テラーノベル
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「じゃあ、僕は教室に行くね」
永目はそう言いながら、二年のフロアに行ける昇降口へと向かって行った。
「なぁ、お前二年なの?」
「へ?ぁ、そうだけど」
「俺もなんだけど」
「え!そうなの!」
永目は目を見開いてとても嬉しそうな表情をしていた。
俺が話そうとした瞬間、永目は口を開いた。
「じゃあ、一緒に行けるね!」
「はぁ?」
俺は反抗する気にもなれず、永目と半強制的に教室へと向かった。
俺と永目が共に昇降口に向かっているのを見た奴らは足を止めこちらを見ているようだった。
だがそんなことは気にならず、俺はただ永目の後ろに着いて行った。
そして、俺らは靴を履き、教室へと向かう廊下を歩いていた。
「くるみくんって可愛い名前だよね」
「だろ?俺この名前嫌いなんだよ」
「じゃあ、なんて呼べばいい?」
「普通に苗字でいいだろ」
永目は俺が放った言葉を聞き、考え込んでいた。
「僕、苗字知らないよ」
「は?じゃあなんで俺の名前知ってんだよ」
「連絡先、交換したじゃん」
「ああ、だからか、」
名前呼びの違和感から開放され、俺はそのまま話し続けた。
「早見って呼んで」
「わかった!早見ね!」
永目は何故か嬉しそうに、俺の苗字を呼んでいた。
その仕草が愛おしくて、ずっと見ていられそうだった。
(だからさっきから何考えてんだよ)
俺は心の中で困惑の混ざったツッコミを入れる。
永目が俺の方に振り返る。
「ねぇ、どこまで着いてくるの?」
「いや、俺もこっちなんだけど、」
永目は俺のクラスの前で立ち止まった。
「早見ってここ?」
「そうだけど、」
「おんなじじゃん!」
「…はぁ?」
どうやら、永目と俺は同じクラスらしい。
永目は嬉しそうに教室に入って行った。
そして、俺も教室に入る。
案の定、クラスメイトは俺の事を気持ち悪い虫を見るような目で見てくる。
心のどこかで、永目みたいに喋りかけてくれるかもと思っていた俺を殴りたいぐらいだ。
「創太、おはよう!」
「おはよう!」
永目は入口付近に居た奴と話している。
(そっか、永目は俺以外とも喋るのか、)
永目を俺と仲間だと思っていた俺はとても馬鹿らしい。
そりゃそうだ、さっきまで喧嘩をしようとしていたヤンキーとも話せる能力があるんだから。
胸に親父に殴られたような痛みがする。
俺はその痛みに気付かぬフリをして、自分の席に座り、机に突っ伏した。
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