リクエスト箱

　　

　時刻は夜中の2時を指している。早く寝ないといけないのに、そう思えば思うほど時計の音、外から聞こえる何かしらの音が耳について眠れないなる。

　いるまは最近、不眠で悩んでいた。

　布団を頭まで被り少しでも音を軽減してみようとする。なにも考えないようにしてみるが、焦れば焦るほど眠気は遠のいてしまっていた。

　「……仕方ねぇ」

　スマホの電源をつける。液晶が眩しくて目を細くさせながらもLINEを開き暇なつに連絡をいれた。

　『今日いい？』

　起きているかも気にせずに簡潔に連絡を入れるとすぐに既読の文字がついた。

　『また？』

　『いいけど体大丈夫か？』

　『平気』

　『早めによろ』

　いるまの体調を気にするような素振りを見せるが、正直暇なつもいるまからの連絡を待っていただろう。

　連絡を入れて40分ほどは経っただろうか。いるまは未だに眠れる気がしなかった。目を瞑ってじっとしているとインターホンがなった。

　覗き穴から人物を確認すると暇なつの姿があった。鍵とチェーンを外して中に入れ込んだ。

　「おせぇ、」

　「いやいや、急すぎだって」

　「なんか、こう飛べたりしねぇの」

　「出来るけど見つかったらめんどいじゃん」

　「は、相変わらず吸血鬼らしくねぇな、」

　信じられないかもしれないが、暇なつは所謂『吸血鬼』という存在だった。生物の血を吸うとかいうあの吸血鬼だ。

　いるまが暇なつをいきなり呼び出したのは、血を吸ってもらう為だった。血を抜くことで気絶のような形になるのか血を吸って貰ったときはよく眠れたのだ。

　「じゃあ、早めによろしく」

　「人を便利屋みたいに……」

　白い首筋を晒すとゴクリと唾液を飲み込む音が聞こえた。素直じゃない事をいうくせに根は吸血鬼なのだ欲望に逆らうことなんてできない。

　「いるま、こっち見て。そ、目を逸らさないで……」

　赤い瞳がしっかりといるまを捉える。じっと見つめ合っていると段々と意識が朦朧としてくる。あ、おちる。そう感じ取っているまは気絶をした。

　そこで目を覚ませばスッキリとしている。……いつもなら。

　湿っぽい水音と甲高い声で目が覚めた。誰の声だ、そう考える前に強い刺激がいるまを襲った。

　バチュン、と内臓を持ち上げられるような快感に脳がバチバチと痺れる。

　「ひ、っ♡♡♡あ”ぁ”ッ♡な、に？？♡♡♡」

　「あれ、起きちまった、」

　「おはよ、いるま♡」

　まるで何事もないかのように挨拶をされる。いるまのナカを暴き、ひどい快楽を叩き込むヤツとは思わないほどに。

　「な、つ？♡♡な、っで♡♡♡♡」

　「えー、言わんかった」

　「血ぃ飲んだ後ってめっちゃムラムラするんよ♡」

　「きいてな”、♡♡シコッとけ、や♡♡」

　「えー、いるまは睡眠欲求満たせるし俺は性欲求満たせる。win-winやん？♡」　

　「ど、こがっ、！♡♡シ、ねッ♡」

　「あ”〜、つか、起きたほうが具合良いわ、」

　「出すな、」

　「や、やだ！マジ、♡だめ♡」

　「そんな顔すんなよ……クッソ唆るから♡」

　バチュバチュと律動が速くなりいるまは喘ぐことしか許されなくなる。こんなに気持ちいいなんておかしいと思うほどに。

　ナカに挿っているモノが膨らんだと思えば、アツい液体が勢いよくいるまの奥に注ぎ込まれる。

　「あ”っ、〜〜♡♡アツ……」

　「あ”ー、……いるま、いるま」

　出しながらもゆるゆるとピストンを繰り返しナカで精液を塗りたくられる。

　終わった、そう思いクタリと力が抜けた。

　「も、いいだろ。抜けっ、」

　「は、？まだ一回目だけど」

　「あと三回は付き合って？」

　「は、いや。むり、」

　「無理じゃねぇって、いつも受け入れてくれんじゃん♡」

　「ひ、♡♡まじ、♡無理、だから」

　いつの間にかカタさを取り戻していたモノがゆっくりといるまのナカを犯す。

　逃げなきゃ、生存本能が警鐘を鳴らす。グルグルとここから逃げたすための策を練る。

　「な、せめて、体勢変えさせろ、」

　「ん？どんな体勢がいい、？」

　「とりあえず、ぬけ」

　「ん～、おっけ」

　ぐぽっ、と音を鳴らしてナカから異物が取り除かれた。今だ、慌ててベッドから逃げようと降りたが、ペタンと床に尻がついた。

　「は、え、立てな、」

　「あ～あ、駄目じゃんいるま」

　「勝手に逃げるなんて」

　「ッ、来んな！」

　「……ははっ、かわい」

　「震えてる。怖いん？」

　「なわけ、」

　「じゃあもっと愉しもうな♡」

　ひょいといるまを抱き上げる。非力と言われている暇なつだったが、人間と比べたら上位互換な存在である。始めから、いるまが逃げられる術なんてないのであった。

　2人の夜が明けていく