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最高すぎるッッッ😭 始まったばかりの1話なのにめっちゃ涙がでそうだった…🥺 これからが楽しみだなぁって思ったよ✌️
「行ってきます…」
返事など返ってくることのない空間に背を向け学校に向かう。
家に人がいないなんて当たり前になってしまった
母は遊び癖が凄い人で父親に見限られて離婚。
親権は母の手に渡り、俺は所謂母子家庭で育った
「なんで父さんはあんな奴と結婚したんだろうな…」
今でも自分の母親だが、多分この世で最も尊敬できない人だ
離婚されてなお、反省する事もなく水商売で金稼ぎをしている
気持ち悪すぎて反吐が出る。
朝早い時間でまだ誰も居ない教室。
静かで、冷たくて、心地いい空間だ
「〜〜でさー!」
「あははッwウケる〜w」
教室の前を通っていく人達みんな
うるさい。全部馬鹿らしい。
どうせこの先離れ離れになったらお互いのことなどすぐ忘れてしまうくせに
誰かとずっと一緒。
鬱陶しくならないのだろうか
それともずっと1人な俺には分からない事なのか
「〜でね!昨日さ〜〜」
話しながら教室に入ってくるクラスメイト
「え〜!まじ?!w」
耳障りで仕方ない
俺は席を立ち、自販機へ向かった。
ピッ、ガタン(自販機の音)
カシュッ…(缶を開ける)
早く、今日が終わらないものか…
一日は始まったばかりなのにどうしようもないことを考える
自販機の前で堂々とスマホを開く。
普通に校則違反だが、大半の先生達はめんどくさそうに見てみぬふりをする
もちろん普通に注意してくる先生もいるが。
『メッセージアプリに3件の通知があります』
時間をみると、昨日の夜遅くに来ていたもの
『あんたまた冷蔵庫のお酒取ったでしょ』
『私のお金で私が買ったものよ?』
『頑張って働いてあんたの学費も払ってやってんだからいい加減素行正しなさい』
「はぁ…」
「俺だってバイトして金稼いでんだよ…」
「お前、ただの遊びの水商売だろうが…」
母からのメッセージにイライラが募っていく
「おい、そこ。校内でのスマホは禁止だぞ」
「知ってるよそんなの」
「お前な、親は頑張って働いて学費出してくれてんだぞ?」
「そんな親御さんに迷惑かけるつもりか?」
「…うるさ」
こいつは誰しもが同じような家庭環境だとでも思ってるのだろうか
学費の中には、俺がバイトして貯めたお金を出した部分もある
親が、親がって…あんな奴が俺のためになる何かをするだろうか
こいつはきっと、ずっと…
「恵まれてきてんだな」
思わず声が漏れる
俺は教師が話を続けるのを無視してその場から立ち去った
教室に戻ると先ほどより人が増え、騒がしくなっていた
…机の中にノートやら教科書が入れられている
前後のどちらかの人が机を間違えたのか…
名前を見てみれば、前の席の人だった。
トサリとノートの間から手帳が落ちた
「死ぬまでにやりたいこと!」
元気な字でそう書かれたページが目に入った
思わず手帳を拾い、呟く
「…死ぬまでに…やりたいこと…」
「あ、あ、あの!!すみません!席間違えてたみたいで!!」
バタバタと俺の机から教科書やノートを取り出していく。
「あ…それ返してください!」
別に取っていたわけでは無いんだが…?
彼女は俺の手から手帳を奪うように取った。
「中身とか…見てないですよね?」
「…少し見えたくらい」
「…それならいいです」
「席、間違えてしまってごめんなさい」
「…失礼します」
…死ぬまでにしたいこと…ね…
そんなこと一ミリも考えたことが無かった
俺が死ぬまでにしたいことってなんだろうか…
俺の頭の中はずっと、そのことでいっぱいで
学校は思っていたよりあっという間に終わった