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続き
雨花「そろそろフリーマーケット開始だね!」
桃時「そうね〜」
雨花たちは公民館が管理する広場に来ていた。雨花たちは今、広場の入口にいる。広場の中心には大きな大きな大木があった跡地が残っている。
桃時「あれが天月桃の木の跡地ね」
雨花「きっと立派な大木だったのかな〜」
雨花たちは「天月桃の木の跡地」をみる。
桃時「満月の日はあの跡地の周りの花が虹色に光って咲くみたいね」
雨花「へぇ〜!そうなんだ!じゃあ今日観れるね!」
桃時「何でよ?」
雨花「だって今日満月だよ?」
桃時「え?!そうなの?何で月の満ち欠けなんて知ってんのよ」
雨花「……少し調べたことがあるだけだよ〜あはは!」
「そういえば」
雨花「桃時ちゃんは何売るの?」
桃時「アタシはこれ」
桃時が出したのは、幼児服だった。
雨花「うわぁ!可愛い!レース付いてるし!ドレスみたい!」
桃時「元々アタシが子供の頃着てた服で、それを少し手直ししたのよ。可愛いなら良かったわ」
雨花「うんうん!絶対買った人気に入るよ!」
桃時「ありがとう。……それで、あんたは……」
雨花の手元には、うんこの形をした石があった。
桃時「あんた……それ売るの?」
雨花「あたぼうよ〜!」
雨花「ていうかそれって、職員室の横に置いてある「回弁地太郎」のマスコット石像の残骸じゃないの!?」
雨花「そうだよん!」
桃時「まさかあのキャラがグッズ化されるとは想わなんだ……」
雨花「でもねでもね!わたしにはお金一銭も入ってきてないだよ!!原作者なのに!だから職員室からかっぱらてきた!ふっふっふっ!」
桃時「どうなっても知らないわよ」
「じゃあ」
桃時「そろそろ持ち場に移動しましょ」
雨花「うん!そうだね!……ん?」
ガラガラゴロゴロ
「早く運びなさい!!あなた!!フリーマーケットに間に合わないわ!!」
「お、重い……」
「全く……早くして頂戴。わたくしは先フリーマーケットの持ち場に行ってくるわ」
「は、はい!分かりました!奥様!」
どうやら主人に命令でフリーマーケットで売るための品物を運んでいる召使いのようだった。
「うーん!うーん!重いっ!」
雨花「良ければわたしがお運びしましょうか?」
「え?お嬢さんじゃ無理だよ、僕ですら無理なんだから」
雨花「まぁまぁ……よいっしょっと」
雨花は難なくその品物を持つ。
「す、すごい!!何で持てるんですか!?」
雨花「さぁ?とにかくどこまでお運びしましょうか?」
「では、あそこまで……」
桃時「ちょっと雨花!何してるの?」
雨花「桃時ちゃんは先持ち場の方に行ってて!わたしはこの荷物運ばないといけないから!」
桃時「全く……早くしなさいよ」
雨花「はぁーい!……では行きましょうか」
雨花は荷物を持って運んだのであった。
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雨花「お待ちどうさまでした!」
「あぁ!本当にありましたらございます!」
「なんだい。女の子に持たせたのか。お前は」
「すみません……あまりにも重いので……この方が持って下さると仰って下さったので、お言葉に甘えてしまいました」
雨花「謝る必要ないですよ!一生懸命持とうとして下さいましたし。奥様もぜひ褒めてあげて下さい」
雨花は微笑む。召使いの人はとても涙目をしていた。それをじっとみる奥様と言われたマダム。
「お前……」
雨花「?」
「お前を」
「「気に入った」」
雨花「へ?」
マダムは感動したらしく、キラッとした目で雨花をみる。
「自分のことを上げず、他人の名誉を守る。それが出来る人間は中々に”できる”奴だ。わたくしは、普段から石を集める店を開いていてね。お前さんに一つだけ無料で石を与えてやろう」
雨花「いえいえ!そんな訳にはいきません!お気持ちだけで充分です!」
「素直に言うことを聴きなさい。わたくしがあげると言ってるんだ。だから貰いなさい」
雨花「で、では頂きますね。何から選べば良いでしょうか……」
「早く品物をお出し」
「はい!奥様!」
召使いの人が出したは品物の石はとても綺麗なものがあった。
雨花「うーん……あっこれ」
雨花の目に留まったのは、ハートの形をした透明の石だった。
「おぉ!それはわたくしも気に入っていてね。持ち主によって色が変わるんだよ。お前さんはどんな色になるのかな?持ってみなさい」
雨花「は、はい!」
雨花は石を持つ。すると……
「おぉ!」
「なるほど」
雨花「ま、」
「「真っ黒」」
雨花が手に持つと、石は漆黒に変わった。
雨花「…………」
「漆黒か。良いじゃないか。これは持ち主にとってゆかりのある色が出る石でね。持ち主を支えてくれる色なんだ。だからその色を大切にしなさい」
「美しい漆黒ですね!素敵です!」
雨花「黒がわたしを支えてくれる色……」
「どうかしたかい?」
雨花「…………。いえ!ありがとうございます。これ頂戴しますね」
「あぁあぁ、持ってゆきなさい」
「お互いフリーマーケット頑張りましょう!」
雨花「はい!ではわたしは戻ります」
そして、雨花は自身の販売場所へと移動した。
【続く】