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ほむぺ⋆*
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#あべさく
めかぶぷりん
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着いた先には管理棟があり、コンクリートで固められた入口が見えた。扉のようなものはなく、入ってすぐに岩肌が見える。周囲には誰もいない。常に研究をしているというよりは、必要な時に人が来て調べて、というものなのだろう。
規制線などもなく、六人はそのまま中へと足を踏み入れた。ふーちゃんはカナリアサイズになって、阿部の肩に乗っている。
💚「ふーちゃん、俺でいいの?」
💜「阿部ちゃんがいいの。いざという時、護ってくれるから。今はなるべく、阿部ちゃんを安全圏に置いときたいんだよ」
🤍「そうそう。ホントはこういうとこにも連れてきたくないの、僕らは。でも、外に出なきゃいけない場合もあるから、そういう時には対策をしたいの、目いっぱい」
💚「そういうもん、だよね……」
❤️「お。阿部が否定しない」
💚「さすがに今の状況で、そんなにしなくていいって言えないよ。俺だって、自覚はしてるんだから」
💜「自覚してる! あの阿部ちゃんが!」
💚「ちょっと、どういう意味?」
💛「阿部に自覚させんのに、どんだけ俺らが苦労してると思ってるんだよ」
💚「……そんなに?」
💙「そんなにだろ」
💛「とにかく、危なくなったら翔太の結界の中にいろよ。翔太、頼むな」
💙「りょーかい」
車が一台は通れそうな通路を、曲がりながら、上りながら進んでいく。やがて、曲がり切った先に見えたものに走り出す。
通路を抜けた先は広い空間になっており、広めの足場から見えたのは、眼下に広がるマグマだった。
💚「なん、で……もう溶岩なんてない筈なのに」
そして、反対側の岩に突き刺さった鉄骨から吊り下げられている、巨大な鳥かご。その中に見えたピンクは見間違えようがない。
💜「佐久間!」
深澤の声に、佐久間がこちらを見上げる。少し離れた位置に、目黒と向井の姿も見止めた。
🩷「深澤!」
💜「なに、お前ら、どういう状況?!」
🩷「わかんねえ! トンネルの中に転移しようとしたら、ここの中にいた!」
ここから鳥かごの檻まで距離がある。およそ十数メートル下、中央よりも向こうの壁寄りの位置。
🤍「佐久間くんの粒子転移の位置情報が、ここに変更されたのかも。調べてみないと分かんないけど、あのトンネルで細工されててもおかしくないね」
🖤「あの依頼! 多分、罠だった! トンネルの中、人、誰もいないと思う!」
💚「だから、レスキューも救急車もトンネルの外にいなかったんだ……」
💛「とにかく、佐久間たちを助ける」
💚「佐久間とめめがいるのに脱出できてないってことは、異能が封じられてるね。この熱気だと、舘様の氷も使えない。照と翔太と俺も、救出できるような異能じゃないし……ふっか、鋼の刃を一つ、作って下に投げてもらえる?」
💜「わかった」
言われた通りに指の長さほどの鋼の刃を作り出し、腕を振るうとマグマに向かっていく。
それは佐久間たちが囚われている檻の近くを通った辺りでボロボロと崩れ、マグマの中に消えていった。
💚「やっぱり、この温度だと維持できないね」
🤍「僕が作れるのも機械とかだから、この熱さに耐えられるものはできないと思う。宇宙服とかロケットとかのレベルでしょ? 僕、そこまでの知識はないよ」
💚「俺も、どうやって熱に耐えられるかまでは把握してない。それに……」
視線を、檻を吊るしている鉄骨に向ける。綺麗な鉄骨ではなく、腐食が見られる。そこから垂れ下がった鎖も太目ではあるが、成人男性三人の体重をどこまで支えられるか。
そうして見ていると、鈍い音を立て、鉄骨が少し下がったのが分かった。
🩷「うおっ!?」
🧡「なになに?!」
💚「ダメだ……考えてる時間もあまり残されてなさそう」
💜「でも、今の状況、かなりアウトだよね」
実質、こちら側で使える異能がない。粒子転移の佐久間、蔓を伸ばせる目黒、重力で浮かせられる向井。この三人を捕らえたのは、これが理由なのだろうと思った。救出できそうな人員を潰されている。
時間もかけられない。
大きく息をつくと、肩にちょこんと乗っているふーちゃんに小声で話しかける。それは、どうするんだと話し合っているみんなにも聴こえないような声。
けれど、宮舘だけが阿部を見た。その視線に気づいた阿部は頷く。お願い、と両手を合わせれば肩を竦めていたので、どうやら伝わったらしい。
💚「みんな、俺を見ないでそのまま聞いて」
唐突な言葉だが、皆が動きを止める。
💚「ふふっ。動いてもいいんだよ。普通にしててほしい」
💛「悪い、身構えた」
💚「大丈夫。これから俺がすることに、驚かないでほしいんだ。何があっても、当然って顔、しててほしい」
💛「……危険は?」
💚「倒れるつもりはないよ。俺も耐える。だから、みんなも耐えてほしい」
💜「帰ったら休む、が条件ってところかな」
🤍「全力で甘やかしちゃおーっと。文句は受け付けないよ!」
❤️「今日のおやつ、考えておくね」
各々の言葉に笑みを浮かべる。
今ここで、阿部を止めることができないのは皆が分かっているから、心配も不安も押し殺してくれている。渡辺の表情が気になったけれど、それでも止まれない。タイムリミットが近づくほどに救出が難しくなるから。
一度目を閉じ、開かれた阿部の目は緑色を帯びている。
💚「ふーちゃん!」
阿部の合図でふーちゃんが飛び立ち、紫色のオーラに包まれると大烏へ姿を変え、直後、眩い光が辺り一帯を埋め尽くした。
そして、翠色の目をした阿部とふーちゃん以外の景色が動きを止める。
💚「頼んだよ」
ビュンッと物凄いスピードで檻に向かって行ったふーちゃんはその背に檻を乗せると上昇し、阿部の目線の高さまで来た瞬間に目の色が元に戻り、景色が動き出す。
そして眩い光が消え去ると、ふーちゃんが檻を背に乗せたまま、みんなが立っている足場の方に来ると、その背からゆっくりと檻を下ろした。
慌てて岩本と宮舘がサポートに回り、下ろすのを手伝う。
🩷「ビックリしたー。真っ白になったら急にふーちゃんの上だもん。はえーんだな、ふーちゃん」
💜「だって、本気のスピード出したら、みんな気絶しちゃうよ。全力は慣れてる俺でもちょっとやだ」
💛「お前ら、無事? ケガとかは?」
🧡「平気やで。あんま暑なかったしな」
💜「え、そうなの? こっち、今めちゃくちゃ暑いけど」
🤍「あー。あれのせいだね」
眼鏡をかけ、更にルーペを通して檻の天井を見ているラウール。
🤍「魔法陣が付いてる。檻の中の耐熱効果と、檻が熔けないようにして、更に異能封じの指輪までくっついてる。指輪の力を檻全体に流してるんだよ」
🧡「ん? ラウのそれって、異能やないん? なんで見えんの?」
🤍「これは、僕が作っただけでただの道具だから、厳密には異能じゃないの。だから、異能封じの影響は受けないんだよ……さてと、この魔法陣の解除方法は……あの鎖を壊す、だね。うわ、やらしー。これ、鎖が耐えられなくなってマグマに落ちたら魔法陣解除されるから、佐久間くん達めっちゃ危険だったよ」
❤️「つまり?」
🤍「落ちたら熱いし檻も熔ける。ご愁傷様って感じ」
🩷「え、シャレになんねえじゃん」
🤍「なんないけど。むしろ、マグマの上の時点でシャレになってないからね」
💚「鎖なら、照の炎で熱して、舘様が急速に冷やして、ふっかの鋼で叩けば壊れるよ」
やっと出番だと、腕を回している深澤。やるか、と気合いを入れている岩本。スッと前に出た宮舘。三人が、鉄骨と繋がっている鎖に手を向ける。
長い鎖の中央付近にある一つが、赤く染まる。その直後、ジュッと音がして白い蒸気が上がる。その鎖目掛けて、深澤が作り出した鋼のクナイが一直線に鎖に向かい、パアンッと弾け飛んだのが分かった。
そして、弾けた鎖から徐々に崩れていき、檻に到達すると、まるで土でできていたかのように檻はボロボロと崩れていった。
🩷「はー、やっと出られたー」
🧡「むっちゃ緊張して疲れたわー」
すぐに座り込んでしまった佐久間と向井。
💜「お疲れ。三人共、無事で良かったよ」
💛「さっさと出るぞ。長居するとこじゃねえからな」
すぐに全員で来た道を戻っていく。その最中、目黒が見ているのに気が付いた阿部は、ただニコッと微笑み、それ以上の追及をかわしていた。
ふーちゃんの背に全員が乗って事務所に帰ってきた後は、阿部ちゃんへの追及タイム―――とはならなかった。
今回は、何をしたのかが重要ではないから。皆が、阿部がしたことを理解して、それでも止めなかったのだから、追及などできるはずもない。
ただしそれは、目黒と渡辺には通用しなかった。
事務所に入るなり、目黒に手を引かれて休憩室へと連行された阿部。そのすぐ後ろを渡辺が付いていくのを見ても、他のメンバーは何も言わずに見送った。
🧡「なんかあったん?」
🩷「さあ?」
💛「あれ、使ったんだよ、阿部。俺らは知ってて容認した。でも、翔太は納得してなかったし、多分、めめも察したんだろうな」
🩷「ああ、なるほどねー」
💜「休ませてくれるなら大歓迎ってこと。こっちはこっちで、休憩と情報のまとめと、反省会ね」
🧡「え、それ休憩させるつもりあるん?」
💛「座ってりゃいいだろ。お前らは当事者なんだから、口だけ動かせ」
❤️「俺、お菓子作ってるね」
🤍「あ、僕も手伝うー!」
💜「ラウ、必要な時は話に入ってね」
🤍「はーい!」
休憩室に連れて来られた阿部は、目黒に無言でベッドに座らされた。目の前の椅子に座る目黒と、その横に立つ渡辺。どうやっても逃れられない。
💚「あの……怒ってる?」
躊躇いがちに上目に見ると、途端に顔を背けられた。どちらにも。
🖤「怒ってはない」
💙「俺は怒ってる」
💚「どっちなの」
🖤「阿部ちゃんがしたこと、俺は分からない。気付いたらふーちゃんの上だったし。でも、その前に阿部ちゃん、ふっかさんの鋼で試してたじゃん? 高速で移動したとしても、ふーちゃんが無事に上まで運べないんだろうなっていうのが、俺の考え。合ってる?」
💚「……すごい。めめ、ちゃんと合ってる。え、いつの間にそんなに考えるようになったの? ファントムの時も思ったけど、めちゃくちゃ凄いよ!」
キラキラとした目で褒められたことで、目黒は再び顔を背けて口元に手を当てている。
にやけた表情を隠しているのは渡辺にもバレバレで、けれど気持ちは分かるのか、渡辺が茶化す事はない。
💙「阿部ちゃん、本題それじゃない」
💚「……はい。翔太は、納得してないんだよね?」
💙「するわけねえじゃん。負担かかるって知ってるし。お前、あの時、なんつった? 俺らに耐えろ、自分も耐えるからって。それって、結構な負荷がかかるって分かってたってことだよな?」
💚「おお、翔太も分かってる」
💙「阿部」
💚「はい、すみません。でももう、時間がなかったんだよ。全部の手を封じられてて、他の方法を探してる場合じゃなかった。だから、ふーちゃんに手伝ってもらったんだけど……」
💙「それは分かってる。でも、分かってるからって納得できねえんだよ。佐久間のBOOSTん時と同じ」
助けないでと佐久間に頼んでも、実際には手を離さなかったと後で聞いた。離せるわけがなかったと告げられた。仕方なく吞んだけど、納得はしていない状態だったということも。
💚「……じゃあ、どうしたらいいの?」
💙「別に俺らは、阿部ちゃんのすることに反対はしねえよ。できねえのは分かってるんだって言ったろ。ただ、気持ちの整理もできねえから、こうしてんの」
🖤「そ。阿部ちゃんはただこのまま、休んでくれればいいよ」
💚「あ……そういうこと?」
🖤「そういうこと。それと、俺らの気持ちを伝えたかったってだけ。そう思ってるってこと、阿部ちゃんには知っててほしい」
💙「これまで押し付けるつもりなんてなかったけど、こうでもしないと阿部ちゃん、すぐ無茶するだろ」
反論はできなかった。
隠れて使ったことだってある。ここまでなら大丈夫だと自分で線を引いて、疲れるくらいだからとやり過ぎる。そうなるのを阻止しようとしているのだ。目黒も、渡辺も。
真っすぐに自分の感情を伝えてくれていた目黒。
心配でも不安でも、怒る時は怒り、体調を気遣う時には声をかけてくれていた渡辺。
二人とも、自分たちなりに気持ちの整理をし、それでも阿部のためにと、こうして話してくれている。
理由が分かれば、拒むことなどない。
💚「ありがと、めめも、翔太も。伝えてくれて嬉しかった。でも、ごめん。無茶しないって保証はできない。必要があれば使うよ。今回も、めめと佐久間と康二の命がかかってた。俺が疲れることを理由に諦められないから」
🖤「……そこは分かってる。でも、俺らの気持ちも忘れないでほしい」
💚「ん、わかった」
💙「じゃあ、寝ろ。今すぐ」
💚「え、今すぐ? 寝れるかな……」
🖤「横になって目を瞑るだけでいいよ」
💙「涼太、お菓子作るって言ってたしな。出来上がったら起こす」
💚「あ、じゃあ……ちょっとだけ」
靴を脱ぎ、もぞもぞと布団の中に入った阿部は、ちらっと二人を見る。
💚「めめと翔太は、どうするの?」
💙「俺も寝る。そこのソファ使うわ」
🖤「俺はここでのんびりしてるよ。気にしないで」
💚「そっか……じゃあ、おやすみ?」
💙「昼寝で? ま、いっか。おやすみ」
🖤「おやすみ、阿部ちゃん、しょっぴー」
静かに目を瞑った阿部を見て、目黒と渡辺は顔を見合わせた。
せめて休息だけでも取ってくれるようになればいいと、そう思いながら。
交錯する想い編 終
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