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「ねぇ、気づいて。」
僕は誰かに話しかけられる。遠くの方に人影が見えた。
「誰?」
僕は尋ねる。影は何も言わずに向こうへと歩き始める。
「待って!」
僕は影を追いかける。人影に追いつくとそれはゆっくりと僕の方へと振り向く。その瞬間、視界に眩い光が広がった。
目を覚ました僕は、今日見た夢のことが脳をよぎった。しかし考えても思い出せずただなにか重要なことを忘れているのではないのかという不安感が纏わりついている。
「まあいっか。」
僕はいつものようにビールを飲んだ。部屋中に散らかっているビールの空き缶や紙を見て掃除をすることにした。中には昔出した画集の原画があった。イラストレーターなんて絵空事だったんだと改めて実感した。事務所のオーディションを受け全て落ち、仕方なく個人で制作をした画集。それでもお金を稼ごうと思っていたが実際にはほとんど売れず最終的には赤字のままだ。そんな辛い記憶を出してしまったせいで掃除も何もかもやる気にならなくなってしまった。暇になった僕はテレビをつけるが、内容が一切頭に入ってこない。すぐに僕はテレビを消しベットに身を伏せた。結局昼ごはんを食べるまでそのままでいた。午後からは再び掃除を始めてある程度綺麗になったところでシャワーを浴びてそのまま眠りについた。日記には
『6/3(土) 掃除をした。』
とだけ書いた。