テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「名前は?確か、聞いてなかったよね?」
「名前は───」
「いい名前だね」
「あはは…そう言ってくれて嬉しいな」
何気ない日常。誰にも邪魔されない空間だった
色んな話をして、喧嘩して、楽しかった日常
2人だけの世界だった。
そんなある日、 人気のない路地裏で、ある約束をした。
「破ったら───」
「…うん、破らないよ」
あの人と言葉を交わしたのはこれが最後だった。
次の日、あの人は来なかった
きっと休みだったのだろう。当時の私はそれを永遠に信じていた
数ヶ月経ってもあの人は来なかった
来る日も来る日も正門の前で待ち続けたけれど、無駄だった。
「…なんで」
「なんでなんでなんで…」
苦しかった。唯一話を聞いてくれる相手だったから。
がむしゃらに走り続け、あの人が行きそうな所を全て回っていた。
「どこなの…?ねぇ…!」
答えが返ってくるはずもなく、息を切らしていた。
顔をあげると、そこには綺麗な海が広がっていた。
「…きれい…」
夕陽に照らされ、キラキラと波を打っていた。
「…そうだ、写真撮ろう」
パシャリ、という音が鳴り響いて、そのまま背にして帰って行った。
私立希望ヶ峰学園。
色んな才能を持った人達が集まるこの場所。
そんな凄いところにスカウトされてしまった私。
「こんな場所でやっていけるかな…?」
持っていた紙を見下ろし、もう一度読んでみた。
『編入のお知らせ』
『我が校の厳正な審査により、貴方を【超高校級の✕✕✕】としてスカウトします。』
「…信じられないや。」
紙を丁寧に畳み、ポケットへ入れた。
「…こんな凄いところに入るのに、こんな弱気でいちゃダメだよね…うん!」
頬を軽くつねり、気合を入れて、校内へと足を踏み入れた。
「これが…希望…ヶ…峰…学園…綺麗…だ…な…」
「あ、れ…?」
踏み入れた瞬間、謎の目眩に襲われた。
「な、に…?これ…?」
視界がぐにゃりと歪み、やがて全て歪んでいた。
そうして、私は倒れてしまった。
しばらく経った頃、目を開けると、目の前に謎の美少年がいた。
「…ねぇ、大丈夫?」
「……え?」
白髪にふわふわとした髪型、そして綺麗に整った顔立ち。
辺りを見渡せば、南国のような場所だった。
肌がちりちりと焼ける感覚、どうやら無人島のようだった。
40
72
ラムネ🧊❄
26
12
コメント
1件
第2話、読み終えました。 冒頭の「破ったら──」の約束と、その人が来なくなってしまった喪失感がすごく刺さりました。海辺で撮った一枚の写真、あれはたぶん彼女の中でずっと特別なままなんだろうな……。 そして一転、無人島+美少年。ここからどう繋がるのか、世界の成り立ちが気になって仕方ないです。伏線の配置が上手で、続きが待ち遠しいです。