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ほしのはな
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#さのじん
abc
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佐野:……!!
あれから数日後、キャンパス内を歩いてると渡り廊下の先に仁人の姿が見えた。こっそり脅かそうと思いジリジリと近付くとあることに気付く
佐野:…誰だ
影に隠れていて見えていなかったが、仁人は俺の知らない女の子と話していた。仁人と同い年くらいか?仁人が女の子と会話してる姿なんて正直見たことがなかったから、申し訳ないが違和感しかない。最初は仲良さそうだし同じサークルの子なのかな、と思って観察していたが、よく見ると仁人の顔が強ばっている。でも女の子はガンガン喋ってるし…どういうことだ?
更に近寄ろうとした瞬間、どこから来たのか太智が2人の間に入っていくのが見えた。そして、仁人を背にして庇うような体制で女の子と喋っている。遠目から見ると笑顔だけど、きっと目の奥は俺が忠告された時のように黒く渦巻いていそうなくらい、不穏な空気が漂っている。女の子は何か言い返していたが太智が動かないのに断念したのかその場を去ってしまった
え、何だったんだ今の。太智絶対止めに入ってたよな?俺は隠れるなんてとっくに忘れてただ一部始終を眺めた通行人になっていた。けど、俺の視線にに気付いたのか、仁人と目が合う。バチッと電流が走るような感覚。久々に見たその瞳に吸い寄せられるように、条件反射で駆け出していた
吉田:マジ助かったぁ…ありがとう
塩﨑:またあの子?
吉田:うん……
別の学部の子なのになんでこの棟にいるんだ、なんて話していると、太智越しに少し離れた所に誰かが立っているのが見えた
吉田:ん?…………っ!!
塩﨑:え?
なんで、勇斗がここにいんの?勇斗と目が合うやいなや物凄いスピードで近付いてくる。いやいやいや怖すぎる!!嬉しいよ?嬉しいけど!
吉田:太智!!守って!!
塩﨑:なーに言ってんの
太智にしがみつくと呆れたように振りほどかれ、勇斗が来る方向に押し出された。は、なんで!?いつも勇斗に警戒心バチバチだったじゃん!?どうしよ、どうすr
吉田:ブホッ
佐野:仁人ぉ!!!元気か!?マジで会いたかった…
この人は羞恥というものを知らないのか?本当に勇斗は人目を気にせず俺に飛びついてきた。嬉しいはずなのに恥ずかしくて、思わず離れようと抵抗したが、腰と背中をがっちりホールドされてビクともしない。俺よりも一回り大きいその身体を自力で引き剥がすなんてことは無理だと悟り、俺は諦めてただただ身を委ねた
吉田:ちょ、恥ずいよ
佐野:お預けって言ったのはそっちじゃん
吉田:…っ、そう、だわ
くっそ、なんも言い返せねぇ!あの時の俺、調子乗ってなんて馬鹿なこと言っちゃったんだ。はぁ、今更後悔してももう遅い。本当は俺も久々に会えて、嬉しい。けど、お願いだからTPOだけは弁えてくれ!!
吉田:俺も、嬉しいけど、流石に恥ずいから…
勇斗の背中に手を回して優しく叩くと、ようやく圧迫された体が解放されていくのを感じる
佐野:そうだね…こんなに可愛い姿、他の人には見られたくない
吉田:何言ってんの…てか 太智が止めないの珍しいね
太智は興味無さそうな顔でスマホをいじっている。うん、長年一緒にいたから分かる。本当にこいつ興味ないな。マジでなんでだ!?いつもならさっきみたいに間に入るじゃん!?
塩﨑:え、だって仁人めっちゃ喜んでるじゃん
吉田:……は?
佐野:だよな!やっぱ太智は分かってんね
塩﨑:てか、手出してないよね?
佐野:当たり前だろ…血の滲む思いで耐えたわ
塩﨑:流石!俺の見込んだ漢や!!
やりきった感満載の勇斗と、そんな勇斗の肩をバシバシ叩く太智。俺のいない所でめっちゃ仲良くなってんじゃん。さっきから色々ありすぎて理解が追いつかないんだけど
塩﨑:あ、俺今から学食行くところだったけど、勇斗も来る?
佐野:え!行きたい!仁人は?
吉田:…あ、俺、早く家帰って課題やりたいから、途中まで一緒に行くよ
学食まで向かう廊下で、やっぱり聞かれたのはさっきの出来事だった
佐野:さっきの女の子誰?
吉田:あぁ、えっと
塩﨑:高校の時、仁人に猛アタックしてた子。あの時も凄かったよな。俺が注意するまで付き人並みにピッタリくっついとったし
吉田:ほんと…太智様々だわ
高校生の時、何度断っても所構わずその子は俺についてきた。最初はみんな「イチャつくな」なんて煽ってたが、あまりにも執着している様子に心配する声が上がってきた頃に、あの出来事が起きた
吉田:離れろよ!!
女の子:……酷い
初めてちゃんと俺が拒否すると、その子は泣き崩れた。不幸中の幸いだったのはそれが俺の教室で起きた点だろう。俺にその子が付きまとっていることをクラスメイトは知っているから呆れた目で見ているが、他クラスの奴らはそうはいかない。教室の出入口にはいつの間にか野次馬がいて、「泣かせた」やら「可哀想」やら、ある事ないことを口々に俺に訴えかける。じゃあどうすれば良かったんだよ!!なんて叫ぶことも出来ず、立ち尽くしていたのだが
塩﨑:あんたいい加減にせぇよ
吉田:…太智
太智はその時別のクラスだったが、野次馬騒ぎを見かねて駆けつけてきたらしい。太智はその子の前に立つと、俺でも聞いたことがない重くて暗い声で、その子に言い放った
塩﨑:泣いて被害者ぶってるけど、あんた、 ストーカーとやってること同じや。これ以上仁人に近付いたら警察呼ぶから。あ、これは脅迫じゃなくてマジね……それでもまだ仁人にくっつくか?
女の子の目は恐怖で怯えていた。そうだよな…いつも明るくて元気の源みたいなやつからこんなこと言われたら、流石に怖いわ。その子は立ち上がると何も言わずに野次馬の隙間を縫って、走り去った
塩﨑:……仁人!?大丈夫か?
吉田:あ、うん。マジでありがとう…
同級生:塩﨑ぃ!お前カッコよすぎ!
塩﨑:ほんま!?どうしよ!?俺モテちゃうわぁ笑
まぁ、本当にモテたのはさておき、まさかその子と大学が同じなんて知らなかった。もしかしてまた俺に会うために…という思考が脳裏を掠めたが違うと信じたい。高校生の時といい今といい、本当に太智に助けられてばかりだ
佐野:その子は…まだ好きなの、?仁人のこと
吉田:あの様子だとそうなのかもね。最近妙に付きまとわれてるし…覚えてないって言ってるんだけどさ
塩﨑:仁人は優しすぎんねん!もっとハッキリ言ってやんないと
吉田:言ってるわ!!
佐野:……俺、嫉妬するかも
嫉妬なんてまたまた冗談を笑、と思いチラッと勇斗を見ると、拳を握りしめて眉間に皺を寄せ、苦しそうな顔をしている。本当に嫉妬してそうな様子に若干引きつつ、純粋な奴なんだなぁと思わず笑ってしまう
吉田:嫉妬って笑…俺はあの子のことガチで興味ないから
佐野:俺の事は興味あるってこと?
吉田:ん、?あぁ、そうだよ…少しだけな!?
佐野:太智……聞いたか、?
塩﨑:あー、聞いた聞いた。ゼミの話ね
佐野:違ぇーわ!!!
吉田:寒すぎ…
大学で課題やればいいのに、という勇斗の謎の制止を振り切って俺はアパートに向かった。頬にあたる風が突き刺さるように痛い。そうか、もう12月だもん。手袋出さないとな、なんてどうでもいいことを考えている内にアパートに着き、悴む手で鍵を差し込み玄関の扉を開けようとした。のだが、ドアを押し開けようとした指先が、背後に気配を感じてピタリと止まる
女性:やっと見つけた
吉田:?!
すぐ耳元で聞こえた湿った声に、心臓が跳ね上がる。聞き覚えのある、妙にねっとりとした、あの日々を思い出す嫌な声がアパートの廊下に静かに響き渡る。恐る恐る振り向くとそこにいたのは、例のあの子だった
吉田:…なんで、ここに
女性:だって、いくら言っても教えてくれないんだもん
吉田:…何をしてんのか分かってんの?
女性:もう!相変わらずツンツンだねっ
やばい、この人が何を考えているのか全く読めない。まさか家まで着いて来るなんて……流石に俺一人で対処出来る問題じゃないよな、?
吉田:はぁ、あんましたくなかったけど、警察呼びますね
女性:…は?
女性の顔つきが変わった。無駄に上がっていた口角は下がり、憎悪で満ちた眼差しで俺を睨むと、ネジが外れたように喚き始めた
女性:酷い…そうやってまた、私のせいにして逃げるんでしょ!!??もう、なんなの!?
吉田:ちょっと、声でかい!
俺が慌てたのを見たのが嬉しかったのかなんなのか、女性はにこりと満足そうな笑みを浮かべて、肩にかけていたバックから何かを取り出す
吉田:、っ、は?
女性:…私、結構本気なの。早く中に入れてよ。外、寒い
ナイフの先端を俺に向けたまま微笑む女性を睨みつけるが、内心パニック状態だ。唾を飲み込む。本当は素早く部屋に入って鍵を閉めて、警察を呼べばいい。けど、その間に勇斗が帰ってきたらこの女性と鉢合わせすることになる。それで勇斗が傷ついたら……
吉田:……入って
この状況を丸く収めるためには、部屋に入れて説得するしかない
吉田:…なんで俺にそんなに執着してるの
玄関の鍵はいつでも逃げれるように一応開けたままで、窓からは…流石に2階だから無理か。逃げ道を考えながら女性の動きを観察する。女性は部屋に置いてるギターを眺めながら話し始めた
女性:だって、吉田君も私の事好きでしょ
吉田:はぁ……だから、俺は貴方のこと覚えてないんだけど
女性:照れなくていいのに
照れてねぇよクソアマが…という、心の叫びは何をされるか分からないからグッと堪える。てか、部屋に入れたとて、俺は何を説得出来るんだ?
女性:ねぇ、今付き合ってる人いるの?
…付き合ってる人、か。真っ先に頭に浮かんだのはムカつくけどけどあいつの顔。でも、俺が決めたんだ。「お隣さん以上恋人未満」の関係性になるって。だから、
吉田:…いない
女性:じゃあさ。私と付き合って?
女性はナイフを床に投げ捨てるとジリジリと俺に近付いてきた。本能が危ないと警告を鳴らす。とにかく逃げないと、と思い、1番奥の寝室に逃げ込む。扉を勢いよく閉めて、棚を引きずり何とか塞いだが、開けられるのは時間の問題だろう。どうすればいいんだ。体が強ばり指は震えるせいで思うように動かない。それに、恐怖で脳が侵略されて、何も考えれない
「てか体調悪くなくても困ったことあったらいつでも壁叩いて」
…そうだ。俺が熱を出して看病しに来てくれたあの日、勇斗が言ってくれた言葉を思い出す。困ったこと、だよな?でも、勇斗まだ帰ってきてないかも……
ガチャガチャ
女性:吉田君!!なんで開けてくれないの!!
やばい。こんなこと考えてる場合じゃない。勇気を振り絞って壁を叩く。思ったより力が入らなくて叩けてんのかも分からない
「なんなら壁際で俺の事呼んで」
あの時はそんな事する訳ねぇだろ、なんて呆れていたが、まさか本当に行動に移す日がくるなんて。恐怖からか喉が締め付けられてて声が上手く出せない。でも
吉田:っ、、勇斗っ、!!
声を出したのと同時に、無理やり扉をこじ開ける音が聞こえた
女性:はぁ、やっと開いた
吉田:!?
扉越しでは無い、くぐもっていない声。怖くて後ろを見れない
女性:…何してんの笑、ねぇ、こっち見て
肩に手をかけられる。冷たいネイルが服越しに俺の肩に当たる。そのまとわりつくような触り方に、鳥肌が止まらない
吉田:触るな、、
恐怖で腰が抜けて、壁に寄りかかるようにしゃがみこむ。怖くて、何も見たくなくて顔を埋めると、女性の声がより鮮明に聞こえてしまう。体を揺さぶられて髪を引っ張られるが、何も出来ない。早くこのいつまで続くのかも分からない時間が終わることを願うことしか、出来ない。一方女性は何をやってもビクともしない俺に耐えかねてか、声も徐々に大きくなり、 怒りがエスカレートしているようだった
女性:あーあ。そんなに言うこと聞いてくれないなら、やっぱナイフ使うしかないのかなぁ。だってしょうがないよね?
ナイフ……あぁ、俺、もしかしてここで人生終わるのか?もう何も抵抗も出来ない俺とは対極に、女性はずっと意気揚々と話し続ける
女性:吉田君が悪いもん。高校生の時からずっと。だから、最後は一緒に!!
言葉の意味を理解した瞬間、全身の血が引いていく。 固く目を瞑った暗闇の中で、俺はただ震え、次に訪れる痛みに身構えた
でも、聞こえたのは、床を激しく蹴る足音と、肉体が強くぶつかり合う鈍い音だった
女性:……痛っ…は、あんた誰、?
今まで俺を追い詰めていた熱い殺気がピタリと消える。 部屋を支配していた狂気が一瞬で吹き飛び、代わりに耳が痛くなるほどの静寂が降りていた。 初めて聞く、この人の芯から困惑した声。 その声に釣られるように、俺は恐る恐る、重い瞼をゆっくりと持ち上げた
吉田:……ゃと、?
視界に飛び込んできたのは、女性の腕を組み伏せて動きを封じ込める、あいつの姿だった
佐野:はぁ、はぁ、っ、あんたこそ、誰だよ
沢山の♥ありがとうございます🙇♂️
あと残り2、3話です。最後までよろしくお願いします!
♥500こえ次第、次いきます
コメント
4件
続き楽しみにしてます❗
残り2、3話なのが悲しいよ😭
ヒーローの登場だぁ🩷💛