テラーノベル
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──朝、学校に行き靴箱を開けると、今日も、上履きがぐっしょりと濡れている。
でも、こんなのまだ序の口。
教室に入っただけで、今までしゃべってたクラスのみんなが、一斉に黙り込む。
黙って、あたしをにらんで、そうして、クスクスと笑い出す。
「上履き、また濡れてるしー」
「きっと靴下もびしょびしょだよねー。汚ーい、臭そうー」
「ホント、臭そうー」
わざとらしく、聞こえるようにしゃべる声──。
あんたたちが、どうせ濡らしたんでしょ。
毎日毎日、飽きもせずよくやるよね。
別にもう、こっちから何にも言う気もないけど。
だって、どうせ言ったところで、この仕打ちが少しも変わるわけもないんだもの。
何も言い返さず、あきらめの気持ちで、自分の席に着こうとすると、
イスの上には、ごていねにぞうきんが敷いてある。
どかせば、きっと「私たちがせっかく敷いといてあげたのに、どかすんだ?」とか、言われるに決まってる。
これ以上、何か言われたくはなくて、あたしは冷たい濡れぞうきんの上に座る。
「うわー座ったー。汚な~い!」
「きったなーい。最悪ー!」
「ウケるんですけど、濡れ女ー」
「濡れ女」の一言に、クラス中が待ってましたとばかりに、ドッと笑い出す。
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