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港に並び立つ帆船から、ひっきりなしにドラの音が鳴らされている。
船員さんたちが手に吊るして打ち鳴らす金属製の打楽器――ドラは、シンバルに似た大きな音がして、船の入港と出港を知らせている合図らしい。
わたしたちは、その賑やかな音を波止場の青空のもとで聞きながら、目の前で不敵にほほ笑んでいるでっぷりと太った壮年の商人の男性と向きあっていた。
「――今回は世話になる。どうぞよろしく頼む、セバーグ殿」
レインが進み出て握手を求めると、セバーグさんと呼ばれた商人の男性は、まぶたの垂れ下がったキツネ目を細めて彼の手をとった。
「こちらこそ、セラフィナ国王ナレシュ陛下の賢弟と名高いレインワルド殿下と、セラフィナの国民から慕われている聖女の海春様、そしてシルベストル伯爵のご子息のサフィヤ准伯爵を我が商船にお乗せする機会をいただけて恐悦至極です。とくにシルベストル伯爵は、交易の面でと*************************
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