝夜様の場所は私しか知らないから。」
永琳は笑顔で言うと、立ち上がる。怪我のせいで少しフラフラしている。
「あ。このくらいの怪我なら私、治療できますよ。ちょっとまってくださいね。」
幽々子が永琳に駆け寄ると、怪我の場所に包帯を巻き始める。
「へぇー。幽々子って治療も出来るのね。」
私は感心したように幽々子を見た。
幽々子はえへへとくすぐったそうに笑った。
「最後にこれを……できました!さあ、行きましょう!」
幽々子が大きく声を上げる。
私達はうなずくと、永琳についていく。
「あれ?ここ行き止まりじゃない。道知ってるんじゃないの?」
私は怪訝そうに永琳を見つめる。
永琳は私の言葉を無視してなにもない空間に手を伸ばす。
「スタルダスト。」
そんな、ヘンテコな言葉を言った途端、行き止まりだった場所に道があらわれる。
私達はおおっ!と一言歓声を上げる。
そして、おそるおそる足を踏み入れた。空気が変わったような感じがした。
後ろを振り返る。そこは闇に覆われていた。再び前を向く。
「永琳?おかえり〜。侵入者は始末し……」
そこまで言って、輝夜は固まってしまう。永琳は輝夜を勇ましく見ている。
輝夜の拳はぷるぷる震えている。怒っているのかもしれない。
「永琳…よく……やってくれたわね。よかった。生きて連れてきてくれて。さすが永琳ね。」
輝夜は笑いながら言った。
輝夜のお話はまた次回!