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すちみこ
すち
高校3年生
みこと
高校2年生
1年前からお付き合いしてる2人のお話です
放課後の屋上春の風が少しだけ冷たい
深呼吸をすると扉が開いた
「あ、すちくん、」
「どうしたん、話ってなに?」
みことは、いつもの明るい声で微笑んで言った
何も知らない顔で
その顔を見た瞬間、すちの胸が痛くなった
(あぁ、やっぱり好きだな…)
でも
もう伝えると決めた
「…みこちゃん」
すちは俯いたまま話しかける
「俺、東京の美大行くことにした」
「ぅえ、」
みことの声が止まった
「…地元じゃ、ないの?」
「うん、上京する」
少し間が空いた
風の音だけが聞こえる
「…じゃあ、遠距離かぁ」
みことが少しだけ眉を下げて笑う
「でも大丈夫やろ、?俺ら、」
「無理だよ」
すちは言葉を重ねた
みことが固まる
「遠距離とか、続かないよ」
「すち、くん?」
「それに、」
言葉が詰まる
本当はこんなとこと言いたくない
だけど言わなきゃいけない
嘘でも、傷つけたとしても
でもこの子の人生を俺で無駄にはしてほしくない
「…最近、思ってたんだ」
すちは、ようやく顔をあげる
「みこちゃんの、そういうとこ」
「…?」
「考え方が子供っぽくて、楽観的で、何も考えてなさそうなところ…」
みことの表情が次第に暗くなる
「正直、好きじゃなかった」
風が止まった気がした
みことは何も言わずただ俯いている
すちは続ける
止まってしまったら本当のことを言ってしまいそうになるから
「俺ら、合わないのかなって」
「そっか…」
やっとみことから出た声は今にも消えそうなくらい小さかった
「そういうとこ、嫌いやったんや、」
すちは何も言えない
本当は
そこが一番好きだった
子供みたいに無邪気に笑う顔も
いつでもポジティブに前を向いて進むところも
まっすぐ信じてくれるところも
(…それを、今後他の誰かに向けてほしくないな)
でも
上京して離れてしまう自分が縛る資格なんてない
「ごめんなぁ、すちくん」
みことが無理に笑う
「俺我慢させてもてた」
「気づけんかった」
その一言で胸が締め付けられた
違う
気づかなくていい
嫌いなんて全部嘘だから
「別れよっか」
みことが言う
すちは小さく頷いた
「うん」
そのままこちらを振り向かずみことは屋上を出ていった
1人になった屋上ですちはその場に座り込む
「…はぁ」
震えた手で顔を覆う
「…大好きだよ、みこちゃん」
誰にも聞こえない声
遠距離にして、待たせるのが嫌だった
縛るのも、我慢させるのも嫌だった
でも
一番嫌だったのは
あの笑顔を
いつか別の誰かに向ける未来を想像した時だった
「…独占欲、強すぎなんだよな、俺」
夕焼けが滲んで見えた