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お付き合いいただき誠にありがとうございました!
ちょっと長そうなんで前後編に分けようと思います。
では、どうぞ~
※お酒は二十歳になってから!私も飲めません!
「飲むぞ~!!」
「「「イエーイ!」」」
目の前で繰り広げられているどんちゃん騒ぎに日帝は顔を顰めた。
「どうした日帝!飲めよお前も!飲みかけのビールやるぞ!」
もうすでに酔いが回っているのかテンションがおかしくなっているアメリカを日帝は手で制止した。
「い、いらない。俺は酒は苦手なんだ……」
「そんなこといってないでぇ、せんだいさまものみましょ~よぉ~」
そう言って日帝に抱き着いてきたのはあろうことか日本だった。
「オイ、そんなに酔っ払ってどうしたんだ……?!」
いつもにこにこしつつ不平等条約などはするりと避けてきた日本。しかし今はへらへらと心の赴くままに笑っている。日本らしからぬ姿に日帝は驚いた。
「じょうしぃ、もうぶっとばしたいなぁ~~!」
「わかりますよぉにほんさぁん~あはははははは」
(増えた!)
「おいドイツ!飲み過ぎだ!」
ふらふらするドイツの体を受け止めたのはナチスドイツであった。
「まあこの二人は社畜アルし、いろいろ溜まってるかもアルね~」
そう言いつつちびちびと茅台酒(まおたいしゅ)を啜っているのは中国。圧倒的に年上の国だけあって丁度いい酔い方も心得ているらしい。
「我もこんなに思いっきり酔えていたのはいつだったアルか……」
遠い目で昔を思い出している時点で割と酔ってはいるが、咎めるものは存在しない。
「ふふふふ~おやすみなさぁい~」
「おい、ここで寝るんじゃない!ほら、布団行くぞ、立て……!」
日本を半ばおぶうようにして立たせた日帝は、まるで幼子にするように頭を撫でながら寝室の方へと歩いて行った。
ドイツとナチスも同じような流れで寝室へと連れて行かれる。
「なぁ、何で皆こんなに酒に弱いんだ?」
「あなたが異常なんですよ……」
ウォッカを水のように飲んでいるロシアの純粋な疑問に肩をすくめるイギリス。そこにパラオが乱入してきた。
「ね~!パラオもおさけ?飲んでみたいよっ!」
あの一件でイギリスにも懐いたらしく、日帝が居ないときは寄ってくるようになった。
「パラオさんはまだ駄目ですよ。……代わりにシャンメリーなどどうです?お酒みたいなジュースです!」
「しゃんめり?飲みたい!ちょうだい!」
「分かりました。今持ってこさせますね。」
イギリスがモノクルの奥で目を細めた時、イギリスを影が覆った。
「なあ、その……しゃんめ……なんとかは俺でも飲めるか?」
「?!…はい、大丈夫ですよ!でも、日帝さんはお酒の方がいいんじゃ……」
動揺している様子のイギリスに、「俺は酒は苦手だからな」と簡潔に説明を入れた日帝。
なんとか納得したイギリスは、好奇心と酒の力で日帝に聞いてみた。
「ちなみに、何故お酒が苦手で……?」
「頭が鈍る気がして気っ色悪いからな……」
日帝は忌々し気に顔を歪めてそう答えた。
「…………それに、酔うと嫌なものを見る」
「……そうですか」
何かを悟ったイギリスはそこで追及を止め、タイミングよくやってきたシャンメリーをグラスに注いだ。
「……これは、どうやって飲むんだ?」
シャンメリーの注がれたワイングラスを手に持って日帝がイギリスに質問した。
「そのまま口を付けて飲むんですよ。湯呑みと同じです」
「成程。……だが、こんな形にする必要はあったのか?」
「それに関しては私も知りませんよ」
日帝はおずおずと口を近づけて一口飲んでみた。
甘い。口の中で泡がはじけて昇る。鼻からふわりと葡萄の香りが抜けていった。
酒ではないと聞いていたが、頭が茹だるような感覚に、浮遊感……これは、まるで______
「酒……?」
「______えっ、これ、アルコール入ってるんですか?!今すぐアルコール無しのものと代えてください!」
遠くでイギリスの声が聞こえる。嗚呼、やはり酒だったか。
「パラオ……飲むなよ……」
そう忠告してやるのが精一杯だった。
「日帝さん?!大丈夫ですか?!しっかりしてください!!」
……頭がどこか別の場所にあるようだ。
視界はぼやけ、瞼は重くなる。
(俺は、ここまで酒が弱かっただろうか……?)
最後に飲んだのはいつだったか。その時はもう少し飲めていた記憶があるが、分からない。
その内、意識はシャンメリーの泡のようにはじけて霧散した。
______そして、夢を見た。
ありがとうございました!エピローグ前編です!
9話とのつながりが全くなくいきなり宴会などやってしまっていますが後編で収拾するつもりなのでご安心ください!
……エッ、収拾できるよね……?