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Nakamuの爆弾発言はあったものの、その後は特に何事もなく入学式は終わった。教室に移動して下さい、とアナウンスが流れる。
講堂から出ると、新入生たちは口々に式の感想を口にする。菜乃葉の耳にも、近くの生徒たちの会話が飛び込んでくる。
「Nakamu様すごかった〜〜!」
「まじまじ! オーラ半端ないって!」
「しかも聞いた? みんな平等だって言ってくれたよ! 私達庶民の味方だよ、最高!」
「入学試験の成績もトップなんでしょ? あんなにお美しくて、その上優秀だなんて……完璧すぎる!」
「前の実技試験の時なんて、あの硬い標的を木端微塵に砕いちゃったらしいよ!」
「本当に!? 的に当てるだけでもすごいのに! うっわー、断トツじゃん!」
耳を澄ませながら、「やはり」と菜乃葉は思った。Nakamuの「この学校では身分の上下は存在しない」という発言は、大多数を占める一般生徒には良い印象を持たれたようだ。問題は、貴族たちは間違いなく大反発するだろう、という点だが……。
菜乃葉がそんな事を考えている間に、生徒たちの話は思いもかけない方向へ行く。
「あー……でも、実技試験だけだとトップじゃないかもね。あの噂、聞いた? ヤバい魔法で的を消し飛ばした新入生がいるらしいよ」
「ちょっと、それはガス爆発って話でしょ? Nakamu様より上なんてあり得ないって!」
「いやいや、でもその新入生がマジでヤバいらしいんだって。見るも恐ろしい形相でさ、普通の何倍も体が大きくて、しかも……悪魔みたいなツノがニョキニョ生えてんだってよ!」
「まじ!? それもう完全に化け物じゃん! ヤダー、そんなの絶対会いたくないっ!」
夏菜
「だ・れ・が、化け物だっ、誰が! いくら何でも、噂に尾ヒレ付きすぎだろ!」
隣を歩いていた夏菜は思わずツッコむ。悪魔だの化け物だの、酷い言われようである。
頭を抱える夏菜を横目に、菜乃葉は口を開く。
菜乃葉
「…私もあんな噂を耳にしたから。一体どんな怪物なんだ、って思ってた。実際に会ってみたら、想像とは違っていたけど」
夏菜
「って…そんな化け物がいるわけないじゃん…」
夏菜は脱力しながらも、はぁ〜、っと息を吐いた。化け物どころか、どこをどう見ても夏菜はごく普通の少女にしか見えない。優しさのある黄緑の髪とハニーレモンの瞳は少々容姿がかけ離れているが、菜乃葉や瑞夏に並ぶと普通の一般人のように溶け込んでいる。
教室のある棟に到着すると、掲示板の前に人だかりが出来ていた。クラス毎の在籍者リストが掲示されているのが遠目から確認出来た。菜乃葉はサッと全体を見渡し、すぐに自分達の名前を見つけた。
菜乃葉
「私と美音と夏菜と瑞夏、4人とも同じクラス」
美音
「えっ、本当!? わーい、みんな一緒だって! やったね夏菜ちゃん!瑞夏ちゃん!」
夏菜
「…ま、少し安心」
多種多様な反応を見せる美音達。瑞夏は小さくホッ、と息を吐いていた。
同じクラスには、他に知っている名前は無いようだ。モブクズやNakamuのような貴族組は、当然のように1組_学年に1クラスしかない『特別選抜クラス』に入っている。
美音
「あれ? でも……なんで夏菜ちゃんも一般クラスなんだろ? 実技試験は絶対トップだったのに」
夏菜
「いや、筆記試験は多分良くなかったし。総合成績では特別選抜クラスには届かなかったんじゃ無いかな」
美音の疑問に、夏菜は当たり障りの無い答えを返す。だが、その答えは正確では無い。夏菜の総合成績がどれほど優れていようとも、彼女が特別選抜クラスに入る事は、決してない。建前上『特に成績優秀な生徒が在籍する』ことになっている特別選抜クラスだが、実際には貴族だけが在籍するクラスだ。貴族専用の『特別選抜クラス』である1組と、大多数の一般庶民が在籍する『一般クラス』で、この学校は構成されている。
クラスに着くと、大体の人が席に着いていた。
菜乃葉達も席に着くと教卓に肘をついて名簿を見ていた水色の髪を一つ結びにしたスーツの女性の人が、黒板に『博神 青紫』と白チョークで書いた。
「はい。今日から君達の先生となる博神青紫(はくじんアオシ)と言う。魔法というものは実力、想像だけでない、頭も使うということを君達に教えるのが私の目的、目標」
博神先生の周りに緑色や青色の液体が入った試験管(しけんかん)が浮かび、先生の周りをふよふよとただよっている。
博神青紫
「理科の授業が多いが、研究というものも未来には必要になる一つの実験。今日からよろしく頼むよ、はい、終わり。次、1番から立って自己紹介」
その後も、着々と自己紹介が進んでいった。
瑞夏
「瑞夏…です…猫好きです…」
瑞夏はボソボソと喋っていて大半の人には聞こえていないが、アンコールの声が聞こえる前にサッと席に座った。
夏菜
「夏菜です。本やサメが好きです。皆さんと‘‘仲良く’’授業を受けれるようにしたいです」
夏菜は仲良くの部分を主張して何食わぬ顔で自己紹介をササッと終えた。「あの実技試験の…」と聞こえた途端その人に睨みをすぐ聞かせていた。
菜乃葉
「菜乃葉。寝る事が好き」
瑞夏と同じぐらい簡易的に自己紹介をした菜乃葉は真顔で席に着いた。菜乃葉の頭の中は帰りたい一文字なので必然とこの言葉しか出なかった…とも言える。
美音
「はい!美音です!動物が大好きです!今日からよろしくお願いします!」
対象的に3人とは違い元気よく自己紹介をする美音は偉いしか言いようがない。これが普通なんです。
そしてクラス全員が自己紹介を終え、配布物を貰い、昼休憩の時間が近づいてきていた。
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ちなみに、今の自己紹介でクラスからの菜乃葉達の印象…
菜乃葉→真顔で少し怖くて死人みたい
美音→元気。陽キャ
夏菜→実技試験のやべぇ奴。睨まれたからヤンキーみたいと思われてる
瑞夏→オドオドしてて世話やきたい
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博神青紫
女性
頭がよく、冷静で生徒思い
魔法研究や魔法開発が好きな研究者
生徒虐めが嫌いな先生
所持魔法…洗脳魔法、魔法付与(まほうふよ)
片目がない
コメント
12件
やった~!僕出てきた!
菜乃葉って現実世界の私に似てるんですよ、、、 私も自己紹介は嫌いです、、、
世話焼きたいって思われたんだw いいじゃん!👍