テラーノベル
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晶子とカンナが眠りについた頃、リビングでは晶子の父親が翌週の仕事の下調べを終えて、ソファに座ってワインを飲んでいた。
風呂から上がった晶子の母親が自分用のグラスを持って、夫の隣に座り、ワインをボトルから注いだ。父親が言う。
「おや、珍しいね。君がこんな時間に飲むなんて」
「なんか、考えさせられちゃってね」
晶子の母親はワインを口に含みながらため息をつく。
「今まで気にした事なかったけど、あんないい子が、それも晶子と同じ年なのに、あんな悩み抱えてるのか、と思うと」
「ああ、夕食の後のカンナちゃんの言った事だね」
父親はワインを一口飲んで、苦笑いを浮かべた。
「僕たちが勝ち組、ねえ。本当にそうだったら、どれほどいいか」
「あたしも最近、あたしたちって住宅ローンと子どもの教育費払うために生まれて来たのかしらって、そう思う事あるわ」
「カンナちゃんの親御さんなら僕らとあまり年は変わらないよね。もしかして就職氷河期世代って事かな」
「ああ、それはあるかも。あたしたちが大学生の頃の就職活動って、あれは悲惨だったものね」
「僕の同期生でも最後まで就職が決まらなくて、そのうち音信不通になったのがけっこういたな。そういう意味では、確かに僕も君も勝ち組に見えるのかもしれないな」
「遺伝というより、まともな就職が出来なかった親の元に生まれた子どもが、これからどうなるか。カンナちゃんが言ってたのは、そういう話だったのかもしれないわね」
「確かに、塾に行けるかとか、習い事をさせてもらえるかとか、親の収入で決まる面も多いよね。考えようによっては、嫌な世の中だな」
「晶子に聞いたんだけど、最近は親ガチャなんて言葉もあるそうよ」
「親ガチャ? 何だい、そりゃ」
「子どもは親を選べないって昔から言うじゃない。それの現代版らしいわ。貧乏な親の子どもに生まれると、子どもも負け組とか貧困層とか、そういう未来しかないって事かしら。晶子がカンナちゃんと友達にならなかったら、一生考える事もなかったわ」
「そうだね、僕もだ。晶子のような子も、カンナちゃんのような境遇の子も、幸せになれるような、そんな時代になって欲しいもんだ」
コメント
1件
第40話読んだよ〜!😭💕晶子の両親の会話がめっちゃリアルで胸に刺さった…「親ガチャ」とか「勝ち組負け組」って、ちょっと重いテーマだけど、晶子のパパとママがちゃんと向き合って考えてるのが伝わってきて、なんか温かい気持ちになった。最後の「みんな幸せになれる時代になればいいね」ってセリフ、めちゃくちゃ沁みた…!この作品、社会派なテーマもさらっと描くのが本当にうまいよね…。次も楽しみにしてる!🌸
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菊池川詠人
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