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青「へいっ!こっちこっち!」
「ないすないす!」
今は体育の授業でバレーをしている。
僕は死ぬほど負けず嫌いだから必死にボールを追って
声を出して指示を出してとにかく勝ちに行った。
僕は小学校の3年間だけバレーをやっていたから
そこそこにできるほうだった。
だからこそできない子にイライラする。
取れなくてもいいから取ろうとして欲しい。
でも僕が態度に出したらまた嫌われてしまう。
空気が悪くなってしまう。
分かっていても取ろうとしない
追うことすらしない僕以外のチームメンバーに対して
怒りは増すばっか。
青「ねぇ取れなくてもいいから取りにいって!!」
「僕とれるやつとるから下がっといて!」
できないこがいるならできる人が補えばいい。
僕がとって1本で返してしまえばいい。
そう思い僕はボールを追うけれど
そういう時こそうまくいかないものだ。
いつもなら冷静に取れるボールも
変なところに飛ばしてしまったり
アウトのボールを触ってしまったり。
チームの空気もどんどん悪くなっていることに
気づいていた。
あと1分30秒。7点差。
勝てるはずがない。
けどだからといって諦めるのも違うと思った。
青「はやくはやく!!サーブ打って!!」
「時間ない!!!」
こんなに圧をかけてしまったら
打てるものも打てなくなる。
分かっているのに僕の態度と言動は抑えられなかった。
みんなが僕を怖がっている。
あ~今年は上手くやれていたのに。
また嫌われるのか。また怖がられるのか。
こんな空気で勝てるはずがないのに
戦犯の僕がまだ勝つ気なんだ。
みんなが僕を怒らせないように頑張ってくれてるのに
僕はそんな努力すら見てあげずに勝つことしか考えれない。
そのうえみんなを責め立てるような言動。
僕のしたことが最低すぎて息が苦しくなった。
なぜ僕はいつもこうなのか。
なぜ学ばないのか。
なぜ人のせいにするのか。
僕のせいで空気が悪くなっている。
僕のせいで負けてしまう。
僕のせいで。僕のせいで。
そんなことを考えていたら試合終了のタイマーが鳴った。
青「ごめんッ、」
時間的にあと一試合はあるだろう。
僕は体育館の裏へ出て座り込み溢れ出てきそうな涙を
必死に乾かしていた。
またやってしまった。
また1人になるんじゃないか。
みんな僕のことめんどくさいと思っただろう。
あ~どうしよう。
もどれない。もどりたくない。
けど戻らなきゃ行けない。
どんどん増えていく心拍数。
心做しか息も上がってきた。
胸が苦しかった。
ひとりで頑張って自分を落ち着かせようと思って
深呼吸をしてみるが息を吐くと同時に
涙もでてきそうだった。
覚悟を決めて戻ろうと思い立ち上がった時
体育担当の先生が来た。
桃「青、かお!笑」
「どうした!笑」
桃先生は去年もいろいろとお世話になった。
僕のことを理解して支えてくれてる先生。
青「ぼくのせいでっ、ポロポロ」
「空気悪くなっちゃったぁ、ポロポロ」
安心して抑えていた涙も溢れてきた。
桃「そうだな、確かに空気は悪かった」
「青、ちょっとまってて。」
そう言って桃先生は体育館へ戻って行った。
僕は涙が止まらなくて零れてくる涙を
必死に拭っていた。
すぐに桃先生は戻ってきた。
きっと僕なしで試合を進めてと伝えてくれたのだろう。
桃「お前は頑張った。」
「だからこそできない子にイライラしたんだろうし」
「死ぬほど負けず嫌いな青だからこそ」
「勝つためにいっぱい動いたんだろ?」
「よくやった。」
「でもきっとその涙は怒りじゃないだろ?」
「空気を悪くしちゃったことに対しての」
「罪悪感で涙を流している時点で青は成長した。」
「きっと青は分かってると思うけど」
「スポーツに限らず物事には好き嫌いとか」
「得意不得意があるんだよな、」
「その価値観の違いは部活でもあるんじゃないのか?」
「青は何事にも全力で取り組むから空回りすることも」
「いっばいあるだろう。」
「今回も青が勝ちたいって思っていっぱい頑張っても」
「チームの人たちはそうでもなかったから」
「青の思いが空回りしちゃったんだな。」
全部桃先生の言うとおりだった。
先生は僕のことなんでも分かってくれてる。
桃「お前の頑張りは俺が見てた。」
「その頑張りは良かったと思うぞ。」
「よくやった。」
いつも怒られてばかりだったから
また怒られるのだろうと思っていた。
中学にはいってからはバスケ部にはいった。
バレー部にはいらなかったのは
自分には向いてないことが分かっていたから。
僕と同じ学年のバスケ部メンバーは
みんな中学に入ってからはじめた子達ばかりだった。
けれどそんなに弱いチームじゃなかった。
それなのに僕だけが勝とうとして空回りして。
部活でもうまくいかないことばかりだった。
「僕はずっと空回りしてる。
なんにもうまくいかない。
部活が楽しくない。」
そんな悩みを桃先生に話したこともあった。
青「今日の体育も部活みたいにッ」
「僕だけが空回りしてるみたいで辛かったッポロポロ」
「みんなでやってるのに、」
「1人じゃないのに独りみたいな空気がっ」
「苦しくなって、なんでって思って、くやしくて、」
「だけど申し訳なくてっ、グス」
「どうすればいいのかわかんなかったッポロ」
「色んな感情ぐちゃぐちゃだよっ、ポロポロ」
感情のままに、出てくる言葉を伝えた。
初めて信用した大人が桃先生だからだ。
桃「そっか。」
「お前はひとりじゃない。」
「少なくとも俺はお前のこと見てるから。」
「空回りかもしれない。」
「けど今日の青の姿も部活の青の姿も」
「きっとちゃんと見てくれてる子はいるから。」
「そんな青の姿を見て気持ち変わった子も絶対いるから。」
「試合見てみな。」
僕のチームは負けていた。
けどみんなさっきのままじゃなかった。
負けててもしっかりボールを追って勝とうとしてる。
「たかが体育だけど勝とう!!」
なんて声が聞こえた。
僕の勘違いだったのかな。
空回りじゃなかったのかもしれない。
見てくれてる人がいたのかもしれない。
嬉しかった。
青「~っポロポロ」
涙が止まらなかった。
泣き虫だな僕、笑
桃「青は変わったよ。」
「大人になった。」
「成長した。」
「今のままでいい。」
「そのままでいい。」
「絶対認めてくれる人がいるから。」
「また不安になったりきつくなったら」
「逃げてこい。」
「俺のところに。」
ほんとにこのままでいいのか
まだ不安だった。
けどここに1人でも認めてくれる人がいるなら
信じてくれる人がいるなら
一旦全力で『青』を頑張るのも僕だと思った。
きつくなるよ。僕は。
けどそれも僕だから。
桃先生、覚悟しといてね。
『自分』なんて人それぞれだろう。
みんながみんな『自分』を頑張っていて
それぞれに意思があって生きていること
深く考えたこと無かったけど
ひとりひとりにひとりずつ
認めてくれる人、支えてくれる人がいれば
人生捨てたもんじゃないのかもしれない。
そうゆう人がいなくても僕は
『自分』を捨てないで頑張ろうと思った。
空回りじゃない。
どこかの誰かには響く日がくるから
休みながら全力で僕は僕を頑張る。
青「っ桃先生、行ってくる、ポロ」
桃「おう。がんばれ。」
「見てるぞ。」
頑張れ、青。
完