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「では、偉大なるコルネリア様に礼っ!」
「…………」
俺は死んだ目で学生全員の前にデカデカと飾られている自分の肖像画を見る。
(どうして自分に礼をせにゃならんのだ……)
ここはクリスタリア魔法学校の大講堂。
今日は入学式だった。
どうやら、かつてこの町を守った転生前の俺の存在は思った以上に崇拝の対象とされているらしい。
「どうされたのですか、ラティス様? 何だか複雑な表情でコルネリア様の肖像画を睨みつけて……」
一緒に隣に並ぶミリアが首をかしげて尋ねてくる。
「いや、何ていうか……みんなあのオッサンを信仰しすぎじゃないか? ただの魔法オタクだぞ、アイツは」
「何だかお詳しいみたいな口ぶりですね?」
「ちょ、ちょっと知り合いから話を聞いたことがあってな!」
俺が良く思っていないと考えたのか、ミリアは悲しそうな表情をする。
「ラティス様は……コルネリア様がお好きではないのですか?」
「ミリアは好きなのか?」
「はい、好きです。大好きです……。私や、大切なお母さんを守ってくれましたから」
「……へ?」
「かつて、この街に黒龍がやって来たとき、コルネリア様は身を呈してお母さんを守ってくれたんです。まだ、私がお母さんのお腹の中に居る時です。怪我を負いながら、『大したことはない、無事で良かった』と颯爽と去って行かれました……」
(……覚えている。めちゃくちゃ痛くて泣きそうだったけど、カッコつけてた時だ)
「私は子供の頃からコルネリア様の伝説を何度もお母さんに伝え聞かされました。私もそのお話を聞くのが大好きで、いつかコルネリア様みたいな大賢者になりたくて魔道を志したんです!」
「……そっか、なれるよミリアなら。いつか、コルネリアも驚くような魔法使いにだって」
「えへへ、そうですかね? 今回の黒龍の襲撃も、本当にコルネリア様が守ってくれたと思うんです。もし生きているなら、お会いしてみたいなぁ……」
そう言って、ミリアは興奮で顔を赤らめる。
俺はそんな立派な人間じゃないんだけどなぁ。
まぁ、俺がコルネリアだとバレない限りは幻滅もされないだろう。
「では、学園長――ユークリッド・テセウス様による挨拶です」
司会がそう言うと、壮年の男性が壇上に立った。
俺はその姿に見覚えがあった。
(ユーリ君じゃないか、懐かしい)
彼は別の町で俺に憧れてしばらく旅についてきた子だ。
勝手に弟子を自称していたが、今はこんな所で学園長なんてやっているのか。
ユーリ君は堂々と胸を張る。
「みな、偉大な魔法使いを目指すのだぞ! コルネリア様の弟子である私のようにっ!」
まだ、言ってたのか……弟子にした覚えはないのだが。
(私の魔法に驚いて小便をちびっていた子供が、立派になったもんだなぁ)
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