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――ラザラス王国、国境の町グリーア。
グリーアの領主館の一室をあてがわれたあたしは、深い緑色をした立派すぎる布張りの椅子に浅く腰かけて、床一面に重々しく敷かれている赤の絨毯をじっと睨みつけていた。
「……各国からの贈り物はお気に召しませんでしたか、聖女様?」
部屋の壁に背をあずけて、陰のようにたたずんでいた男が慇懃に言って、あたしはかっとなって顔をあげた。
「聖女などと呼ばないでといったでしょう!あたしはそんなものになる気はないわ!」
「さようでしたか。それは失礼いたしました―――利緒様」
わざとらしく言い直してみせる男に、あたしは彼を一度きつく睨みつけてから口をつぐんだ。
目の前には、各国からあたしのために贈られたという大粒の宝石類や良い匂いのする花々、淡雪のように繊細なレースで作られたドレスが山のように届けられている。
けれどあたしは、そのどれもに手を伸ば********
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