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今日も平和。
僕の仕事は無いみたい。
王も騎士達も退屈そうだ。
「ドズルよ。今日はもう休んで良いぞ」
「…分かりました。では失礼させて頂きます」
……常に休みみたいなものでしょ…
僕なんて家柄だけで選ばれた騎士団長なのに。
こんな僕の給金が国民から出てるなんて…
もっと国の為に、国民の為に使ってよ。
こんな生活…
今日も血が流れる。
仕事を淡々とこなす、たったそれだけ。
あーあ…俺、なんの為に生きてんだろ。
「次の依頼だ。ぼんじゅうる」
「…あいよー」
……なんて自分勝手な依頼…
俺だって、好きでこの仕事してねえよ。
殺される側だって、一方的な恨みも多いし。
…仲間も、友達も居ない。いや、居なくなる。
こんな人生…
今日も視察。
人間界は目まぐるしく動いていく。
向こうは平和で暇そうなのに、反対側は殺し。
「神おんりーよ!どうか私の祈りに応えよ!」
「…では、神託を授けよう…」
……知るかよ。そんなの。
俺は好きで神様になった訳じゃ無いしさ。
祈りって言っても、形だけにしかなってないよ。
つまんないの。自由も無いし、休みも無いし。
こんな世界…
今日も力を使い続ける。
人間達の為に、世界の為に。
でも…本当にその為に使ってる?
「精霊おらふ様!どうか恵みを!」
「…氷塊。大事に使ってね」
……僕、知ってるよ。この氷、娯楽用でしょ?
毎日毎日、こうやって頼むくらい使ってる。
僕はその為に氷を出してる訳じゃ無いのに…
僕も精霊辞めたーい。好きで精霊やってないし。
こんな暮らし…
今日も物作り。
工房の火は消えない。消してくれない。
奴隷のように働かされてさ。もう嫌だよ。
「おいMEN!早くしろ!」
「…へーい、すんませーん」
……ったく、獣人は奴隷じゃ無いんだが…
誘拐されて、工房に閉じ込められて。
俺だって獣人に生まれたかった訳じゃねえよ。
武器ばっか作らされて。もっと自由に作らせろよ。
こんな場所…
「その願い、叶えてやろう」
光に包まれ、目を開けると知らない場所にいた。
「ここ…どこ…?」
そこには他に4人、知らない人が。
「あの…ここがどこか分かりませんか?」
「いや…俺もさっきここに来て…」
綺麗な紫の眼だな…
「僕はドズルです。あなたは?」
「…俺はぼんじゅうるだ。よろしく」
他の3人は…
「こんにちは。あなた達は人間…?」
……この緑髪の少年は何を…?
「そうですけど…僕はドズルです」
「俺はぼんじゅうる」
「俺はおんりー…です」
おんりー…おんりー!?
「おんりーって…神おんりー!?」
「……まぁ…はい」
えっ…?えっ?神様?
「神…おんりー…?」
白髪の少年が不思議そうにやって来た。
「…君は…精霊おらふ…だったかな?」
「はい。お会いできて光栄です。我らが神よ」
この子は精霊…?どうなって…
「えっと…話の途中で申し訳無いんですけどぉ…」
ピンクのこの子は…豚!?
「…珍しい。獣人族か」
「あー…はい。俺はおおはらMENです」
…………………もうそういう事にしておこう。
「えっと…状況を整理しましょうか」
「全員、「抜け出したい」と願った…」
「………あー…俺心当たりが…」
「おんりー様どうぞ」
「様やめてください。今日って特別な日なんです」
「特別な日?なんでなん?」
「1年に一度、願いが叶う日」
「なるほど…だから願いが叶った…と」
へぇ…じゃあ…
「ここに集まったのは、奇跡なんですね」
「……奇跡、かぁ」
「それもあり、なのかな」
僕達は、顔を見合わせて笑った。