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登場人物
ナレーション(N): 物語の状況を淡々と、時に含みを持たせて語る。
私: 主人公の会社員。動物柄スーツの世界にどっぷり浸かっている。
子ども: 無垢で、残酷なほど真っ直ぐな問いを投げかける。
先輩・同期: 店内に居合わせた同僚たち。楽しげなガヤ。
N: うちの会社には、ちょっと変わった決まりがある。人の視線を気にしすぎないように出社するときは“動物柄のスーツ”を着ることになっている。
私: (回想するように)「最初の頃は抵抗があったのだけれど、これが慣れてくると楽しくなり、パンダ柄や猫柄など、かわいいデザインに手を伸ばすようになった」
N: そのうち休日に、“動物柄スーツ専門店”へ足を運んでいた。遊園地のショー衣装も手がける有名な店で、案の定、会社の人たちも来ていた。
私: 「(心躍らせて)入社時に買った犬柄スーツの他に、今日は……ペンギン柄、それにヒョウ柄!新作をいくつも試してみよう」
N: すると、近くで見ていた小さな子が、じーっとこちらを見つめて、指をくわえていた。
私: (心の声)「……あ、こういうの好きなのかな? 子供だもんね。少し手を振ったら喜んでくれるかも?」
N: 私は張り切って新作スーツをまとい、子どもの前でちょっとだけ踊ってみせた。
先輩・同期: (楽しげな笑い声)「あはは!いいよ、似合ってる!」「最高だね!」
N: 先輩や同期は楽しそうに笑っている。なのに、子どもはまったく笑わない。指を口から離し、私を指さして、ひとこと。
子ども: 「ねぇ、それって……どっちが楽しいの?」
N: その一言で私はその場で固まってしまった。