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赭 主人公
赭瑞 要素少し有
脱字、誤字
口調迷い
少し長いです、ゆっくりみてってください
…
五月下旬
そろそろ、
蒸し暑さを感じる季節になっていた
いつものように授業を抜け出し
屋上へと足を運んだ
廊下を 一歩、一歩と歩く度に
足音を鳴らす湿気
ふと、外に視線をやれば
今にも雨を降らせそうな黒い雲
…梅雨は嫌いだ、
…
扉を開けると、すでに雨が降りだしていた
赭)…まじ?、
その声も、すぐに雨にかき消された
落胆の中
ふと、視界に一つの影が入る
その光景に思わず言葉を失った
赭)…はッ、?
屋上の柵の上に立つ一人の男
体は宙へと傾く
赭)ッ!?…何してんだよっ、!
気付けば体は走り出し
必死に手を伸ばしていた、
届け
その願いは叶わなかった
手は空を切るだけ
その瞬間、
時が止まったように思えた
頭をフル可動させても理解が追い付かない
目の前で、人が…
その事だけで
頭は埋めつくされていた
やっと体が動くようになり、
勝手に足が後退りした
…逃げたい
そんな衝動に駆られ、
扉へ走る
そんな時、
瑞)…めが、_たの?
急いで振り返るが誰も居ない、
雨音に隠された小さな声
上手く聞き取ることが出来なかった
…
気が付けば放課後、
日もとっくに暮れ、家に帰宅していた
…あの後、
屋上から下を覗く事は出来なかった
それからはただ、
テレビをぼっーと眺めているだけだった
でも、そこには違和感
ニュースにならない
学校でも騒ぎがある様子は無かった、
あの事が…誰にも知られていない
本当にあったのなら今頃、
大騒ぎのはず…
布団に入るも、考えが浮かぶ
俺が見たのは一体…
分からない、の一言に尽きる
…でも確かに
あいつの声が耳に残っていた
…
次の日、
昨日はいつの間にか寝ていたらしい…
普通、あんなことがあったら
怖い
と思うのが正常だと思う
でも何故か俺は、
とてつもない好奇心に駆られていた
確かめたい、
あいつに会いたい…
そんな考えで
俺の頭は埋めつくされていた
…
今日も屋上へ向かう
だが、いつもより足取りが軽い気がした
胸が高鳴っている
そう、自分でも分かる程には
思いきってドアを開ける
昨日とは打って変わって、
青い空が顔を出していた
赭)昨日やつ…いる?、
そう空に呼び掛けるも、返事は無い
…今俺は、端からみたらどう思われるだろう
そう考えると少し耳が染まる
だが、諦めるつもりは無かった
スマホを手に取り時間を潰す事にした
…
気が付けば二時間も経っていた
赭)…戻るか、
こんなに待っても出てこないなら、
それは気のせいだったのだ
そう思い、ドアノブに手を掛けた
その時、何かが頬を伝う感触
空を見上げると、先程の青色は消え
黒い雲に覆われていた
…そういえば、
昨日もこんな感じの雲だった
いや、やめだ
もう一度ドアノブに手を掛けた
瑞)瑞の事…見えてる?
聞こえた、
しっかりと
急いで声のする方へ体を向くと、
そこには
居る
灰色の髪にうっすらとかかる水色
青空の様な瞳
透き通るような白い肌
雫型のピアス
この時俺は、自分が思っているより
まじまじと
こいつを見ていたらしい
瑞)…ほんまに見えとる?
そう不安げな表情で顔を覗き込まれる
俺は反射的に目を大きく開いた
そんな様子を見て、
瑞)やっぱり見えるの?!瑞は瑞!友達にならないっ?
笑顔になる目の前のやつ
その表情にひかれて、
気付けば名乗っていた
赭)…赭、よろしく、
これが、俺が瑞を見つけた日
…
それからというものの、
俺は毎日のように屋上へと足を運んだ
瑞)へぇ~!赭くん高三なんだ!
瑞)頭痛いの…?雨だもんね、ごめんね…
瑞)赭くん勉強できるのっ~?
瑞が教えたろかっ?
赭)勉強くらいできるわっ!笑
ただただ普通の会話
友達との会話
そんな日々が少し、
俺の日常に花を添えた
…
あれから数日経った
赭)瑞っ~、いるか?
瑞)あ、赭くん…
その日の瑞には、
いつもの様な笑顔は無かった
赭)…大丈夫か?、
瑞)ぅん、ありがと…
あのね、赭くん…
瑞は、一度勢いをつけた顔をして
寂しそうな顔をして
覚悟を決めた顔をして話を初めた
瑞)信じられないかも知れないけど…
瑞は梅雨の妖精なんだ、
薄々、勘づいていた
雨の日しか姿を見せない瑞
誰だって違和感を持つだろう
だが、俺が驚いたのは次に発せられた言葉
思わず息を飲んだ
瑞)瑞は梅雨の妖精…だから、梅雨が終われば次の梅雨まで見えなくなる…
しかも、赭くん卒業しちゃうでしょ?…
瑞はここにしか居られないから、
そろそろお別れだよ、
赭)…へッ、?
お別れ、?
あの時の様に、また
時間が止まった気がした
やっと体が動くようになってから
俺はすぐ携帯を取り出した
検索
今年の梅雨 終わる日
赭)…明日ッ、?
瑞は何も言わなかった
ただ、唇を噛み締めていた
お互い無言のまま時間が過ぎ
気付けば最終下校のチャイムが鳴っていた
赭)ぁ…ッ、
上手く言うことを利かない手を、
必死に動かして
ゆっくりと帰り支度をする
帰り際、
瑞)明日…待ってるから、
そう耳に入ってきた声だけ
覚えている
…
夜、俺は寝れずにいた
明日で終わる
そう思うと、いてもたっても居られない
俺の日常は瑞によって形成されていた
…ここで少し、俺の話
瑞に出会うまで俺は、
友達なんて呼べる存在は居なかった
毎日の様に濡れる髪、制服
要らないデコレーションをされた机
危ない上履き
楽しい…なんて言えるものは
一つも無かった
他の生徒も見ないフリ
先生も気付かないフリ
まるでその代わりに、屋上へ行く事を
許されているようだった
そんな日、瑞という存在に出会った
温かくて太陽の様に眩しい笑顔
一緒に笑い合える関係
友達
と呼べる人だった
毎日思っていた
明日なんか来なくていい、と
でも、こんなに強く願う日は
今まであっただろうか
…
次の日
その日は、朝から小雨が降っていた
どんだけ願っても明日は来る
分かっていた事だ
だが、今までこんなに苦しかった日は無い
家に居てもなんだかいたたまれなくて、
朝一番に学校へと足を運んだ
…
扉を開けると、
屋上の中央にはすでに瑞が居た
瑞)…来てくれたんだ、
赭)当たり前だろッ…
それだけ交わして、
少しの間沈黙が続いた
先に口を開いたのは瑞だった
瑞)…お別れ、かぁ…寂しくなるね、
赭)ッ…!、
そう瑞が言うと、
抑えていたものが一気に溢れだした
…殴られても、涙は出なくなっていたのに
そんな姿がかっこわるく思えて
しばらく下を向いていた
瑞)ねぇ、こっち見て?
顔をあげたのは、
その言葉を聞いてからだった
瑞を見ると、瑞は俺よりも泣いていて
恥じらっていた自分が
なんだか馬鹿らしく思えてきた
赭)なんだよ…、
少しぶっきらぼうに返す俺とは反面
瑞は笑顔を作った
瑞)瑞さ…ずっと一人で寂しかったんだ、
でもっ、毎日赭くんが来てくれてッ…とっても楽しかった…
だからは、最後は瑞達らしく
笑っていよう?
そういって笑う瑞の顔はぐしゃぐしゃで、
あの日の様な太陽の笑顔では無かった
それでも
俺はまた、救われた気がした
赭)ははっ…瑞らしいわ、
つられて俺は笑った
そうすると、瑞もまた笑う
でも、すぐ真剣な表情になった
その真っ直ぐな目を
俺はただ、見ていた
瑞)また、きっと……いや、絶対会えるから
生きてね、赭くん
赭)ッ!…
もしかして、ずっと見て居たのだろうか
俺が気付けなかっただけで…
赭)あぁ、…死なない
いや…死ねないわ…、 笑
お前に、会いに行かないと行けないからな
瑞)ッ!!…
そういうと、瑞は
嬉しそうな、それでいて悲しそうな
そんな顔をした
その後に、抱きついてきた
俺も何も言わずに抱き締め返した
…あの日、握れなかった手を
触れれ無かった存在を
宝のような思い出を
全部、
しっかりと抱き締めた
その後は、
別れが来るまで
一言も話さなかった
それでもずっと、
お互いを離さなかった
…
気付けば、
瑞は俺の腕の中にはもう居なくて
空は瑞の瞳の様な色をしていた
太陽が当たり前の様に俺を照らす
それはまるで、もう瑞は居ないと言うようで
また、目元が熱くなった
…でも、もう泣かない
下は向かない
必ずまた会う
そう、約束したから
その日は…
六月二十三日
胸に深く刻まれた
…
あれから五年の月日が経っていた
俺はまた、あの高校に戻ってきた
今度は、教師として
赭)今年からこの学校にきた赭です、
皆よろしく
今は四月、まだ少し早い
…梅雨が待ち遠しい
…
あれから数十日後
その日は来た
テレビで見た梅雨入り
予報通り、朝から雨が降っていた
その日はまた、朝一番に学校に向かった
…
階段を上る
一歩、一歩と踏みしめていた筈なのに、
いつの間にか駆け足になっていた
勢い良くドアを開く
赭)瑞ッ!!、
あの時と変わりの無い屋上
俺の声が響く
そうすると、あの日の様に
屋上の中央に立つ一つの影
すぐさまお互いに駆けより
抱き締めた
強く、
俺の服が少し濡れる
赭)ははッ…瑞は泣き虫だな、
あの日と変わらない瑞の姿
瑞)赭くんだって、泣いてるじゃん…
少しの沈黙
その後に溢れる笑い声
瑞)ふふっ…教師になって帰ってくるとか、どんだけ勉強したのっ?
赭)… 笑、元々そんなあほじゃねぇよ
あの日と変わらない太陽の様な笑顔
俺はもう一度抱き締めた
必ず会える
絶対に叶う事
…また別れが来ても
もう泣かない
また、次の梅雨まで。
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