テラーノベル
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矢 濁 .
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チョコ
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■読まれる前の注意書き
・本作は「カントリーヒューマンズ(CountryHumans)」の二次創作(ファンフィクション)です。
・実際の歴史、国家、政治団体、宗教、および実在の人物とは一切関係ありません。
・かつて対立していた国々が、現代風の平和な世界線でひとつ屋根の下、あるいはご近所さんとして仲良く「ほのぼのとした日常」を送っているパラレルワールドを舞台にしています。
・キャラクターの口調や性格に独自の解釈(マイルド化)が含まれます。
・以上の点をご理解いただける方のみ、お進みください。
■第13話
題名:春一番の試練、あるいは目痒き男たちの円卓会議
ジャンル:日常・花粉症ほのぼの
白銀の世界がすっかり遠のき、縁側に柔らかな日差しが差し込むようになった、ある春の日のこと。
いつもなら「おはよう、日帝。今日の朝食のメニューは?」と一番に起きてくるはずのナチが、リビングのソファに深く腰掛けたまま、珍しくぐったりとしていた。その美しい顔立ちの端々が、心なしか赤く腫れぼったい。
「……ナチ殿? どうかされましたか? まさか、また風邪を……」
割烹着姿の日帝がお盆を片手に近づくと、ナチはポケットからこれまでにないほど雑にティッシュを取り出し、上品な顔を台無しにしながら「ハックシ、んんっ……!」と激しい音を立てて鼻をirt(アイアールティー)した。
「不覚、だ……。日帝、我が体に未知の生物兵器が打ち込まれた可能性がある。視界が涙で遮られ、鼻腔の粘膜が完全に炎上している。これは、ソ連の仕業か……?」
「ナチ、朝から私の名前を呪いのように唱えるのはやめろ。……ハ、ハ、ハックシッ!! ――うおっ、なんだこれは、止まらんぞ!?」
ちょうどリビングに入ってきたソ連が、自身の放った規格外のくしゃみの風圧でよろめいた。あの巨体が、まるで重機関銃でも乱射されたかのように、何度も何度もくしゃみを連発している。彼の大きな目も、今は真っ赤に充血していた。
「あはは! 二人ともどうしたの? 泣きながら怒って、まるで子供の喧嘩みたいだよ!」
階段からトコトコと降りてきたイタ王だけが、いつものようにケロリとした顔で笑っている。 日帝は窓の外、庭に佇む一本桜のさらに奥にある杉の木々を見つめ、全てを察して静かにため息をついた。
「お二人とも、それは生物兵器でもソ連殿の陰謀でもありません。日本の春の洗礼――『花粉症』です」
「「カフンショウ……!?」」
東西の巨頭の声が、最悪のタイミングで完璧にハモった。
ここから、かつて世界を二分した天才たちによる、目に見えない微粒子との壮絶な(しかし傍から見れば非常にマぬけな)戦いが幕を開けた。
「日帝、この現象を合理的に打破する兵器、あるいは薬品を即座に配備しろ。作業能率が通常の三分の一に低下している」
ナチは机の上にティッシュの山を築きながら、涙目で日帝に詰め寄る。
「ええ、想定内です。はい、これをお使いください」
日帝が救急箱から取り出したのは、立体型の白いマスクと、市販の目薬、そして鼻炎薬だった。
さっそくマスクを装着したナチは、「ふむ、密閉性は悪くないが、この耳に掛ける紐の張力が……」とぶつぶつ文句を言いながらも、大人しく目薬を瞳にバサバサと落とした。
「おい日帝、私にもその液体をくれ。目が痒くて、いっそ取り出して冷水で洗いたい気分だ」
ソ連が大きな手で目をゴシゴシと擦ろうとするのを、日帝が 「絶対に擦ってはいけません!」 と鋭く一喝する。
「ソ連殿には、こちらを。特製の『べにふうき茶』です。カテキンが花粉の症状を和らげてくれますよ。あと、イタリア殿、外から戻ったらちゃんと服を払ってください、花粉が部屋に入ります!」
「はーい! ごめんね、日帝!」
イタ王は慌てて玄関へ走り、自分の服をペチペチとはたき始めた。その無邪気な姿を見ながら、ソ連は出された熱いお茶をズズッと啜る。
「……ほう、苦味が強いが、鼻が少し通る気がするな。だが日帝、これにアルコール度数四十度の――」
「入れません。お茶の成分が台無しになります」
日帝の笑顔の鉄槌に、ソ連は「ちぇっ」と肩をすくめた。
その日の昼下がり、リビングには、マスクを着用して静かにチェス盤を睨みつけるナチとソ連の姿があった。
「チェック……ハックション!」
「その隙にルークを……チッ、目が、目が痒い……!」
かつてなら一進一退の緊迫した頭脳戦になるはずの盤上が、お互いのくしゃみと涙のせいで全く進まない。イタ王が「がんばれー!」と横でのんきに応援しているのが、唯一の救いだった。
「お二人とも、お辛そうですね。今日の夕食は、鼻通りが良くなるように根菜をたっぷり使った熱々の生姜鍋にしましょう」
日帝が台所から声をかけると、マスク越しの二人が同時に顔を上げた。
「生姜、か……。血流を促進し、免疫力を引き上げる漢方の一種だな。評価する」
「うむ、熱い鍋なら大歓迎だ。日帝、たくさん作ってくれよ!」
春の柔らかな風に乗ってやってきた小さな強敵に、すっかり形無しにされた大国たち。しかし、ズビズビと鼻を鳴らしながらも、みんなで同じお茶を飲み、同じお鍋を楽しみに待つその空間は、どこまでも平和で、可笑しくて、愛おしい日常そのものだった。
コメント
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ああああ読んだ読んだ!!第13話めっちゃ良かったよ〜😭💕🌸 花粉症でボロボロのナチとソ連がマジでかわいそうだけど可愛すぎる!!「生物兵器」とか言い合ってるところがもう面白すぎて笑ったww 日帝の冷静なツッコミとお茶出しが神すぎるし、イタ王が無邪気に応援してるの最高のバランスだよね〜🥺✨ くしゃみしながらチェスしてる光景、想像しただけでエモすぎる…!最後の生姜鍋の流れもほっこりしたし、この大家族感が大好きです!!次の話も絶対読みに行くね⋆♡