コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
その後はまぁ、何やってるんすかと叱られていいですよ、と言われたり。
意外だったのが改めて告白はされなかったことだ。そういうとこハッキリさせたいタイプだと思っていた。
それから何度か体を重ねたけれど、デートに誘うことも誘われることも、特別恋人らしいことをするわけでもなく。所謂セフレだ。
「愛せる女は1人でいい、ねぇ」
大層なこと言っておきながら、おっさんとセフレになってるなんて。その発言当時のMENが知ったら発狂するんじゃないの。
MENの恋心を利用して性欲を発散することに多少の罪悪感はある。あるが、ものすごく体の相性がいいのだ。
初めてだろうから挿入は厳しいかなと思っていたが事前準備をしっかり済ませていたらしく、すんなり挿入ってしまった。MENはとにかく献身的で、俺に手間をかけさせまいと出来ることは全部やってくる。
体の相性がいい上にすごく一生懸命に尽くしてくれて素直に嬉しい。
回想しながらぼーっとスマホを眺めていると、MENとドズルさんが配信をしていることに気づいた。最近2人がハマっているゲームだ。
サムネをタップして配信を聞くと、ちょうど俺の話をしていた。
『MEN最近ぼんさんと仲良いよね』
『へっ、あぁー…そうっすか?』
『うん。撮影中もオフのときも一緒にいない?』
『…そんなことないと思いますけど』
本当にそんなことない。確かに一緒にいる時間は増えたけど、四六時中一緒なわけではない。
ドズさんの意図は図りかねるが、少しちょっかいをかけたくなり配信を閉じてメッセージアプリを開く。
メッセージを送信したら再び配信を開く。
『あ、ちょっとすみません』
『いいよ〜』
『…ぼんさんからでした』
MENが言い終えるのと同時に通知が来る。
『フハハハ、やっぱ仲良しじゃん』
『ははは…』
その後は普通にゲームの話に戻っていった。
…なーんか最近咄嗟に出る声がエロいことあるんだよなぁ。俺のMENを見る目が変わったのか、それとも俺のせいなのか。
再びメッセージアプリを開いて、既読だけ付けておく。
《今から家来れる?》
《すみません、今配信中なので!!》
「私より配信の方が大事って言うのね〜!!キーッ!!」
裏声の独り言である。
ものすごく虚しくなってきて、そっと瞼を閉じた。
いつの間にか眠っていたらしく、インターホンの音で目が覚める。
「こんな時間に誰だよ…」
寝起きで怠い体をなんとか起き上がらせ、ドアスコープを覗き込む。扉の向こうにいた人物に驚き、急いで扉を開く。
「ちょっ…MEN!?こんな時間にどうした、」
「?ぼんさんが来いって…」
嘘、あれでほんとに来ちゃったの?
「ぼんさん?」
「あ、あー…」
不味い、口角が上がるのを抑えられない。MENは顔を隠す俺を訝しげな目で見る。
「俺ね、あの時配信見てたのよ。それでちょっとちょっかいかけよっかなー…みたいな…?」
なんでほんとのこと言ってんだろうねぇ俺。MENの純粋な眼に耐えられなかった。
「…そうだったんすね、こんな夜中にすみません。」
MENはそう言って背中を向け、そのまま歩こうとするものだから咄嗟に手首を掴んでしまった。
「MEN!?折角来たんだからさ、別に帰らなくても…」
「………ぼんさん、」
もう、やめませんか。
そう言うMENの顔は酷く苦しげで、とても綺麗だった。