テラーノベル
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■読まれる前の注意書き・本作は「カントリーヒューマンズ(CountryHumans)」の二次創作(ファンフィクション)です。
・実際の歴史、国家、政治団体、宗教、および実在の人物とは一切関係ありません。
・かつて対立していた国々が、現代風の平和な世界線でひとつ屋根の下、あるいはご近所さんとして仲良く「ほのぼのとした日常」を送っているパラレルワールドを舞台にしています。
・キャラクターの口調や性格に独自の解釈(マイルド化)が含まれます。
・以上の点をご理解いただける方のみ、お進みください。
■第14話
題名:小さな緑の収穫祭、あるいは不器用な園芸同盟
ジャンル:日常・家庭菜園ほのぼの
花粉の季節が落ち着き、初夏の瑞々しい風が吹き抜ける頃、日帝の思いつきで裏庭の小さな空き地を使った「家庭菜園」が始まることになった。
日帝が物置から持ってきたクワやスコップ、そしていくつかの野菜の苗を地面に並べると、三人は興味深そうにそれらを見つめた。
「よし! 僕はトマトとバジルを育てるよ! 自分で育てたトマトでパスタを作るんだ!」
イタ王は麦わら帽子を被り、やる気満々で小さなスコップを握りしめた。すでに頭の中では最高のイタリアンが完成しているらしい。
「ふむ、農耕か。集団農場(コルホーズ)の経験がある我が連邦に任せるがいい。この土壌を、ジャガイモの楽園にしてやろう」
ソ連は大きなクワを片手で軽々と持ち上げ、豪快に土を耕し始めた。彼の耕すスピードは凄まじく、みるみるうちに綺麗な畝(うね)が出来上がっていく。
「おいソ連、貴様の大雑把な耕し方では土の粒子が不均一だ。作物の根が効率よく酸素を吸収できるよう、もっと緻密に土を砕け」
長靴を律儀に履きこなしたナチが、軍手をした手で土の質感を細かくチェックしていた。彼は日帝から渡された園芸の解説書を片手に、苗を植える間隔をメジャーで正確に測り始めている。相変わらず、趣味の領域であってもミリ単位の妥協を許さない男だった 。
「ナチ殿、あまり神経質にならなくても、植物はたくましく育ちますよ」
日帝は苦笑しながら、ナスとキュウリの苗を優しく土に植えていく。かつて世界を戦火に巻き込んだ面々が、今は一本の苗を傷つけないように、そっと泥だらけの手で土を被せている。その光景はどこか奇妙で、それ以上にとても温かかった 。
「あわわっ! ナチ、大変だよ! 虫がいる! すっごく丸くて緑色の虫!」
イタ王が苗の葉っぱを指差して大騒ぎし始めた。
「騒ぐなイタリア、ただの青虫だ。作物の成長を阻害する害虫は、即座に、かつ合理的に排除する」
ナチは眉間に皺を寄せながら、ピンセットで器用に青虫を摘み上げると、それを裏山の草むらへと逃がしてやった。口では冷酷なことを言いながらも、命を無闇に潰さない優しさがそこにはあ った。
「よし、これで植え付けは完了だな」
ソ連が汗を拭いながら、ホースで庭全体に水を撒き始める。夕暮れの光に照らされた水しぶきが、小さな虹を作って庭を彩った。
それから数週間、4人の朝のルーティンに「水やり」と「観察」が加わった。
ナチは毎日ノートにトマトの成長記録をグラフ化して書き込み、ソ連はジャガイモの葉が出るたびに「同志よ、よく育っているな」と声をかけ、イタ王は毎朝「早く大きくなーれ!」とバジルに向かって歌を歌っていた。日帝はそんな三人の背中を、縁側からお茶を飲みながら静かに見守るのが日課になっていた。
そして迎えた、夏の終わりの収穫の日。
裏庭には、ツヤツヤとした真っ赤なトマト、立派なナス、そして土の中から掘り起こされたゴロゴロとしたジャガイモが山のように並んでいた。
「見て見て! 僕のトマト、すっごく甘くて美味しいよ!」
イタ王がもぎたてのトマトをその場でガブりとかじり、満面の笑みを浮かべる。
「ふむ、このジャガイモの質量とデンプン含有量……実に見事だ。我が国の合理的な管理の賜物だな」
ナチは収穫されたジャガイモを手に取り、満足そうに頷いた。
「何を言う、私が毎日豪快に水をやったおかげだぞ」
ソ連が胸を張って笑う。
「皆さん、本当に素晴らしい野菜が育ちましたね。今夜は、この収穫したお野菜を全部使って、特別なディナーにしましょう」
日帝の言葉に、三人は一斉に歓声を上げた。
その日の夜。食卓に並んだのは、イタ王のバジルとトマトを使ったフレッシュカプレーゼ、ナチのジャガイモを使ったホクホクのジャーマンポテト、そして日帝のナスを使った揚げ浸しだった。
「自分で育てたものは、いつもの何倍も美味しく感じられますね」
「うむ! これならウォッカがなくてもいくらでも食えるな!」
「ソ連、毎日アルコールの話を挟むのをやめろと言っているだろう。……だが、このポテトの食感は、確かに完璧だ」
自分たちの手で緑を育て、その恵みを一緒に分かち合う。かつて破壊の歴史を生きてきた彼らが、今は創造と生命の喜びを共有している。
窓の外では秋の虫が鳴き始めていたが、4人の賑やかな声が響くリビングは、いつまでも夏の終わりの温かい熱気に包まれていた。
矢 濁 .
18
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チョコ
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コメント
1件
「小さな緑の収穫祭」、めちゃくちゃ良かったです。かつて戦火を交えた面々が、今は青虫を逃がす優しさや、ジャガイモに「同志」と呼びかける光景にじんと来ました。各キャラの性格が園芸スタイルに如実に出ていて、特にナチのメジャー測りとピンセット処理がらしくて笑いました。自分たちで育てた恵みを囲む食卓の温かさも、この世界観だからこそ沁みますね。