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【僕と君の甘いキス】※ケーキバース
赫 → フォーク
黑 → ケーキ
【赫視点】
お前が俺の近くを通る度、俺は思わずお前に手を伸ばしてしまいそうになる。
その甘い匂い。少しだけ、味わってみたい。
俺はまだ知らない。お前の味。
黑「ゆあんくーん!」
赫「っ、どーした、?」
お願いだから、俺から離れていて欲しい。少しでも触れたら、お前を壊してしまいそうだから。
黑「ずっと思ってたんだけどさ」
赫「….?」
黑「ゆあんくんって、俺の事だけ避けてるよね?」
赫「、っ」
黑「なんで、?俺の事、嫌い、?」
近付くな。こっちに寄るな。大好きだから、壊したくないから、消えて欲しくないから。
赫「ごめん、言えない、」
後退りながら、出来るだけ、笑顔でそう返す。するとうりは、悲しそうに顔を顰めた。
黑「….俺がケーキで、ゆあんくんがフォークだから、?」
赫「ぇ、な、んで….」
うりの口から零れた、思いもよらない言葉に、俺は衝撃を受けた。
黑「ぁー、やっぱそっか、笑」
赫「…..」
何も言えなかった。だって、うりが、軽蔑するような目でこちらを見ていたから。
黑「ゆあんくんも、”そう”なんだな、」
赫「は、?」
黑「まぁ、急に襲わないだけマシか」
赫「意味わかんな、」
黑「どうせ、俺の事いつか襲う気だったんだろ」
赫「そんなんじゃねぇよ、」
黑「みーんなそう言うよ。俺の事襲ったやつ全員」
そう言いながら、涙を目に溜めたうりは、被害者であるのにも関わらず、自傷気味に笑った。
黑「ゆあんくんだけは、”そうじゃない”って思ってたのになぁ…、」
遂に溜めていた涙を流し始めたうりを見て、俺は咄嗟に抱き締めてしまった。
赫「ちがう、ちがうよ、」
黑「なにが、っ…?」
苦しそうな嗚咽を出すうりの頭を、俺はそっと優しく撫でた。
赫「俺、ほんとに好きだよ、うりのこと」
今にもうりを食べてしまいたいという気持ちを抑えて、俺は精一杯に気持ちを伝えた 。
黑「うそ、うそでしょ、そんなの、」
赫「うりが過去にどれだけ辛い思いしてたのかはわかんない、けど、」
今のお前に、何も知らない俺の言葉が響くなんて、到底思わないけど。それでも…
赫「俺は、うりのこと、何より大切だと思ってるから…!」
黑「ゅあ”っ、….」
君を味わう、なんて、もう一生出来ないだろうけど。大好きな君の力に、少しでもなれたかな。
黑「ねぇ、ゆあんくんっ、」
赫「….なに?」
黑「んっ、!⸝⸝」
突然、目の前に甘い香りが広がった。それと同時に、唇に柔らかい物が優しく触れる。
うりが離れたあと、自分の唇を少し舐めてみた。
少しだけ、僕と君の甘いキスの味がした_