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筆記 ↝ 📝
手話 ↝ 🙌🏻
スマホ ↝ 📱
カイザーはそのまま手を振り上げて ──── …
「 世一、おかえり ( 🙌🏻 」
「 …何で使えんの? ( 🙌🏻 」
「 勉強した、文字も ( 🙌🏻 」
「 やっべぇ…何も分かんねぇ… 」
「 …これ、手話なん? ( 📝 」
「 そう、カイザーが使えるとは思ってなかった ( 📝 」
「 クソ舐めすぎ、覚えたわ ( 🙌🏻 」
「 …お前は文字書けんのか? 」
「 …書けるに決まってんだろ 」
黒名とカイザーは少し喧嘩してるみたいに顔を顰めて睨み合っていた。
「 よいさ、おかえり ( 📝 」
「 ほらな、コバンザメ 」
と、下手な平仮名で書いていくカイザー。
「 ” さ “ と ” ち “ 間違ってんぞ ( 🙌🏻 」
「 クソうるさい ( 🙌🏻 」
悔しそうに顔を顰めるカイザーを横目に、皆は笑っていた。
「 よいさだってww 」
「 バカイザー説立証、立証 」
…そう言えば俺が声を出さない事について誰も触れて来ない。
「 なぁ、手話教えろよッ! 」
「 はぁ?何でクソ栗に… 」
「 ” ────── “ ってどうやんの!? 」
「 …手をこうして… 」
と、カイザーと栗夢は何か手話を練習していた。
「 潔!! ( 肩叩 」
「 ? ( 首傾 」
「 待ってたぞ!おかえり! ( 🙌🏻 」
…やっぱり優しい。
優しいと思ってばっかりだ。
「 ” おかえり “ 違うぞ ( 📝 」
「 ぇ” 」
「 バカ栗 ( にや 」
「 んだど!?バカイザー!! 」
「 ほんま騒がしいなぁ、 ( 📝 」
「 喧嘩してんの?w ( 📝 」
「 そんな感じやね ( 📝 」
「 仲良く出来ねぇの、アイツらw ( 📝 」
「 …ん、意外とええ所あるやん 」
ふ、と氷織の顔に微笑みが滲む。
「 潔君、スマホ見てみ ( 📝 」
「 ? ( こく 」
《 ドイツ組グループ : おかえり!! 》
「 !! 」
《 ドイツ…に返信しました : ただいま ! 》
思わず微笑んでしまう。
「 …潔君、幸せそうな顔やなぁ… 」
「 …世一…クソ可愛い… 」
「 …お前には渡さねぇぞ ( しゃーッ 」
「 …潔君が居たらやっぱり暖かい、 」
「 !どうかしたか? ( 🙌🏻 」
「 カイザー、何て? 」
「 ” どうかしたか “ だと。 」
「 ” 可愛い “ って伝えろ 」
「 …蘭世が可愛いって ( 🙌🏻 」
「 俺も手話覚えなきゃなー… 」
「 カイザーも覚えられるなら俺は3日だな 」
「 次の試合始まるまで手話覚えるぞ 」
「 潔、手話教えて ( 📝 」
「 おー!どーゆーのがいい? ( 📝 」
「 ” ありがとう “ とか、簡単なの ( 📝 」
「 ありがとう ( 📝🙌🏻 」
「 …こう…? ( 真似 」
「 ( こくこくッ 」
「 おはよう ( 📝🙌🏻 」
「 こうかッ!! ( 真似 」
「 ( 首振 」
「 もっと手をなぁ、 」
と、栗夢に教えるカイザー。
皆、俺の為に時間を割いてくれている。
俺の為に、手話を覚えようとしてくれている。
《 ぁーあ”ー、ドイツ組諸君 》
「 ん、絵心さんや 」
ぱッ、と映ったモニターには、いつも通りの絵心さんと、新しく表示される字幕があった。
「 世一、分かるか? ( 🙌🏻 」
「 分かる、字幕あるから ( 🙌🏻 」
話によると、この翻訳イヤホンを作った御影コーポレーションでも、補聴器 + 翻訳器の両立は難しいらしい。
それでも1週間もあれば出来るらしい。
《 潔世一、大丈夫か? 》
「 ( こく 」
音の無い世界は怖いけど、ドイツ組の皆が居るから。
俺は、この世界でも生きて行ける気がした。
─ そんな事は、只の妄想に過ぎなかったのに。
この世界で生きて行くには、優しさと勇気だけじゃ足りない。
時に裏切り、見捨てて行く勇気が無いと、
生きて行けない ─────────── 。