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シュレーディンガー

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シュレーディンガー

2 - 第2話 死んだ魚の目と、導火線と、割れたメガネ

2026年01月27日

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プロローグ:放課後の不法占拠

場所は都立・大江戸高校の旧校舎。取り壊し寸前の美術室。 入り口には「なんでも屋・シュレーディンガー」という、殴り書きの看板が掲げられている。

部屋の中では、坂田誠がソファにふんぞり返り、イチゴオレをストローで啜っていた。その目は完全に据わっており、虚空を見つめている。

「……おい、新八。イチゴオレのストロベリーが足りねぇんでさァ。土方(先生)に言って、校庭にイチゴを植えさせてきなせェ」

「誰が土方先生ですか!あとそれ、銀さんの目じゃなくて完全に真選組のサドの目ですからね!?」

志村新(新八)の鋭いツッコミが響くが、坂田はどこ吹く風。 その隣では、中野渚(自認レゼ)が、ハサミで自分の制服の裾を切り刻みながら、爆竹の火薬を丁寧に集めていた。

「ねえ誠、この学校に『学校の七不思議』ってあるでしょ? その中のひとつに、私の心臓を隠しておいた気がするの。……探しにいく? それとも、この部室ごと吹き飛ばしちゃう?」

「レゼさん! 物騒な冗談はやめてください! あと心臓は今あなたの胸の中にちゃんとありますから!」


事件の発生:依頼人は自称・悲劇のヒロイン

そこへ、扉が勢いよく開く。現れたのは、隣のクラスの女子生徒・佐藤。 彼女は涙ながらに訴えた。

「お願い……助けて! 変な男にずっとつけられてるの。登校中も、下校中も。警察は動いてくれないし、もう私、怖くて……」

坂田はゆっくりと立ち上がり、壁に立てかけてあった「洞爺湖」と書かれた木刀を手に取った。

「ストーカー……ですか。旦那、安心しなせェ。俺ァ、そういう粘着質な野郎を『掃除』するのが一番の得意分野でさァ。……新八、準備しな。今日は仕事(バラガキ)の時間だぜ」

「だから銀さんのセリフじゃないんだってば! 決め台詞が全部物騒なんだよ!」


調査:尾行と逆転

放課後、3人は依頼人の佐藤を遠くから見守りながら、ストーカーを誘い出す。 案の定、不気味な男が距離を保ちながら彼女の後を追っていた。

「見つけた……。あの男、爆破していい?」 渚(レゼ)が、自分の首に手をかけ、架空のピンを抜く仕草をする。

「待てレゼ、爆破は最後だ。まずは俺が、あの男の魂(タマ)を抜いてやりまさァ」

坂田は男の背後に音もなく近づくと、木刀を男の首筋に突きつけた。その口調は冷徹そのもの。

「おーおー、熱心なファン活動ですなァ。だが、あいにくそのチケットは期限切れでさァ。地獄行きの特急券に交換してやりやしょうか?」

男は恐怖に震え上がるが、ここで新八が異変に気づく。 「……待ってください。あの男が持ってる写真……依頼人の佐藤さんじゃないですよ」

意外な真相:全員が「自認」の迷子

男が持っていたのは、佐藤の背後に写り込んでいる「新八のメガネ」の隠し撮り写真だった。

「……え、僕!? 僕のメガネをストーカーしてたの!?」

男は震えながら白状した。 「この……この絶妙なフレームの曲線美。誰がかけていても変わらない、この『本体』の輝き。僕は、メガネ界の至宝を探していたんだ……!」

一瞬の沈黙。

「…………新八、消しちまっていいですぜ」 坂田が冷めた目で木刀を構える。

「いや、僕のアイデンティティを認められたのは嬉しいけど、気持ち悪いわ! やめて! 警察呼んで!」

「うふふ、やっぱり爆発させたほうが早いんじゃない?」 渚(レゼ)が、集めた爆竹を男の足元にバラまく。


結末:夕暮れの報酬

結局、男は駆けつけた教師(土方先生に似た体育教師)に連行されていった。 依頼人の佐藤は、自分がターゲットではなかったショックで「私、ストーカーされる価値もないの……?」と泣きながら去っていった。

夕暮れの部室。

「……結局、一銭にもなりませんでしたね」 新八がため息をつきながら、割れた予備のメガネを拭く。

「まァ、いいじゃねーですかい。この街の汚れがひとつ消えた。……それより新八、腹が減りやした。チョコパフェ三つ、奢ってもらいやしょうか」

「なんで僕が奢るんですか!? 銀さん(自認)なら、少しは主人公らしくカッコよく締めてくださいよ!」

「新八、次は……もっと大きな『花火』、打ち上げようね」 微笑む渚(レゼ)の指先には、どこから持ってきたのか、本物の導火線が握られていた。

「だから! それどこで手に入れたのォォォ!!」

新八の絶叫が、大江戸高校の校舎に虚しく響き渡った。

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