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もうここを乗り切れば後はエピローグ……!張り切っていくぞ!
今回はパラオ+三人称視点でお話が進みます。
では、どうぞ~
「俺が、偽物……?」
偽物のナイチが睨みを利かせているが、本物のナイチは全く動じることなく刀を突き付けている。
「ああ、そうだ。勝手に他人の姿と剣技持っていきやがってよ……記憶の捏造までしてお前は何がしたいんだ……」
偽物を見た後だからかもしれないけれど、やっぱりナイチはカッコいい!
でも、あまりはしゃぐとイギリスさんに怒られるから我慢した。
みんなに信号を送った時、一緒にナイチにも信号を送っていた。
それで、ナイチは急いで駆け付けてくれたってわけ。
(まあ、ずっと世界中を旅してるナイチがいきなり日本に憑依して現れるってそもそも変だしね!)
多分、他の二人も偽物なのだろう。
「一国の守護者である俺に対してこの言動……万死に値する」
刀の切先が偽ナイチの首筋に触れる。
そこで偽ナイチは弾かれた様に顔を上げ、勝ち誇ったように喋り始めた。
「い、良いのか?!これはお前の息子の身体だぞ!俺を殺したらこの肉体の主まで殺すことになる!……どうだ、殺せないだろう!大人しく死んで______」
偽ナイチがそこまで言いかけた時だった。
ナイチの瞳がスッと細くなったかと思うと、次の瞬間には、ナイチの刀が偽ナイチの心臓を貫いていた。
「……は?」
夥しい量の血を流しながら頽れた偽ナイチが血走った顔でナイチを見上げる。
「……悪魂断界。これは、お前のような、堕ちた魂のみを浄化し天に送る技だ。故に、肉体にダメージは一切ない。」
ナイチは、血振りをしながら冷めた瞳で偽ナイチを見下ろしている。
「クソ……イタ王、ナチス!周りの守護者だけでも殺ってくれ!」
そうだ、まだあと二人いた!偽ナイチが怖くてすっかり忘れてた……
「了解なんね~!」
「お前の仇は必ず取ろう、日帝。」
まだ芝居を続けるつもりらしく、残りの枢軸国はそのままの姿かたちで現れた。
二人が銃を手に持ち、狙いを定めている。
そのうち一つの銃口が自分に向いていると気が付いたときには、もう遅かった。
(あ、避けられない……!)
そう思い、しゃがみ込んで目を瞑った時だった。
何かが弾かれる音がして、恐る恐る目を開けてみる。
「大丈夫なんね?」
目の前に手が差し伸べられていた。
どうやら相当背の高い人物らしく、僕の後ろにいるイギリスさんまで影が伸びていた。
「あ、ありがとうございます……!」
「Prego! ……まあ、日帝の可愛がってる国を守ってあげるのは当然の事なんね~!」
そう言うと、その人は白い軍服を翻して敵の方へと向き直った。
そこで僕はようやく気が付く。
(イタリア王国……さん!)
いつもお気楽なところばかり見ていたから、こんなに真面目なこの人を見たことがなかった。
「おい、イタ王!勝手に行くんじゃねぇよ……!」
後から猛スピードで此方に駆けて来たのはナチスドイツさん。
「ナチが遅いのが悪いんね!」
「はぁ?!お前は足が長いだけだろうが!」
「それも才能なんね~♪」
呑気に言い争いをしている二人に容赦なく銃弾が降りかかる。
が、それは命中することなく弾かれた。
「……ハッ、こんな素人の銃弾で俺たちを殺そうとは……随分、舐められたものだなぁ?」
「偽物って言う割には戦闘能力はぜーんぜんio達に似てないんね~?」
怒りを煽るような二人の発言に、偽物の二人はまんまと乗せられ怒りをあらわにする。
「…なっ?!ふざけたことを言うな偽物が!」
「そうなんね!偽物たちは家で大人しくピッツアでも食べてればいいんね!!」
偽イタ王の発言を聞き、イタ王はむっとしかめっ面をした。
「偽物の癖に発音がちゃんとピッツアなの卑怯なんね!」
「どこがだよ……」
「ピッツアのことをピザって言うやつは敵なんね!なのに敵の癖してピッツアなのおかしいんね!!」
「じゃあ俺はイタ王の敵になるのか……」
毎回「ピザ」と言ってしまう日帝がしょんぼりと肩を落とした。
その姿を見たイタ王は慌てて否定する。
「ナチと日帝は別なんね!」
「どういう基準なんだよ……」
呆れたようにつぶやくナチスを無視してイタ王は悠々とした足取りで偽イタ王の方へ歩を進める。
「それじゃ、偽物ちゃん、Ciao ciaoなんね!」
言うが早いか、イタ王は手にしていたロングソードで偽イタ王の心臓を突き刺した。
「……は?」
目を見開きその場に頽れる偽物の片鱗は、次の瞬間には欠片も見えなかった。
「ん、イタリーちゃん戻ってきたんね!」
「先輩、最後よろしくお願いします」
ナチスはゆっくりと偽ナチスに近づく。
偽物は一切動じずナチスを見据えていた。
「……随分、余裕なんだな?」
ナチスが偽ナチスの胸元に銃口を突き付けても、偽ナチスは微動だにしなかった。
「いや………もう、疲れたんだよ」
偽ナチスがナチスの問いに答えるようにゆっくりと話し始めた。
「さあ、一思いにやってくれ。俺はもう十分だ……」
「承知した。」
ナチスが頷くと、偽ナチスはふっと自嘲的な笑みを零した。
「……最後に聞く」
ナチスが引き金に手を掛けて言った。
「お前は何がしたかった?」
「俺は……」
ただ、幸せに過ごしたかっただけなんだ。
『パパ!』
『あなた』
愛する妻と娘の声が聞ければ、三人で笑い合うことが出来るなら、それでよかったんだ……
『……あ……』
俺が戦地に行っている間に、妻と娘は呆気なく死んでいた。
ナチスドイツのせいで、枢軸国のせいで!
気休めでしかないが、何度もこう思った。
______自分がもっと強ければ、もっと早く戦地から帰ることが出来ていれば。
そうしたら、守れたかもしれないのに。
そんな後悔を抱えたまま戦地で命を落とし……
気が付けばここにいた。
……俺は、何が、したかったんだろうな?
枢軸に復讐したかった。
でも、枢軸国にだって、俺のような人は山ほどいるはずだ。
じゃあ、何がしたかった?
俺は______
「……少しでも、強くなりたかった……仲間とたわいない時間を過ごせれば、それでよかったんだ……」
目尻には涙が浮かんでいた。
自分がやっていることは決して許されはしない。
きっと妻と娘は天国へ行ったことだろう。
俺だけ地獄……でも、それでもいい。
もう疲れた。
「……そうか」
ナチスは思案する。
(俺の軍が殺した人間だ。)
なんとなく、そんな考えを抱いた。
「決して許されはしないが……謝らせてくれ。」
偽ナチスはその言葉に少し目を見開くと、頷いた。
「本当に……申し訳なかった!」
一瞬、彼の背中に白い翼が生えたような気がした。
そして、頭の奥で一際強い音が響きわたる__________
ありがとうございました!更新止まってしまい誠に申し訳ございません!これからもちょくちょく止まるとは思いますが何卒よろしくお願い申し上げます……
では、また次回でお会いしましょう!