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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「ごめんなさい。仕事のことで……。明日の段取りとか考えていたら、ボーとしちゃって」

自分の嘘に罪悪感を覚える。


その時――。

「あああああおいさんっ!?」

どんどん蒼さんとの距離が近くなっていく。


私は壁に背中がつき、これ以上後ろに下がれない。

あっ。これは、いわゆる壁ドンってやつじゃ。


「なんか様子が変だから。ホントに何もない?」


いつもハグしているのに、ギュってしてもらっているのに、これはこれで蒼さんの顔が近くてドキドキする。


「ほほほほほんとうですっ!大丈夫です」


「そっか。なら良いんだけど」

蒼さんが離れてくれた。


うん。これで良いんだ。

蒼さんには優人の話なんかしたくない。

優人からお金を返してもらった後に、しっかりと事情を話そう。




一週間後――。


優人に連絡をし、退勤後、私の会社近くのファミレスに来てもらうことになった。


会うことなく、銀行に直接振り込んでほしいことを伝えたけど

<直接会って謝りたい。俺が持っていた桜の私物も返したいし>

という連絡が来た。

私物について聞いたけど、それについて返事はなかった。捨てたと前に言われたけど。


いろんなものを前の家に置いて、急に出て行くことになったので、私の私物の一つや二つ、どこかに残っているだろうし。


ファミレスに入ると、もう優人は店内にいた。

早いなと思いつつ、向かい合わせで座る。


「お疲れ様」

そう声をかけられた。


「お疲れ様」

嫌な沈黙が続いた。


「ドリンクバー頼んでおいた。桜の好きなアイスティーを持ってくるよ?」


えっ。

ドリンクバーとか別にいいのに。

ワンドリンク何か頼んですぐ出て行くつもりだった。

しかも持ってくるって。


付き合っていた時は、飲み物を持って来てくれるとか、絶対に無かったのに。

優人でもそんなことできるんだ。


「いいよ。自分で持ってくるから!」

私が立ち上がろうとすると

「座ってろって」

そう言われ、制止された。


仕方がなく座って待っていると、優人はアイスティーを持ってきてくれた。


「最近、どう?別れてからどんな生活しているの?」

席に座った途端、そんな関係ない話をされた。


最近どうってあなたのせいで私は――。

いや、こんな人と付き合っていた私が悪いから、何も言えないや。


私はアイスティーを一口飲み

「幸せだよ。とっても。お金の面で迷惑をかけている人がいるから早く返してほしい」

そう伝えた。


「そっか。良かった。俺はさ、桜がいなくなって正直後悔してる。自分のしてきたことに。彼女だっていないし……」


あれ、女の子と映画館でデートしているところを蒼さんが見ているのに。

その人とは付き合っていないのかな。



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