💙
「ねぇ、翔太ってなんでそんなに綺麗なの?」
阿部ちゃんに二度も綺麗と言われたその日。
仕事の前に何の予定もなかった俺は、自宅で阿部ちゃんの情報番組を眺めながら食事をしていた。食事といっても、数種類のサプリと、青汁にヨーグルト。最低限の食事だ。
生放送の中で、阿部ちゃんは、うっとりと俺をほめそやした。
『渡辺って綺麗すぎませんか?』
「………何言ってんだよ…。はず///」
反射的に悪態をつき、それでもあっけに取られて、ぽかんと、数十秒間ワイプに映る小さな阿部ちゃんを見ていたように思う。
番組がCMに切り替わり、その後のニュースに話題が移っても、俺の心臓はどきどきしたままだった。
そりゃ俺は、美容に気を遣うキャラだし、アイドルである以上は常に美しくありたいと思っているし、もはやあたりまえの習慣になるくらいに肌のケアは怠ってないけれど。阿部ちゃんの「綺麗」は、そういうありきたりな褒め言葉の「綺麗」じゃない気がして、どぎまぎしてしまう。
「…いや、考えすぎか」
飲み干したグラスを流しに運びながら、俺は洗い物とキッチン周りの掃除を始めた。
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💙の語尾の「し」が好き